フォレスターボリュームツマミ 下地処理

forester12テールランプに引き続きご依頼頂いていましたドライブアシストシステムのボリュームツマミカバーです。純正の状態だと回し難く、評判が悪かったので後からこれが出たそうですが、室内でこれだけが浮いてしまうとの事で今回塗装をご依頼頂きました。

元々の状態としてはアルミ素地ですが、表面にはアルマイト処理が施されいるので塗装(プライマー)の密着性は悪いですから、まずはサンドブラストで表面を荒らします。基本的にはペーパーで傷を付ける「足付け処理」と同じでが、今回の場合は被塗物の表面は平らでは無いですからペーパー掛けでの足付け処理は難しく、このようなサンドブラスト処理が有効です。

forester13で、処理後はこんな感じです。サンドブラストはメディア(研磨粒子)をエアーの力で被塗物に強く当てて表面を処理する方法で、このメディアの種類を変える事で色々な用途に応用出来たりもします。私の場合は素地調整や旧塗膜の剥離ですから切削性の強いアルミナなどを使いますが、美術工芸品に模様を描いたりする場合にはガラスビーズなどを使ったりもします。

この処理によって被塗面が凸凹状になり、表面積の拡大とアンカー効果によってこの上に塗るプライマーの密着性が飛躍的に向上します。むしろこれをしないと塗装は単に乗っかっているだけですからいずれ剥がれてしまうのです。塗装が欠けてしたから艶のある下地が出てきたら何かを疑う必要があると言う事ですかね。

ちなみにアルマイト処理がされていなければこういった物理的な方法ではなく「化学的」な方法での表面処理も可能です。いつもヘッドカバーに行っている「リン酸処理」がそれですね。金属表面を酸でエッチングすると同時に燐酸皮膜を形成し、同じくプライマーの密着性を飛躍的に向上させるのです。

塗装は塗ってしまえばどれも見た目は一緒ですが、そこまでの過程が見えないと言う事は実はとても怖い事です。足付け処理の必要が無いと謳った一見すると便利そうな「密着剤」を多用すればコストは下げられますが、それでどれだけ効果が持続するのかは解かりませんからね。