馬の置物 下準備

horse3 長らくお待たせしております!馬の置物は先日サンドブラスト屋さんから戻って来まして、元々あった塗膜も錆びも綺麗に払拭されて来ました。このままでも良いくらいですが長くは持ちませんので(鉄は安定しようとして酸化鉄(さび)の状態に戻ろうとします)保護の為に塗装が必要なのです。ちなみに塗装の役割は「識別」「保護」「美観」の3つです。

horse4 旧塗膜が無くなって判りましたが結構穴やら裂け目が多く存在します。元々こういった箇所の塗装が浮き上がっていたのである程度は覚悟していましたがまさかここまでとは・・・(いつもの事ですね)。

horse5 という事で早速シンナーで洗い流してプライマーを塗ります。プライマーは防食性の高い浸透型エポキシプライマーを使います。

ちなみに通常の自動車補修塗装ではまず板金屋さんからスタートしますから、パテの前にプライマーを塗ってくれるなんて事は会社が大きくなればなる程稀になって来ます。ディーラーでは有りえないかも知れ無く、私が居た集中センターでも当然そんな事はしていませんでした。ヤナセさんにあったレストア専用の部(オールドタイマー)はやっていたようですが、もう無くなってしまったようでして・・・。

horse6サフェーサーの前に塗るプライマーは「ウォッシュプライマー」ですがこれの上にはパテは塗れません。一見良いことをしているように思えますが塗ったパテは簡単に剥がれてしまうので実はやってはいけない事なのです(以前勤めたいた会社の社長は言っても聞いてくれませんでしたが・・・)。

パテを塗る事を前提とするなら、今回のようなエポキシ系かまたは2液ウレタン系でも大丈夫です。当初はスタンドックスでもそれ専用のプライマー(懐かしい「レッドブラウン」ですね)がありましたが、売れなかった為か(苦)廃盤になってしまい今は通常の2液ウレタンサフェーサーでもOKとなりました。

塗装の面白い所は、各工程での作業で比較的自由度が高いことです。勿論決められた事(やってはいけない事)はありますが、使う材料ややり方・順番などは作業者の意思に委ねられる部分が多いです。まあそれ故に同じ会社内でも仕上がりにムラが生じたりトラブルが絶えなかったもするのですが。

ちなみに昔私が居たディーラーの集中センターではその車に携わった作業者のデータは残るようになっていて、その一台に関わるのは板金屋一人、塗装屋が一人の二人だけですから後で問題が起きても責任の所在がちゃんと判るようになっていました。ただしこのシステム上、自分の仕事以外の事を行うのは厳禁になっていて(現場専用の作業用タイムカードがありました)、例えば困った事があっても誰かに手伝って貰う事は出来ないのです。まあこれのお陰で精神面は鍛えられたところはありますけどね(苦笑)。その後一時的に勤めた板金塗装工場では、同じ社内で「犯人は誰だ」とか「誰が言ったんだ」とかの責任の擦り合いと愚痴が蔓延していて、その点では外資系のドライな気風でもその方が全然マシだったと思います。

と、話が逸れてすいません。継ぎ目はポリエステル系パテで埋めるのは無理ですので(無理では無いですが私的には有り得ません)、一旦エポキシ樹脂で埋めてからパテで均すようにします。予定より時間掛かりそうですが作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!

バイクテールランプ 割れ欠け修理

kawasaki16スモーク塗装で御依頼頂いているバイクのテールレンズですが、ネジで固定する部分が崩壊しました(苦)。

いや、元々ヒビ割れが入っていたのはオーナー様にも御報告済みだったのですが、何かおかしいと思って裏側からその辺りを触ってみるとポロポロと取れてしまったのです。

kawasaki15 欠けた箇所はネジが差し込まれる土台部分で、表から見ると一段窪んでいる所です。裏から見るとそこが出っ張った形になっていて、そこが3分割に割れて取れてしまった感じです。ちょっとビックリしましたがむしろ塗る前に気付いて良かったですよ・・・。

kawasaki17 という事で実は既に修正済みです。どの道今回は比較的濃い目のスモークですのである程度補修した跡が残っても判らなくなる筈ですので仕事の合間に進行させていました。修理に使ったのは透明なエポキシ接着剤です。注射器状になっていて押すと主剤と硬化剤が適量出てくるタイプですね。ただし保管方法を間違えると使い始めに適量が出てくれません(苦)。注意が必要です。

kawasaki18 混合してからの可使視時間は冬場でも5分程度ですから最初に組み合わせ箇所を確認しておき、まずは出した接着材の半分程度を混合させて破片を組み合わせます。良い具合になったら残りも混合させ本体と接着させます。「二回に分けた方が確実なのでは」と思いそうですが本体との接合面についた接着剤が固まってしまうと断面が上手く嚙み合わなくなるんですよ。一度固まったらもう元に戻せないので色々シュミレーションしています。

kawasaki19 接着剤は既に硬化していて、この状態でもパッと見は判らないと思います。ちなみに反対側もちょっと危なそうだったので根元周りにエポキシを充填させて補強しておきました。

