カーボンフレーム&フォーク 本塗り

project46 昨日までにベースコートの塗装は完了したので本日クリアー塗装となります。ただ昨日のマスキング~ロゴ塗装で疲労はピークに達していて、しかも寝れたのが5時となったので本日は一時間遅らせて11時からの出勤となりました。フレックスタイムみたいな感じで御容赦頂ければと・・・。

まずは昨日塗ったベースコートの最終チェックを行い、脱脂処理は出来ませんが(それ故に神経質になるのです)、時間が空いているので当然被塗面にはホコリなどが付いていますから、よくエアーブローをして最後にタッククロスで拭きあげます。

これは自動車塗装屋さんなら誰しも使っている物ですが、それ以外の塗装では余り使わないかも知れません。職業訓練学校の先生は建築塗装出身でしたが、その業界ではこういったアイテムは使わなかったそうです。まあ主に屋外で塗装ブースのような環境で塗る訳では無いですから使っても意味が無いですしね。ちなみに授業では使わせて貰えませんでした(意外と高いので)。

仕様としては不織布に粘着物質が付いたようなウエスで、主な用途としては塗装面のクリーニングになります。これ自体からはホコリは出なく、表面がベトベトしているので付いたホコリがこちら側にくっ付いてくれる、といった感じです。ただし近年では粘着物質では無く、繊維自体でホコリをキャッチ出来るような構造のようでベタベタしている事はありません。水性塗料などではこの糊物質が塗装の弊害になるみたいですね。

これが何故必要かというと、被塗面についたホコリなどはエアーブローで飛んでくれる物とそうで無い物があります。何故かは判りませんが、単にくっ付いているだけなのにいくら強くエアーを吹き付けても取れないのです。触ると簡単に取れる癖にです。そんな時に素手で触る訳にはいきませんから、その場合はこれで被塗面を軽く擦ると色々な物が取れていってくれます。通常はこれとエアーブローの併用で塗装直前に行うのが普通です。

その他のアイテムとしては静電気を除去する物が色々ありましてこれも奥が深いですかね。私の場合はこの時期水を撒く事で対応しています。全然違いますよ。ただお陰で床は汚れていきますが・・・(下の画像を見れば判るかと。細部に汚れが溜まっていってしまうんですよ)。

project49 そして無事本塗り完了です。メーカーロゴが写ってしまうので撮影はそれ以外の箇所のみとなります。まあ雰囲気が伝わればと・・・。

project48 クリアーはクリスタルクリアーで、ただ気温が低いこの時期はそのままだと固くて塗り難いので使う前に缶ごとお湯に浸けて暖めておきます。

外資系塗料の特徴としては粘度が高い事で、国産のクリアーは比較的シャブシャブしていますが(私的見解です)、外資系の塗料は高いエアー圧で塗る事が前提なので(特にSATAガン)最初からかなりドロっとしています。粘度についてはシンナー希釈量である程度調整は出来ますが、規定より多く入れれば肌が荒れたり艶が引け易くなったりします。よく勘違いされがちですが、クリアーをタップリ塗ると逆に艶引けの原因になるのはこれと同じで、塗膜の中に大量の溶剤分を残すと塗膜表面から抜ける時に何かしら跡を残していくのです。これがワキ(極小さなピンホール)や艶引けの原因ですかね。何事も適量が大事なのです。

project47なので固くて塗り難い場合はシンナーで希釈するのでは無く、クリアー自体を暖かくして柔らかくして対応するのが(多分)一般的です。シンナー量などで塗料の構成が変わると塗った感じが変わってしまうので仕上がりが安定しなくこれの方が厄介なのです。例えば気温によって硬化剤は主に3種類、シンナーは3種類くらいを使い分けますが、これらが切り替わる季節の変わり目が一番塗り難いのです。

ちなみに私的には夏よりは冬の方が断然好きです。気温が低いと確かにやり難い所はありますが、とにかくクリアーはよくレベリングしてくれるので気持ちが良いのです(それ故にタレ垂れ易いと言う事もありますが・・・)。しかも日本の夏場は気温だけでは無く湿度も高くなりますから、外資系の塗料ではそれを想定していないのか思った以上にクリアーの硬化速度が早くて思わぬトラブルを起こしたりするのです(硬化剤のイシアネートが水分と反応する為です)。二回目のクリアーを塗っていたら何だかチヂレが起きているっぽい!なんて事は皆さん経験ありますよね・・・(苦笑)。

それではまた作業進行しましたら紹介させて頂きますね。もう少々お待ちくださいませ!

