ロードスターの外装部品 下地処理

足付け処理

こちらもお待たせしております。作業着手しておりますので御安心下さい。

画像右側に写るバンパーグリルはそのまま塗れるのですが、その他の小物パーツは表面がザラザラとした梨地になっている為、これは一旦サフェーサーで平滑な下地を作る事とします。そのまま塗っても特段剥がれるなどはありませんが(勿論足付け処とプライマーの塗装は行うとして)、ただ仕上がった時に素地のザラザラがそのまま残った仕上がりになるのでとても変な状態になってしまうのです。「艶々」とは縁遠い質感ですかね。

サフェーサー塗布完了

ちなみにプラスチック素地に直接サフェーサーを塗っても十分に密着しません。その前には必ずプラスチック用プライマーの塗布が必要です。

もし今回のようなPP素材(ポリプロピレン)にプライマー塗装無しでサフェーサーまたは上塗り塗装を行うと、塗った直後からパリパリと簡単に剥がれてしまいます。なので「うっかり忘れてしまった」という事は100%有り得ないのです。

昔勤めていた会社で、結構お歳を召した方(直接の上司では無い塗装屋さん)がこれを忘れたり、さらにはクリアーに硬化剤を入れ忘れて塗ってしまったりと結構凄い光景を目の当たりにする事もありました。 硬化剤を入れないで塗ったクリアーは当然永遠硬化しない塗膜になるのですが、その方はなんとその上にさらにもう一度クリアーを塗ったのです(今度は硬化剤を入れた物を)。パワープレイにも程がある気がしますが・・・。

ちなみに当然そんな事をしてもまともな塗膜になる筈も無く、余計収拾のつかない事態に陥ってました。まあ当たり前ですよね・・・。

 

という事で、この後は熱を掛けてサフェーサーを完全硬化させますが(勿論2液硬化性ですので)、これ単体で熱を掛けるのは少々勿体無いですので、アウディのカーボンパネルを強制乾燥させる時にこれも一緒に行うとします。

作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!

AUDI R8 カーボンパネル クリアー下塗り

本塗り準備完了

先日に旧塗膜剥離~素地調整までが完了し、ようやく塗装出来る段階まで来ました。

が、この段階では最終的なクリアーでは無く「下塗り」用としての塗装となります。

と言っても「本塗り」と「下塗り」での違いは材料ややり方が違う訳では無く、単に概念の違いなだけです。なんといってもこの上に塗られていた4回分の塗膜を、ダブルアクションサンダーを使って比較的番手の粗い#120からのペーパーで研磨~剥離してきている訳ですから、それにサフェーサーなどの下地塗装無しでいきなり本塗りは乱暴過ぎるというかちょっと現実的ではありません。

普通はここでサフェーサーを塗るべきなのですが、それだと素地のカーボン目が見えなくなってしまうのでその代わりに「下塗り用」としてのクリアーで一度塗装~完全硬化させた塗膜を作るのです。

良く脱脂をしてエアーブローをしたらいよいよ本塗り開始です。

 

クリアー塗装完了

そして下塗り用のクリアー塗装が完了です。心配していた巣穴やラインの崩れなどは無く、このまま仕上げとしても問題なさそうですが、本塗り用としてのクリアーでは無く、また仕上がりも本塗り時に比べて肌が出来ていないのであくまでこれは下地用のクリアーと言うことです。

ちなみに「肌が出来ていない」は硬化剤またはシンナーの違いも関係があり、この時点では特にレベリングを重要視していないので比較的速乾の選択にしています。本塗り時では少しリスクが上がってレベリング性の良い仕様にして塗るのが一般的です。

ちなみにそのリスクは「タレ易い」「ワキ易い」「乾燥が遅い故にゴミが付き易い」といった事が挙げられますかね。

下塗りクリアー塗装完了

想像よりラインが崩れずに出来ていたので安心しました。ただ細部まではもう少し仕上げたいのでクリアーが完全硬化したら次は砥石でさらにラインを平滑に仕上げたいと思います。もう少々お待ち下さいませ!

ポップナットの錆

アルミフレーム ブラインドナットの錆

正確な名称が何と言うか知らないのですが、自転車フレームにボトルなどを載せられるようにするステーを固定する箇所のネジ部です。

通常塗装の時にはネジ穴内部にイモネジを差し込んで一緒に塗るのですが、それにしてもこれは残すべきじゃないのでは・・・と思って外す事にしました。フレームは全体にサンドブラストを掛けますが、アルミとスチールの合わせ目は処理が届きませんから錆の再発はかなりの確立になってしまいますので。

 

ポップナット取り外し

という事で取り外しました。ポップナット(ブラインドナットとも言いますかね)は合計四個ありますが、そのうち3個はドリルで外れて残り一個は空転しまったのでベルトサンダーで頭を跳ねて取り外します。

自転車のフレームでポップナットを外す時に注意する事は、外れたナットが内部からちゃんと取り出せるかどうかを事前に確認しておくことです。表側の見える方は削り落とすのですがその殆どは内側に残るので、外れたそれはフレームの内側に落っこちます。

普通はちゃんとサービスホールから取り出せるのですが、以前業者さんからご依頼頂いたフレームはそのサービスホールがナットよりも小さかったらしく、中にコロコロと残ったままでやってきました。当然うちでも未加工では出せる訳も無く・・・(穴を広げれば可能ですが結構手間が掛かりますし強度面でどうなのか解らなかったですからそのまま塗って戻しました)。まあグリースを入れておけば転がることは無いと思いますから気にし過ぎかも知れませんかね(自分でやった場合は多分気になって夢に出て来くると思いますが・・・)。

