HONDA CB1300ヘッドカバー ブラスト前準備

cb15先日お預かりしたホンダCB1300のヘッドカバーは、アルカリ洗浄槽への浸け置きで綺麗になったので、上に付いている小さいカバーを外して中に入っていたフィルターのような物を取り外し、再度カバーを仮止めしたらサンドブラスト屋さんに発送します。小さいカバーも塗るので取り付けた状態で一緒にサンドブラストをしておいて貰います。

ブラスト作業については軽めの物(主に足付け処理の為)であれば当店で行いますが、今回のように根深い腐食の場合は強力な直圧サンドブラストで処理したいのでブラスト作業を専門で行っている業者さんにお願いしています。いつもとんでも無く綺麗に仕上げて貰えますし気遣いも素晴らしく、もう本当にそれに尽きると思います。

ちなみに今回一個だけだとちょっと寂しいので、以前私物として購入したHONDA CBR(多分)のヘッドカバーも一緒にお願いしました。そちらは時間がある時に自分でブラスト作業をしようと思っていたのですが、塗膜を剥がしたら下から信じられない程の腐食が出て来たのでもうどうにもならないと思って眠っていたのです。一応撮影しておきましたのでいずれ紹介したいと思います。

それではブラスト屋さんから戻って来ましたらまた紹介させて頂きますね。どうぞごゆっくりお待ち下さいませ!

フィアットアバルトのテールランプが装着されたようです

fiat57先日お納めしましたレッド仕様のフィアットアバルトの純正テールランプが無事装着されたようでオーナー様より画像を送って頂きました。お手数を頂き有り難うございます!

ちなみにナンバープレートの画像加工はオーナー様によるものですので(何故か笑)。

fiat54 こちらが元の状態で、純正のテールランプは最近の日本車と同じくクリアーレンズのタイプになっています。見た目があっさりしています7よね。

fiat55 そしてこちらが装着後です。白いボディにアクセントが効いたのが判りますよね。オーナー様からコメントも頂いていますので紹介させて頂きたいと思います。

「本来ならば日曜日に取り付けて、トリコロールデイS 2015に参加予定でしたがあいにく小雨模様でしたので、断念いたしました。 

届いたテールランプを開封した瞬間おもわず「きれい」とい言葉が出てしまいました。
レッドキャンディーに深みがあって、とても満足な仕上がりでした。 
知らない方からすれば、ほとんど気付かれない部分のカスタムですがほとんど自己満足の世界ですね。(笑) 
先のメールにも書きましたが、完成を待っている間も日記のおかげで、作業工程もわかり、あっという間の完成でした。
 
また機会がありましたら、よろしくお願い致します。この度はありがとうございました。」
との事です。
 
「トリコロールデイ」については私も存知でいなかったのですがオーナー様のブログで紹介しておりましたので宜しければどうぞ!
 

fiat56ご依頼頂いた方から時々「その後のメンテナンスはどうしたら?」とご質問を受けますが、テールランプへ施された塗装は自動車ボディを補修した時の塗装と同じですので、扱い方はボディと同様にして頂ければと思います。洗車をする際はやはり丁寧に、ワックスを掛けるのでしたら一緒に掛けてあげて頂ければと思います。まあ最近のワックスは「濡れたまま掛けて拭くだけ!」みたいなのが主流ですから特に意識せずにコーティングされるので大丈夫ですよね。

ちなみに昔ながらの半練りワックスとかは拭上げ時の乾拭きで塗膜に傷が付き易いので、テールランプに限らず出来れば特別な日?以外は避けた方が宜しいかと思います。またはスポンジやウェスなどは毎回新品を使うか、洗濯機などでしっかり洗った物を使うと良いと思います。ただ乾拭きの、あのスベスベした感触はやっぱり堪らないですよね~(笑)。

この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

BMW R80GS Gas Tank Paris Dakar

bmwgs半年くらい前にお納めしたBMW GS80用の巨大なフェーエルタンクで、当時行った作業内容を一連の流れにしてまとめて紹介したいと思います。

このフェーエルタンクの素材はPA(ポリアミド)なる樹脂で、一般的には「ナイロン」と呼ばれている物です。洋服とかによく使われているアレですね。PP((ポリプロピレン)と同様に塗料の密着性が悪い部類の樹脂ですが、塗装不可能と言われたPE(ポリエチレン)に比べれば全然現実的な素材なので問題はありません。

bmwgs4 下地処理はいつも通りなのでわざわざここで紹介する事では無いのですが、順を追って画像だけ見れば判るようにと一応紹介しておきます。サフェ研ぎは地味に大変な作業ですし(笑)。

bmwgs4 問題大変だったのはカラーリングを「パリ・ダカール仕様」でご依頼頂いていた事で、最初は私も「二色にぶった切ってマールボロのロゴを入れるだけじゃ」なんて安易に考えていたのですが、如何せんタンクが凄い形なのでライン一本引くだけでも右を貼って左を貼って右を剥がして左も剥がしてとか延々繰り返すような大変だった記憶があります。

bmwgs11さらに大変だったのは年式?によって色々バリエーションがある事で、細かい部分はオーナー様に資料を用意して頂き決めて頂きました。

bmwgs17私が行っている塗装はフリーハンドで絵を描くような事とは全く違って、どちらかと言うと「元の状態に復元」といった事がベースとなっているので、基本となる部分を少しずつ積み上げていくような行程で行っていきます。この場合は水平の基準をフェーエルタンクの上部に決めたので(勿論オーナー様と)、そこから各部の配置位置を決めていきます。この辺はウキウキしてやると言うよりも色々な物を消費しながらやっていく感じですかね。苦しい時間が続きます。