 

ブレンボキャリパー塗装 完成

brembo17 大変お待たせしました!ブレンボキャリパー1台分、ほぼ完成となります。発送は明日の夕方以降となりますが先に撮影しておきましたので御案内させて頂きますね。

brembo18 フロントキャリパーは元々純正の赤い塗装で、いつものようにクリアー層だけがペリペリと剥がれてしまう状態でしたから一旦全部を剥がして塗り直しています。

「brembo」のロゴはシールで、塗装でも勿論対応可能ですがシールの場合は無料で対応しています(限られた色とサイズのみ)。ただし後で剥がれた等には対応が出来ませんのでその点だけ御注意くださいませ。ちなみにこれ以外でのシール貼り付けはお受付しておりません。「およくある質問」のページでも紹介していますが、シールの貼り付けは色々トラブルがあるので今は対応していないのです。何卒御理解くださいませ。

brembo19リヤキャリパーは元々塗装が剥がされていたもので、洗浄とリン酸処理のみ行って塗装しています。こちらはロゴを貼る面積がありませんからそのまま単色黒での完成となります。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

カーボンフレーム&フォーク 下準備②

project39 本日は先程フレームとフォークのクリアーを無事塗り終えまして、ようやく、ようやく完成の日も見えて来ました。ただこの後は磨き処理も行いますし、出来れば今月一杯はこちらで保管して出来るだけ塗膜締まり切る所までお預かりさせて頂きたいと思います。ディレーラー固定のバンド跡は出来るだけ避けたいですしね(と最初に相談を受けておりましたので)。

と言う事で昨日の続きで下準備の内容を紹介させて頂きます。例の如くメーカーロゴなどは出さないようにしますのでちょっと判り難いかも知れませんが何卒御容赦くださいませ。

上の画像はフォークのマスキングで、やはりこちらもフレーム同様一旦ベースカラーとなるホワイトパールをクリアーまで塗ってあります。その後再度足付け処理~ベースクリアー(1液タイプの色の付いていないベースコート)を塗って乾燥させてマスキングに挑んでいます。

ちなみに通常であればベースクリアーをわざわざ塗る必要は無いのですが、以前紹介したように「マスキングによる塗装の輪郭をシャープに仕上げる為」と言う理由で行っています。ベースクリアーとその上に塗る色(ベースコート)は同じ成分(同じ樹脂とシンナー)から構成される塗料ですから、お互いの馴染み(溶解と言うか「侵食力」みたいな感じです)が良いので見切りのラインが綺麗に仕上がり易いのです(私的見解ですが)。

またわざわざ一度通常のクリアー(2液ウレタン)で塗装を完了させている訳は、ベースコートの塗膜の厚さが大きくなる事を懸念した事と、これから行うライン塗装の「修正」を比較的簡単に行う為です。ちょっと専門的な事になりますが、ベースコートは1液性で、これはこの上に塗る2液クリアーに含まれる「硬化剤」が浸透する事によって2液結合すると考えています。これによりクリアーとベースコートの2層が結合して「剥がれない塗膜」が出来上がるのです。

尚、今回はベースコートに直接硬化剤を入れていますから、このままクリアーを塗らずに放置するとその時点で「完全硬化」となり、その上にクリアーを塗っても十分に密着せず「層間剥離」を起こす可能性があります。「じゃあもう一度足付け処理をすれば」と思われたりもしそうですが、パールコートやメタリックに直接足付けしたらその傷はクリアーを塗っても見えてしまうのでこれは出来ません。その他色々な要因があって今回は一旦クリアーを塗って塗膜としては完成させてしまっています。じゃなければわざわざこんな手間を掛けませんので・・・。

project40ライン柄を入れる位置が決まったらその周りに本番用のマスキングシートを合わせて貼りつけ、最初に貼ったシールは剥がしてしまいます。この場所も平面で無いので左右で位置を合わせるのは大変でした・・・。ちなみにバインダーにある画像が今回のライン柄のモティーフ?となる自転車のようで、元々塗装してあった物とこれとを比較しながら(格好良い)位置を決めています。