昔ながらのこういったテールレンズ単体の場合、水漏れを防止させる為にどうしてもネジを強く締めがちで、ネジ穴付近にヒビが入ってしまう事は良く見受けられます。そもそも締め付けトルクと水漏れ率が比例しますからどうしようも無いですよね。ROVER MINIのテールレンズも同様で、上司からは「そこ強く締めすぎんなよ!」とよく注意されました。漏れるのはパッキンが原因なのは判っていてもついつい締めたくなっちゃうんですよね。

kawasaki20全面にマスキングテープを貼ってしまうと本塗り中に今どれくらいの濃さになっているのが判らなくなってしまうので一部には透明のフィルムを使っています。

ネジ穴に穴を開けているのは空気がそこを通るようにする為で、エアースプレー方式の塗装だと行き止まりの所はエアーが跳ね返ってしまうので色が着かない(塗れない)のです。実際に効果があるのかどうかは判りませんが、どうもこういった事を考えると頭の中で拡大図みたいに映像化されてしまいついつい気になってしまうのです。多分職業病みたいなものですかね。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

 

スターバックスタンブラー 本塗り

star11 こちらもお待たせしました!無事本塗り完了しておりますので御安心下さい。ちょっと予想以上に時間が掛かってしまいまして・・・。

画像は色を決めている所で、オーナー様の御希望はある程度伺っているのですが余り良さそうな色が無く、だったらという事で先日レガシィの内装に塗ったホワイトパールを参考にする事にしました。一番最初に塗るベースカラーを原色の白そのままで、その上にはオーナー様の御要望でもある「余り粗くないパール」という事で比較的細かいパール顔料を使う事にします。

star12 ロゴの色は「淡いピンク」で承っておりまして、参考にしているのはタンブラーの絵柄にある薄い花びらの色となります。スティックの延長線上にあるものですね。色の構成は単純で、白にマゼンタを数滴入れています。

star13 元々あった絵柄は特に段差などは(殆ど)無かったので多少残っても良いかと思っていましたが、脱脂をしていたらみるみる内に溶けてしまい、結局綺麗に取り除く事となりました。溶解力の弱いシリコンオフで溶けるとは・・・残していたら危なかったです(まあ普通気付きます)。

star14 ベースコートを塗り終わったらデカールを貼ります。こういった作業風景を画像で見るのが私的に好きなので今回はちょっと画像が多めになっています。多分皆さんも好きだと思いますので(笑)。

デカールは先日こちらでも紹介した自宅で作成した物で、それを切り取って水に浸しています。水を入れる容器が無かったので今回は珈琲カップのソーサーで代用です(苦)。画像右上にあるのがデカールを貼るプラスチック製の板で、これはタンブラーの底に貼ってあった物です。結局外した状態で塗る事にしました。

star15 水に漬けて数分立つとこんな感じで表面のフィルムと台紙が離れてくれます。この汎用プリントデカールの原理としては、恐らく紙の上に水で溶ける膜を塗ってその上にクリアーを塗って造られているのだと思います。もしかしたら自分でも作れるかも知れませんね(これも廃盤になったら考えます)。

star17 デカールは無理に引っ張ると破けてしまうので一応それ専用のピンセットを使っています。ただタミヤ製のを買う必要は無かったっぽいですけどね(版権代かで妙に高いです)。

画像左奥にあるのがデカール専用の密着剤で、これはプラモデル屋さんで普通に売っている物です。デカールを貼る前と貼った後にも垂らして最後に綿棒でよく拭き取ります。

失敗しないコツはこの後よく乾かす事ですかね。私の場合はヘアードライヤーを使って強制乾燥させています。いつもの工業用ドライヤーだとグニャグニャっとやってしまいそうですので・・・(勿論経験済みです)。

star18 ネームの方はカットしたマスキングシートを使って塗装で入れています。

star19 そしてクリアーを塗ったら本塗り完了です。光に当たるとパール感が出ているのが判ると思います。バターのような黄色味も無く、青味掛かって寒い感じもしないニュートラルなホワイトパールになったかと思いますので御安心下さい。

star20ホワイトパールの上にシルバーはもしかすると埋もれ気味になるかと思いましたが(敢えて狙ったかも知れませんが)全然そんな事は無く、実物は画像で見るよりもくっきりと見てとれます。ドライプリンターのシルバーは塗装で行ったシルバーよりも金属感が強く、見る角度によって黒く見えたり輝いたりします。今回は序にうちのロゴも印刷しておいたので(笑)ちょっと何かの時に試してみたいと思います。

それでは完成しましたらまた紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!