bmwgs19ちなみにフェーエルタンクは安定性が悪かったので前後・左右のレベルがちゃんと出せる専用台も作成しています。と言っても単に木材を組み合わせてアルミのアングルやら全ネジを通しただけですけどね。ちなみにこの木製の台はそれを乗せているスチール台に直接ドリルビスで打ち込んでいますので倒れる事はありません。

bmwgs24 作業で一番嫌なのは迷いが生じる事なのでとにかく資料を揃える事が癖になりました。ただ単に集めるだけでは無く、イラストを作成したり数値をデータ化して頭の中で作業行程をイメージします。本塗りまでに大体何度か夢に出て来ますが、結構それで問題点が判ったりするのでそれはそれで助かっていますかね(見る夢はどれも失敗で、お陰でそれの回避方法もイメージ出来るのです)。

bmwgs27 各配置さえ決まればあとはそんなに難しくはありませんが、今回のオレンジは隠蔽力が弱いので下塗りをしてコート数を減らし、また見切りのラインが汚くならないようにスプレー方向に気をつけて行います。上の画像からするとこの状態でオレンジを塗る場合、見切り部のマスキングの厚みを使って段差を緩やかにする為にスプレーガンのノズルは常に左側を向いています。「スプレーは被塗面に垂直に」が基本ですがその辺は臨機応変という事ですね。

bmwgs31 複雑なラインの上にロゴを入れる事自体は問題無いのですが、これを左右同じ按配にするのに苦労しました。左右を対称にする場所とそうで無い場所をちょうど良く組合さなければなりません。昔の商用車などで文字も反転して描いたりしていた物があったと思いますが、多分あれの方が楽な気がします。

bmwgs37 最初に決めたラインがズレてしまうとその後それがどんどんと増長してしまって最後は収集付かなくなったりするのですが、地道にひとつひとつを揃えていくとどの角度から見ても違和感無く仕上がるようになります。

bmwgs39 インターネットを通じて知り合ったオランダの塗装屋さんがこれからこれと同じ内容の塗装を行うとの事で各部のデータや画像などを差し上げました。いずれ同じような物が出来上がるかも知れませんね。

bmwgs40  クリアーはクリスタルクリアーで、一部垂らした箇所があったので磨き処理はしています。

bmwgs42 いずれは3Dスキャナーなどで被塗物全体をスキャンして、塗り分けやロゴなどそれぞれの位置をレーザーポインターで示してくれるなんて時代が来るかも知れませんし、またはロボットが塗ってくれるなんて事もあるかも知れませんが私的には結構歓迎です。塗装は塗る作業以外にも下準備の方がかなり奥が深いと思うので、もっとそっちをやれれば面白いと思っています。

bmwgs43元々が修理の塗装で育ったので、派手さと言うよりも細部の仕上がりに重きを置く傾向にあると思います。とにかくラインが平行だとか隙間が常に均一だとか、左右は対象かつ非対称な部分も違和感が無いように仕上げ、「まさか後から塗ったとは思わなかった!」と」思ってくれれば最高ですかね。

 

メルセデスR129ヘッドカバー 結晶塗装 本塗り

r1295 メルセデスR129 AMG600SLに装着予定の73エンジンヘッドカバーです。旧塗膜と腐食はサンドブラスト屋さんにて処理して頂き、当店に戻って来てから燐酸処理を行ってマスキングをしいよいよ本塗り開始です。

r1296 まずはいつも通りプライマーを塗布します。いつも行っているW124のヘッドカバーはマグネシウム製で腐食が激しく再発の可能性が高いですから使用するプライマーは防蝕性の高い浸透型エポキシプライマーが必須ですが、こちらは一般的なアルミ製なのでいつも通りで大丈夫です。多少重くてもパワーがあるのでそんなの関係無い!みたいな感じなのでしょうか(恐)。

r1297 そして本塗り完了です。見ての通り塗り肌が悪いですがこれは鋳造で作られたヘッドカバーの素地が悪いからでもあって、ちなみにインマニの方はこれよりも酷いです・・・(苦)。

ただし結晶塗装の場合はこの後熱を入れる事によってチヂレ目が発生し、それによって素地の粗さは殆ど目立たなくなります。むしろ格好良いくらいに、と・・・。

r1298 ちなみに結晶塗装に使う塗料はそれ専用の物で、今回のような色は元々設定がありませんからそれぞれの原色を混ぜて使います。ただこれも結晶塗装の特性なのか混ぜるとゲル化が進行して長持ちしません。また見ての通り塗料中には通常あり得ないような塗料カスが混ざっていまして、勿論これは最初からある訳では無く保管している間に缶の中で反応(分離?)してこのようになってしまうのです。さらに酷くなると最後は「チヂレない塗料」になってしまう訳でして・・・使い方が難しい塗料でもあるのです。

r1299その後140℃くらいの熱を掛けるとこんな感じに綺麗に結晶目が現われます。ザラザラだった梨地も判りませんよね。凄い塗料なのです。

ただこちらと同時にご依頼頂いているインマニの方は結晶塗装では無く「艶々のオレンジ」で承っておりますので、予め梨地を削って素地調整をし、その後プライマー&サフェーサーでさらに平滑な下地を作ります。

そちらも作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!