マツダアテンザ フロントグリルなど本塗り

atenza28 こちらもお待たせしました!マツダアテンザのフロントグリルなど無事本塗り完了しておりますので御安心ください。

atenza29こちらのロアグリルは他店にて「メッキ調塗装」が行われていた為に後からの合流となりました。なので他の部品はゴールデンウィーク明けから預かっていたんですよね。この度は長らくお待たせしました。

ちなみにメッキ調部分を残すのはフィンの先端部分のみでして、その他の箇所は他の部品同様ボディ同色の黒メタリックに塗装します。

atenza30 そして本塗り完了です。さらっと言っていますが流石にこのフロントグリルは大変でした・・・。

フロントグリルはあらゆる方向に「面」があり、さらにその途中に柱があったりと非常に塗り難いのです。これを綺麗に塗るコツとしては、スプレーノズルは一番細くして、塗る方向は裏が8方向、表からも8方向といった結構な荒技と言うか非常に忙しいのです。ちなみに裏から塗る場合は片手で持ち上げながら塗ります。勿論それを支えている左手も一緒に塗ってしまいます。

atenza31これら小物も一緒に塗っていまして、一番右の小さな部品はフロントグリルの一部です。途中までこれが外れるとは気付きませんでした・・・。画像がありませんがさらにナンバーブラケットも同色で塗っています。

atenza32 そしてメイン(と言うかかなりお金が掛かっているであろう)ロアグリルも無事本塗り完了です。

LED加工されたテールランプなんかもそうですが、既に何かしらの加工が施された物を私が塗装で失敗してしまったらどうなるのかとよく不安になります。まあそれくらいのプレッシャーがあった方が身が引き締まって良いのかも知れませんけどね。しかし胃液が・・・(苦笑)。

atenza33ちょっと判り難いので立てて撮ってみました。確かに先端のメッキ感が良いアクセントになっていて他には見ないロアグリルになったかと思います。さすがディーラーのメカニックと言うところでしょうか(笑。わざとだか知りませんが前回のご依頼時は全く知りませんでしたので・・・)。

それでは完成しましたらまた紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!

ビアンキフレーム 下準備

bianchi5 長らく溶剤槽に漬け込んでおいたビアンキのアルミフレームです。途中何度か出してスクレーパー&ワイヤーブラシで擦っていまして何とかここまでになりました。剥離剤を使えば一発なのですが色々考えると出来るだけあれは使いたく無いんですよね(使った事がある方なら判るかと)。

bianchi6 パイプ状の箇所は傷などもあるのでダブルアクションサンダーにて表面を削りますが、こういった入り組んだ箇所には塗膜が残っていたりするのでこういった箇所はサンドブラストで処理します。

bianchi7 ブラストボックスに入れて準備完了です。蓋を閉めてもかなりホコリっぽいのでマスクは欠かせません。長生きしようとは考えていませんが苦しんでの最期は辛いですからね(塵肺は大変です)。

bianchi68そしてこんな感じにスッキリしました。ワイヤーガイドの中なども処理しておきます。

bianchi8 で、プライマーを塗る前に最初に外しておいたブラインドナットを取り付けておきます。「プライマーの後じゃなくて大丈夫なの?」と思うかも知れませんが、フレームとナットの間にはエポキシ接着剤を充填するので錆びは出ませんから御安心下さい。ちなみにパネルボンドの説明書にも「鋼板に直接」と書いてある筈ですので。

ちなみにピンセットが一緒に写っているのは、最初に外して回収出来なかったブラインドナットの破片3個をチューブの内部で固定する為です。

方法としては穴から少し除いた箇所にエポキシ接着剤を付けて影響が無さそうなところ(水抜き穴から遠い所)に転がして固定させ硬化させてしまいます。グリースを入れると言う手もありますが二度と見る機会は無いですからこの方が確実ですかね。ちなみに最初から判ってやっている事でミスをしている訳ではありませんから御安心ください。ブラインドナット付近の腐食除去を優先させた為です。

bianchi9穴の周りにエポキシ接着剤を塗布したらブラインドナットを打ち込みます。ブラインドナットはアルミとスチールを用意していますが今回はスチールを御選択頂きました。ちなみにアルミとスチールだと電位差の関係上そこに腐食が生じ易いですがちゃんとプライマーや今回のようなエポキシ接着剤が塗られていれば大丈夫です。シーラーでも勿論構いません。何もしないでっていうのだけは避けた方が宜しいかと・・・(まあ私も自分の自転車は気にしませんが。この部分はもう腐食だらけです)。

bianchi10 そして食み出たエポキシ樹脂をシンナーでふき取り、適当なボルトを強く締めこんで空回りしないようであれば完了です。

ちなみにブラインドナットの打ち替えは当然有料になるので、特に問題が起きていなければ打ちかえる必要はありません。カーボンフレームであれば万が一の割れなどを考えるとそんなリスクを負う必要は無いと思いますので・・・。

bianchi11 そして台にセットして全体を脱脂したらプライマー塗布の準備完了です。実際塗るよりもここまでの作業の方が余程時間が掛かっている訳ですが、塗装にはこういった「付帯作業」が必要なので比較的費用は抑えてはあると思います。時々「剥離とプライマーの塗装までやって欲しいのですが」といったお問い合わせがありますが、それだけでは塗装屋の仕事にはなりませんので出来ないのですよ・・・。何卒御理解下さいませ。

bianchi12 そしてプライマーの塗装が完了です。塗装屋としてはようやくこれで一安心と言う感じです。

こういった作業は本来であれば分業で行う方が効率が良いのですが、そもそも当店には私一人しかいませんし(苦)、それだと楽しさが半減してしまうという所でもあります。大変だった下地作業だけをやってあとは誰かに塗られてしまう、しかもその仕上がりが余り良く無いなんて事だったら残念過ぎますよね・・・。結果、何でも一人でやらないと気が済まないと言う事なのです。