project41 と言う事で無事マスキング作業が完了です。塗料が飛んではいけない箇所を完全に隙間無く貼るというのも結構大変ですが、実はこれを剥がす作業も大変です。こればかりはこの日の内に終わらせなければならないので昨日は夜中までの作業になってしまったのです(糊によってクリアーのハジキと言うか変な模様が出るのが懸念される為)。ただ雨のお陰か気温はそんなに低くは無く寒さは感じなかったのは幸いでした。真夏にこういった作業をするよりかは寒い方が全然マシですので(所詮関東の冬ですし)。

project42 まずはロゴのシルバーを塗装します。一部モザイクが入っていますが御理解ください。CSIなら解析出来るかもですね(笑)。

project43そしてライン柄の紫を塗布しますが、やはりと言うかこれらについてはそのまますんなりとは終われなく、注意に注意を重ねていたのにマスキングが浮いてきてしまった箇所はあるのです。と言っても想定内ですので御安心ください。

こういった場合、通常であればベースカラーの白い方を塗り直しますが、ただし今回は3コートホワイトパールなのでこれだけで色を二種類、しかもスポット的に塗るとムラが生じてしまいますからかなりの広範囲での塗り直しが必要です。しかしながら紫に塗った箇所を今度は全部マスキングするなどといった作業は有り得ませんので、今回は紫部分を塗り直す事で修正していきます。ここでわざわざ下地にクリアーを塗って完全硬化させていた事が活きてくる訳ですね。

project44下地のホワイトパールは一旦2液クリアーまで終わらせていますから、実はここで「シンナーによる拭き取り」が可能なのです。クリアーが塗っていない場合は勿論下に塗ったパールも溶けてしまいますから通常そんな事は出来ません。

ただし食み出た部分のみ綺麗に吹き取れると言う事ではありませんから(そんな神業無理でしょう)、多少オーバー気味にその辺りの塗装を拭き取り、再度白い部分をマスキングして紫を塗り直します。範囲にして3cm~5cmくらいでしょうか。マスキングシートはデータさえあれば何度でもカット可能ですので一時作業を中断して二階に上がり必要な部分だけカットして貰います。24時間付き合ってくれる機械の存在は有り難いのです(病)。

project45 そしてこんな感じでベースコート塗布完了です。

マスキングをする為の素材として、通常のマスキングテープは紙質ですから比較的薄く「コシ」が柔らかいのが特徴で、それのお陰で多少の段差でも剥がれずに収まってくれます。対してラインテープや今回使用しているマスキングシートは「プラスチック質」なので、仕上がりはシャープになりますがコシが強いのでちょっとした段差で浮き上がってしまいます。今回浮いてしまった箇所とは別に、例えばラグとチューブとのちょっとした段座でもわざわざ一旦そこでカットして紙質のマスキングテープを使っていたりします。「だったら紙のテープをメインに使えば」と思われそうですが、それだとスッキリとした見切りラインはやはり難しいんですよね。被塗物対象がもっと大きい物、例えば自動車の車体を上下色分けする2トーンカラーなどであれば細かいところまで気にしませんが、範囲が小さい塗装だとこういった所に目がいってしまうので気の遣い方がさらに細かくなってしまうのです。まあそれを気にするかどうかはまた別の話ですが(笑)。

と言う事で続けてクリアー塗装ですが、ちょっと長くなってしまったのでこちらはまた別に紹介させて頂きますね。

カーボンフレーム&フォーク 下準備

project30 お待たせしました。深夜になってしまいましたが先程無事ベースコート塗装、完了しました。朝一の段階では「あわよくばクリアーまで」なんて考えていましたがその半分にも達しませんでして・・・。まあこちらの御依頼は元々時間制限は設けてませんので(謝)、とにかく確実に作業して進めていっています。

上の画像は一昨日作業前の状態で、ベースコートのホワイトパール、そしてクリアー(極薄膜)までは昨年末に塗ってありました。画像で見ても判るようにこのままでも完成でおかしくは無い状態ではありますが実はここからが本番となります。この日の為に全てのロゴやライン柄などをデータ化しておきましたので(地味ですがこれがかなり大変なのでして)。

project31 と言う事でちょっと勿体無いですが再度全体を足付け処理します。ちなみにこの後はロゴとライン以外に色は塗らず「クリアーのみ」の塗装となる為、汚れが付くのは絶対に避けなければならなく、また足付け処理でも削り過ぎて下地を露出させてもマズイので(相当マズイです)こちらも注意して行います。

project32 そして足付け処理が完了です。艶が無くなってサフェーサーを塗ったような感じですがこうしないとこの上に塗装しても剥がれてしまうので必要な作業なのです。ちなみに今回は「汚してはいけない」「角(下地)を出してはいけない」と言う事で随分と時間が掛かってしまいました・・・。

