こちらはエッティンガーなるドイツのメーカーのホイールで、本体の塗装は別の塗装屋さんで艶消し黒に塗られているのですが、今回こちらに付いているセンターキャップをベンツの「スリーポインテッドスター」に変更されたいとの御依頼となりました。
ただこのエッティンガーのホイールキャップは径が68ミリと言うサイズで、ベンツのキャップは74ミリですからそのままでは付かず、かと言って周りを削れば良いと言う訳でもありませんので、今回は塗装以外にそれの作製も承ったのです。ちょっと特殊な作業なのでこちらの日記では紹介せず「社外記」の方で紹介していましたが、内容を絞って改めて一連の作業を紹介したいと思います。
アクリル板をレーザー加工機でカットし、土台となるプレートやマスター型を作る際のガイドとして使います。
イメージ的にはこんな感じですかね(実際はちょっと違うのですが画的に判り易いかと)。
68mm径にカットしたスチレンボードを型枠とし、ポリエステル系パテを詰め込みます。
出来上がった物がこれです。パテを使ったのはこの後の切削がやり易いからですね。
68mm径にカットしたアクリル板をベースに先ほど作製したリング状のパテを両面テープで貼り付け、ボール盤に固定して回転させたら「山」の型になるようそれにペーパーを当てて整えます。
出来上がった山側の枠にベンツ純正ホイールキャップ(74mm)から切り取った三叉を合わせます。隙間には油粘度を詰め、これを元にして68mmのスリーポインテッドスターを複製します。
市販のブロックを使って壁を作りました。
シリコン樹脂を流し込みます。
シリコンが固まったらマスター型を外します。これを元にして最低ホイール4個分を複製します。
出来上がった型に離型剤を塗り、ポリエステル樹脂を注いで複製品を作製します。
出来上がったスターマークを丸くカットしたアクリル板に乗せてみました、の図です。
どんどん複製します。
サフェーサーを塗りました。
仮合わせをしてみます。ホイールに取り付ける為の爪部分は元々付いていたエッティンガーのキャップの土台を利用しています。
まずは一旦艶有りの黒で仕上げます。
その後高輝度メタリックを塗布し、極力金属っぽいシルバーにしました。
ベースとなるプレートは表面を艶消しブラックに、フチは艶有りのレッドで塗装します。
そして完成です。
当初は私も「どこかに68mmのスターがあるのでは無いか」なんて考えていたのですが、散々探して結局見つからず今回一からの作製となりました。
そして後日オーナー様より装着後の画像を送っていただけました。
結構(と言うかかなり)手間が掛かっているのですが、こうやって見ると純正品にしか見えないですよね。
そういえば予備として余分に作っている物があるので、今度時間が出来たらそれらを額装して飾れるように仕立ててみたいと思います。
今回の内容としてはちょっと塗装屋の仕事を逸脱している所もありましたが、お陰様で新しい事を色々やらせて頂きまして、仕事としてこんな事をやらせて頂けるなんて本当に感謝感謝です。