せめてデスクワークを無くして現場だけやっていたいんですけどね。これが今後の課題でもあると思います(故の工場引越しと言う事なのです)。

 

メルセデスW124ヘッドカバー プレート作成

w1242 先週本塗りを終えていましたが焼き付け後の画像が無かったので改めて紹介させて頂きますね。こんな感じで無事結晶塗装本塗り完了しております。

色についてはこの画像で見る限りでは余り黒味が感じられませんが、実際には周りの皆さんが「今回は随分黒いね!」と言うくらいですので御安心下さいませ(今回は「ドス黒い赤」で承っていますので)。

w1243 そしてプラグカバーを被せてみました。やはりこのままだと何かが足り無いですよね。ちょっとのっぺりし過ぎているのです。

と言う事でこのプラグカバーにオーナー様が手配した「切り文字」とプレートの装着~塗装も承っています。

w1244 土台となる細長いプレートはアルミ製で切り文字はステンレス製です。何故かというとレーザーでカットするのはステンレスの方が楽だからですかね。アルミも出来るのかも知れませんが余り聞かないです。

まずは接着面を足付け処理します。ダブルアクションサンダーの上に乗せて指で押し付ける感じですかね。この時点での足付け処理は塗装の為ではなく「接着」の為の作業です。

w1245 切り文字の固定に使うのはエポキシ系の接着剤で、業界では有名な3Mのパネルボンドです。これが出た当時は「そんなんじゃ溶接の変わりにはならないでしょ」と批判も多かったようですが、これによるメリットを考えたら使わない手は無いかと思いますよ。溶接した箇所の後始末が未処理で日に日に錆び朽ちていくのを考えれば・・・ですかね。剥がれてしまうのは脱脂不良とか攪拌不良とか何か理由があったのでは無いでしょうか。

w1246 特に今回のような異種金属の接合?には接着剤は便利です。最近ホンダのフレームでスチールとアルミを溶接(確か摩擦熱で)する技術が採用されていますが、町工場レベルの設備でそれの修復は難しいでしょうから修理はいったいどうするんでしょう・・・(BMWはカーボンフレームを採用するんでしたっけ・・・)。技術の向上は歓迎出来ますが万人向けで無いと消費者も損をしてしまいそうで怖いです。

位置が決まったらこのまま熱を掛けて強制乾燥硬化させます。本当は板でも当てて押し付けたいところですが(確か密着性は圧力に比例する筈ですので)、切り文字が微妙にでもズレたら取り返しがつきませんからこのままの状態で熱を掛けることにします。一旦硬化してしまったこれを非破壊で剥がすのは恐らく不可能かと思いますので・・・。

w1247 エポキシ接着剤は80℃30分くらいで完全硬化するので設備さえあれば比較的早く次の工程にいけます。

続けてサンドブラストを行いますが、これは塗装前の「足付け処理」の為の作業です。切り文字の側面部分(1ミリでしょうか)もちゃんと足付け処理しないと経年で塗装が剥がれてしまったりするのでこの辺の作業は結構大切なのです。

そもそもエンジンヘッドカバーの塗装で「耐熱塗料じゃないと剥がれてしまう」と言うのは塗装屋の見解としてはちょっと間違いで、それ以前に「下地」で何か問題があるのでは?と思うのが最初になります。足付け処理はされているか、適切なプライマーは塗られているか、問題のある塗膜または腐食した素地を残したまま上から塗っていないか、ですかね。それを材料のせいにしてしまってはちょっと可哀想だと思うのです。その前に作業内容で改める所があるのでは・・・ってところですかね。勿論これは私自身にも当てはまる事ですが(苦笑)。

w1248そしてブラスト完了です。これはこれで格好良いですがアルミは腐食し易いですし汚れも付き易いのでこのままと言う訳にはいかないのです。もう少しメディア(=研磨粒子)が細かければ装飾として使えるんでしょうが・・・。

w1249そしてプライマーを塗布しとりあえず下地は完了しました。

色は純正と同様に艶消し黒をベースにし、最後に凸文字の表面を面研して光らせたら完成です。文字の部分はステンレスですから腐食の心配は無いので今回は面研後のクリアー(筆塗り)は行わない予定です。私的にはそのままの方が金属的な質感があって良いと思いますが、あえてクリアーを塗った艶感と言う事でも勿論構いません。ただプライマーを塗らない(塗れない)以上、クリアーは後々剥がれてしまうとは思いますのでそれであれば最初から塗らない方が良いかも知れませんかね。どうぞ御検討下さいませ!