ちょっと画像を撮り忘れたのですがこの後よく清掃をしたら続けて「ベースクリアー」を塗っています。前回LOOKのフレームを塗装した時に良い塩梅だったので今回もその方法で行う事にしました。

ここまでやっておきこの日は終了となります。

project33 そしてこちらが本日朝一の状態です。二階には大きな作業台があるので前の日から必要な物をここにセットしておき、前の日にベースクリアーを塗り終わっていたフレームを二階に持ち込んでマスキング作業を開始します。

尚ロゴに関してはオーナー様の御配慮により伏せる事になっておりまして、ただその為にちょっと判り難い撮り方になっていますが何卒御理解くださいませ。

それにしても普段は使っていないこの巨大な作業机が今回かなり重宝しました。必要な物は全部乗っかってしまいますし、私自身も乗っかって作業する事が出来ましたので。

project34 最初に各ロゴのマスキングを終わらせ(これは紹介出来ませんので)、続けてライン柄のマスキングを行います。尚今回はちょっと変則的なやり方で、わざわざ手間が掛かる方法になっています。

本来であれば先にライン柄の色「紫」を塗っておき、そこに上の画像のようにマスキングを貼った上にベースカラー(ホワイトパール)を塗装、その後マスキングを剥がしたら下から紫が出てくるのでもうそれでライン塗装は完成、といった感じで非常に簡単に出来るのですが、それだと色々と弊害がありまして、そもそも今回の御依頼は「デザインは元の通りに、とにかくクオリティを上げて仕上げて欲しい」といった内容ですから、最初に行われていたその方法ではちょっと足り無いんですよ。とにかく今回は至る所にかなりの伏線を敷いてますので。

と言う事で、まずはラインの位置を決める為に上のシールを貼っています。単に貼るだけではありますが左右で揃えなければならないので実はこれが一番難しく、実際この位置決めだけで一時間以上掛かってしまいました。まあこれは想定内ですけどね。

project35 位置が決まったらその周りをマスキングします。当初はラインテープで行う予定でしたが、アールが結構厳しい事、また上の部分がかなり複雑な形をしているのでその方法ではちょっと厳しく、だったらと言う事でメス型のシートを使う事にしました。

project36 こんな感じで立体交差点のようになっていますから、普通にマスキングをしようとするとちょっと無理ですよね。

ちなみに一枚で貼っているように見えますが実際にはカットし分割にして貼っています。でなければ水無しでは到底貼れないかと・・・。

project37リヤのステー上部にもラインが入ります。PCモニターに写っているのが最初の状態で、こういった柄を全てトレースしてデータ化し、それをマスキングシートとして出力しています。準備を万端にしていても実際に作業するとなると予想以上に時間が掛かってしまいまして、特に今回は「気軽に触れない」と言う事があるので非常に神経質になってしまいます。途中から電話回線も切ってしまいました。他の物を触るとその都度手を洗わないといけないのでこれがかなりのストレスになってしまいまして・・・繋がらなかった方には申し訳御座いません。御理解下さい。

project38位置が決まったらそれに沿ってマスキングを行います。こちらは先程とは違ってラインテープを用いて行っています。ただ先端(シートポスト方向)に行くにつれて先細りとなり、しかもフレーム形状が山形になっているのでラインテープだとコシが強すぎて端が浮き上がってしまい、これは本塗りしながらラインを修正~マスキングし直すと言う事で対応しました。ただこれに結構時間が掛かってしまったんですよね。勿論それ以外でも修正はかなり行って、とてもじゃありませんがクリアーを塗るどころではありませんでした・・・。

他にも画像はあってまだ続くのですがちょっと本日はもう全てを使い果たしてしまったような状況でして、後は何か違う物が出て来てしまいそうですから都筑は後日改めて紹介させて頂きたいと思います。何とかキリは付きましたので御安心くださいませ・・・!