ちなにみ今回は「錆」を懸念しての取替えですが、通常は恐らく強く締め過ぎてネジ山をナメってしまった場合が殆どだと思います。アルミ製のナットだと結構簡単にイってしまいますよね。緩むのが嫌ならばロックタイト(緩み防止剤)かプレッシャーワッシャーを入れた方が確実です。・・・と言いつつ私も先日帰り道に危うく工具入れがステーもろとも落ちる所でしたが(恥)。

 

発送準備完了

そして発送の準備が整いました。単に丸投げって訳ではなく、ボトムブラケット部やフォークが通る箇所など、ブラストを掛けて欲しく無い箇所には予めマスキングをしておきます。よく見ると詰め物がされているのが解ると思います。自ら自転車に乗らない時はそんなに気にしなかったのですがボトムブラケットの交換とか自分でやってみると(やってみたんです。笑)ここは触れない方が良い場所だとか色々気がついてちゃんと仕事に役立っているような気がします(気のせいかも知れませんが…笑)。

上の画像は実際の作業中の現場風景で、通常作業している時は大体こんな感じに、間借りさせて頂いているTACさん(自動車板金塗装)の工場内の空いているスペースに一畳分くらいのダンボールを敷いて作業しています。被塗物対象が「小物」なのでそんなにスペースが必要な訳ではありませんが、工具と設備に関してはちゃんとした物が必要なので中々小規模での運営は難しいのです。年末年始の休みに自宅で塗装を試みようと思いましたが日頃塗っている環境では無いので色々大変そうでしたから断念してしまいましたし・・・。

で、メールをしておいたブラスト屋さんから返答があったので早速発送の手配を致します。戻って来たらまた紹介させて頂きますね。

自転車アルミフレーム エンブレムシール剥がし

エンブレムシール剥がし作業

こちらのアルミフレームと、別件のクロモリフレームの2個を纏めてサンドブラスト屋さんにお願いするので、その為の準備をしておきます。主にサンドブラストを当てたくない箇所のマスキングですね。

で、こちらのフレームはヘッドチューブに薄いアルミ製のエンブレムが貼ってあって、オーナー様から「出来れば活かして欲しい」との事ですので、何とか再利用出来るように剥がしています。今回は平面(実際さいには曲面ですがカッターの刃が入る方向は直線ですので平面という見解です)なので比較的やり易い方ですから何とかなりそうですが、緩やかでもここが3次曲面になっていたらアウトでした。

剥がし方としては、まず業務用ドライヤーでかなり熱めにして固着した糊を柔らかくしてあげて、その上からたっぷりのシリコンオフ(フタル酸(ペンキ用)シンナーでも可)を塗ったら隙間にカッターの刃を差し込みます。その他のラッカー系などはプリントを溶かしてしまうのでマズイです。

シリコンオフは糊を溶かす役割もありますが、実はカッターの刃が良く滑るような役目の方がメインです。幾らキレが良い刃でも刃先に糊に絡むと先には進みませんので、シリコンオフは潤滑剤の役目を果たすのです。

と言っても一気に刃が進んでくれる訳では無いので、じっくり慎重に先に進めていきますが・・・。

 

エンブレム救出

という事ですがエンブレムプレートは無事救出出来ました。

エンブレムの素材はアルミですが、これは極薄いシート状の物なのでカッターの刃がズレると結構簡単に切れてしまいます。なので刃を並行に均一に力を掛けてあげるのがコツですかね。

この方法、そもそもは自動車のフロントガラスを交換する際、そこに貼ってある車検のシールを新しいガラスに移植する為の方法です(いや、これはもしかして違法行為じゃ・・・)。

今のタイプのシールは自己破壊型なので通用しないと思いますが、昔のタイプの車検シールは紙製で普通に剥がそうとすれば端から破れてしまうものですが、こういった方法で行えば意外と綺麗に剥がせたりするのです。ってガラス屋さんに教えて貰いました(笑)。

という事で、とりあえず発送の準備は出来ていますので後はタイミングを見計らってサンドブラスト屋さん宛に送る事になります。

戻って来たらまた紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!

アウディR8カーボンパネル 旧塗膜剥離

アウディR8カーボンパネル

 年が明けての営業初日にして既に日にちが変わってしまいましたが、作業は色々進行しておりますので御安心下さい。

画像は去年から持ち越しのアウディR8のカーボンパネルで、元々ボディ同色のホワイトパールに塗られていた物です。

ある程度まではダブルアクションサンダーで旧塗膜を剥離し、続けて水研ぎで表面のラインを整えていきます。

ペーパーを巻く当て板は比較的柔らかい物を選びたくなりますが、ライン出しの場合には実は堅ければ堅い程良かったりします。今回は砥石ではなく木片を使って、最初はそれに#600を巻いて全体を研ぎ付け、その後#800でさらに同じようにして研いだら今度はスポンジ製の当て板で目消しを行い、最後に手のひらで均していきます。

 

水を掛けた状態

 で、研ぎ終わったら水を掛けてラインを確認します。元々この上に色が塗ってあったとは思えない状態にまでなってきましたね。

ただここから乾いてくるとまた残った傷が見えて来るので、さらにそういった箇所をシラミ潰しにして仕上げていきます。

 

audi2

 違う角度から見た状態です。カーボン素地の上にはクリアーが一枚残ったような状態で、ただ完全にそれだけを残せたと言う訳では無く部分的には素地が出た箇所もありますが、それでもかなり小範囲に抑えられたと思います。

また次に塗るのは下塗り用のクリアーで、それが完全硬化したら再度表面を研磨し、さらにその上に最終的な本塗り用のクリアー(クリスタルクリアー)を塗って仕上げます。

という事で次のターンで下塗り用のクリアーを塗る予定です。もう少々お待ち下さいませ!