自転車チェーンカバー 下地作業

chain3こちらも大変お待たせしました!作業は無事着手しておりますので御安心下さい。

ご依頼品は自転車のチェーンカバーでして、普通なら余り気にならない程度の傷かも知れませんが、今回はこちらの修理と色を「艶消し黒」での塗装でご依頼承っております。

上の画像は作業前の状態で、小傷もあるのですがそれとは別に円の内側を一周するような線傷もあります。

chain2傷は#240で削り落とし、全体的に#320で足付け処理をします。ヘラに巻いてある青い布状の物が足付け用の副資材です。昔はこういった足付け作業は「紙やすり」(ペーパー)が主流で、その後繊維に研磨粒子を吹き付けた「スコッチ」、そして近年ではこの布状の「アシレックス」(ってこれはそのまま商品名なのですが)が足付け作業の主流になりますかね。ただし足付け作業に特化したものなので「ラインを整える」といった使い方は出来ません。コシが無いので擦っても単に削るだけでラインは平らにはならないんですよね。

chain4 そしてサフェーサーを塗る準備です。実は素地調整までは先日までに終わっていたのですが、これの他に何かサフェーサーを塗る仕事がやって来ないかと待っていたのですが結局無かったので単体で結構しました。

ちなみに左側の部品は素材の色が白で、右の方は黒くなっています。どちらも素材自体は同じABSだと思われますが何故か素材色は違うようです。どうしたのでしょう・・・。

chain5  プラスチック素地が露出している箇所にはプラスチックプライマーを塗布し、続けて全体的にサフェーサーを塗布します。小傷は少ないように見えても至る所に散らばっている場合にはサフェーサーは部品全体に塗ってしまう方が間違いは無いです。

ただしサフェーサーは肌が荒れ易いので逆に作業を大変にしてしまう場合もあります。なので今回のようなケースではシンナー希釈を多めにして薄膜を塗り重ねるようにして仕上げます。肌は細かくパサついても構わないのですがラウンド(肌の凸凹)が大きくならないように気をつけます。

見習いの時は本塗りなんて一切やらせて貰えないのが普通ですが、唯一こういったサフェーサーやプライマーなどの下地塗装の時のみスプレーガンを持つのが許されます。逆にそういった環境だったからこそサフェ塗り一つとっても丁寧にやろうとか心がけられたんでしょうね。いきなり本塗りから始めたらこういった見えない所の作業は疎かにしてしまう癖が付いていたかも知れません。手は出なかったにしても言葉のパワーハラスメントはあったと思いますが、お陰でいい加減な性格の私でも多少は人並みに働けるようになれたのだと思います。トラウマは今も色々ありますが(笑)有り難い限りです。

本塗りは「内鍵」と一緒に行う予定で、恐らく来週中には出来ると思います。もう少々お待ち下さいませ!