先日到着しておりましたTOM FORDのメガネフレームです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!
ご依頼内容は「艶有りブラック」で、各部のマスキングと、今回はレンズ周りで少し特種な処理を行います。
蝶番は一般的なフレームと違って、フロント部分はネジで付いています。通常は溶かし込んで埋め込まれているのですが、こんな構造初めて見ました・・・。
ネジを外して横にスライドさせると簡単に外れます。塗装をする事が前提だとこれは助かりますね。
テンプルの端にはメーカーロゴのエンブレムが付いていて、オークリーのように両面テープ(!)で付いているなら暖めれば簡単に外れるのですが、全体的な作りの良さからすると恐らくそれは無いだろう(笑)と言う事で無理に抉らずマスキングで対応します。
分解するとこんな感じです。レンズは有り得ないほどキツく着いていて、しかも今回のフレームは細身ですからうっかり力を入れ過ぎてフレームを折ってしまうのでは・・・と思ったので、隙間に中性洗剤を浸透させてレンズを滑らせるようにして外しました。これはいつもレンズを取り付ける時に行う事ですが、まさか外す時にも使うとは・・・です。
テンプル(=耳に掛かるサイドフレーム)の外側前方には細いライン状で飾り金具が埋め込まれていて、オーナー様的にここも残されたいとの事で、ベースコート(黒)はここを残すようにマスキングし、その後に塗るクリアーはここも一緒に覆うように全体にコートします。以前OGのメガネフレームを塗った時と同じ様な方法ですね。
そして今回ネックとなるのがレンズ周りの施工で、今回のレンズの取り付けはオーナー様の方で手配をして頂いたのですが、その際のご指定として「レンズを入れるフチ周りは塗らないで」と言う内容で承っています。
一応以前の施工例があるので紹介しますね。
レンズが嵌まるフチ部分は予めこんな感じでマスキングをしますが、このままだとマスキングテープのフチに表面張力でクリアーが溜まってしまい、爪で引っかかるような激しい段差と全く美しく無い仕上がりになってしまうのですが、その後エッジ部分をペーパーで研ぎ、コンパウンドで磨けば滑らかに仕上がります。綺麗に仕上げるコツは「エッジ」を上手く利用する感じですかね。
こんな感じで、レンズが嵌まる部分には色もクリアーも塗らず、フチも滑らかに仕上げる事は可能です(ただし手間は掛かるので結構な割増分がありますが・・・)。
同じ様にピンクに塗ったフレームもレンズに当たる部分は塗らずに仕上げています。塗ったままだとエッジは尖っていますが、そこは全部ペーパーで削り落としてしまい、コンパウンドで磨けば滑らかに仕上げられます。
ただ今回はレンズが嵌まる部分には「青」と、その外側にある「茶色」(鼠色)も若干残ってしまう(出てしまう)のでは?と懸念しています。青い部分がエッジの頂点よりも外側に出ていれば茶色(鼠色)が出る事は無かったのですが、どう見てもかなり内側なんですよね(苦)。
まあこの辺はオーナー様にも御理解頂いておりまして、後は実際にやってみて極力良い方法で対応したいと思っています。完全に覆ってしまえばレンズを入れる時にガリっと削ってしまいますし、かといって茶色は出来るだけ残したく無いと、この辺はもう技術的な事と言うよりは激しいジレンマとの戦いだと思いますので・・・。
それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!