ハコスカL型ヘッドカバー結晶塗装 本塗り

nissan5 こちらもお待たせしました!ハコスカ装着の日産L型ヘッドカバーです。

届いてからはアルカリ洗浄槽に浸け置きしておき、その後燐酸処理を行なっています。アルミ素地の表面がムラっぽいのは燐酸被膜が出来ているからで、これがあると次に塗るプライマーの密着性が向上します。サンドブラストやペーパー掛けが物理的な下地処理(足付け処理)とするとこちらは化学的な方法で、何にしても塗装は被塗物にそのまま塗るような事は殆どありません。

nissan6 そしてプライマーを塗布します。ホースパイプにも腐食が出ている場合はそこにもプライマーを塗ってその後黒く塗ったりしますが、今回の部品はここがアルミ製で(普通はスチールが一般的です)、腐食も出ていないのでマスキングで残す事にしています。

nissan7そして結晶塗装用の塗料を塗って本塗り完了です。一般的なクリアーが2コートに対してこれは5コートもしくは6コート塗っています。結晶塗装は単に塗るだけでもチヂレ目は出るのですが塗り足りないとチヂレ目というよりはボディーシューツのようなザラザラっぽい仕上りになってしまうので、私的にはこの模様をはっきり出た方が格好良いと思っていますからかなり膜厚を付けています。その分リスクもありますけどね(塗り終わってからシンナーで洗い流して塗り直す事もあります)。

nissan8その後熱を140℃~170℃くらい掛けるとこんな感じに結晶目が出て来ます。塗料は通常使っている2液ウレタンと違う1液型のタイプで、2液ウレタンの場合は自然乾燥でも硬化しない事はありませんが(そんな事はしませんが)、熱硬化型の一液塗料は熱を入れなければいつまで経っても硬化しません。どちらもそれぞれメリットとデメリットがあるので何とも言えませんが、とにかく結晶塗装は熱を入れる必要があるので耐熱性の無い物には使えないのが特徴です。ご依頼の際にはご注意下さいませ。

こちらは後日凸部を面研して光らせますので完成まではもう少しですね。来週末辺りを予定しております。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

NCロードスター 樹脂製ヘッドカバー結晶塗装 本塗り

road171 先日サンドブラストにて全体の足付け処理を済ませておいたプラスチック製(樹脂製)のNCロードスター用のヘッドカバーです。樹脂性のヘッドカバーは何度か前例があるのですがロードスターは今回が初めてです。

road178 樹脂製ヘッドカバーの場合でネックとなるのがこの「凸文字」で、素材がアルミであれば最後に研磨して光らせるとこれが良いアクセントになるのですが、プラスチックの場合は削っても黒くなるだけですからそれがちょっと残念なのです。

が、今回のような方法を行なえば樹脂製のカバーでも凸文字部分に色を付ける事が可能で、また仕上りも純正同様(またはそれ以上)の仕上りに出来るのです。

まずは成形時に出来た凸凹をペーパーと砥石で研磨して平滑にします。

road172凸文字の周りにプラスチックプライマーを塗布し、白(今回はVWのクールホワイト)を塗ったら一旦熱を掛けて硬化させます。

road173 既存の凸文字からデータを作成して作ったマスキングシートです。画像のは「6」ですね(見れば判りますか・・・)。

road174 既存の凸文字よりもマスキングシートの方が少し大きくなっているのが判ると思います。結晶塗装は特に膜厚を付けるので(超ウェットで5~6コート)、これがピッタリだと表面張力で塗料が溜まってしまい取り返しの付かない事態になるのです(勿論経験済みです)。

これならスプレー方向を横から塗らない限り、凸文字のエッジに塗料は到達しませんから、塗装後にこれを剥がした時に文字が綺麗に仕上がっている、と言う算段です。まあでも実際はそんなに上手く行かないのは皆さん良く判っているので手を出さないんでしょうけどね(私も自信がある訳では無く出来れば避けたいところです)。

road175 そして改めて工場一階に移動し、今度は全体にプラスチックプライマーを塗布したらいよいよ結晶塗装の本塗り開始です。

road176 そして本塗り完了です。ただすいません、凸文字部分のマスキングをどのタイミングで剥がすか考えていたら塗った直後の状態を撮るのをすっかり忘れていたようでして・・・。一緒に塗ったハコスカのL型ヘッドカバーの方はちゃんと撮っているのでそうとう緊張していたのだと思います。

road177で、凸部のマスキングを剥がすタイミングとしては、一旦熱を入れてチヂレ目がしっかり出た時点で熱を掛けるのを止めて半生の状態でマスキングを全部剥がしました。マスキングシートを貼ったまま最後まで熱を掛けてしまうと糊が残ったり跡が付いたりするので出来るだけ早く剥がしたかったのです(勿論これも経験済みでして・・・)。結果としては見ての通り良い感じに出来上がりました(って白飛びしちゃっているので判り難いですが、現在お預かりしているHEMIのカバーよりは全然出来が良いかと)。

それでは完成次第改めて紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!

アンテナカバー&ブレードアンテナ 加工~本塗り

antena36 こちらもお待たせしました!ルーフアンテナカバーとブレードアンテナの塗装も無事完了しております。いきなりですいません!

ここのところ少し気を抜くと新たなご依頼品が山積みになってしまう状況でして、もうどこを削れば良いのかと言うと机に座っている時間を減らすしかありませんでして、なのでとりあえず撮影はしつつ後でまとめてアップすると言う手法に切り替えております。何卒ご容赦頂ければと思います。実作業には影響無いようにしておりますので御安心下さいませ。

そしてこちらのルールアンテナカバーですが、オーナー様曰く「アンテナカバーは台座とほぼぴったりの大きさで作られており、ブレードアンテナ装着時に若干干渉してしまいました。そのため、アンテナを後方に倒すことが不完全となってしまい」との事で、穴を後方側に10ミリほど拡大するよう承りました。

上の画像は加工前で、貼ってあるマスキングテープが穴を拡大する部分です。

antena37 最初はベルトサンダーで荒削りし、その後棒ヤスリとペーパーで形を整えます。穴の形は元と同じ様にし、10ミリをそのまま延長したような仕上げにしました。素材としては厚みは十分あるので強度的にも問題御座いません。

antena38 そして後ろ後方に水抜き用の溝も掘っておきました。上の穴から中に入った水がここから出ていきます。

antena39 ちなみにこちらのアンテナーベース、元々はメッキを想定して作られている物をその前段階で特別に?入手されたとの事で、下地処理はその途中の銅メッキの工程で行われる筈だった為か現状のABS樹脂素地は良くありませんでした。私もうっかりしていたのですが、いざ塗り始めてしまったら素地の凸凹が余りにもひどいのが判ったので、一旦そこで本塗りを中止して全体を研いでラインを修整しました。気付かずにそのまま塗っていたら塗り直し確定でしたよ。

antena42そして本塗り完了です。 色はホンダ純正色の「クリスタルブラックパール」(カラーコード:NH731P)で、黒系の色に極微量のパールが含まれています。

antena40こうやって見るとそんなに大きく無いのですが実物はかなり大きく、多分結構目立つと思います(笑)。

それでは完成次第改めて紹介させて頂きますね。もう少々御待ち下さいませ!