NISSAN S20ヘッドカバー 本塗り

s2033 先日下準備を終えていたスカイラインGT-R(KPGC10)のS20ヘッドカバーです。今回は結晶塗装では無く艶々の仕様で承っておりますので塗装方法もいつもと少し違います。

現状としては「プライマー→サフェーサー→研ぎ→プライマー→凸部面研」までの作業が終わっていて、よく脱脂洗浄をしたらフィンの部分を適当にマスキングしておきます。ここは後で研ぎ出すのでそのままでも構わないのですが、予めマスキングテープ貼っておく手間と、そのまま塗って研ぐ手間を比べると前者の方が楽なのでこうしています。本塗り中の作業は極力減らしたいですしね。

s2034 一旦こんな感じでベースコートを塗布します。色はオーナー様(元請様)よりご指定頂いた、比較的濃い目のブルーメタリックです。

s2036 ベースコートを十分に乾かしてテープフリーな状態になったら面研する凸部の周りをマスキングします。ある程度の研ぎは完了しているので後は細かい番手(#400~)からですから、ガムテープでは無くマスキングテープだけで大丈夫です。

s2037 いつものように研ぎ終わったら、全体をよくエアーブローをして研ぎ粉を飛ばします。

が、こういった粉は意外としつこくて、単にエアーブローをしただけでは取り切れませんから、この場合は場合はタッククロスを使って綺麗に掃除します。これは塗面をクリーニングさせる為の物で、不織布(ホコリの出ない繊維)に粘着剤が塗布されたような専用の物です。使い方を間違えるとスジとかが出てしまいますが(判りますよね)、これも塗装作業には無くてはならないアイテムです。

各メーカーで微妙に(と言うかかなり)具合が違うので、自分のスタイルに合った物を見つけ出すのが一般的かと思います(画像のはDUPONTのです)。

s2038 アルミ素地が露出した箇所には密着剤を塗布し(もうそれ以外方法がありませんので)、全体にクリアーを塗って本塗り完了です。

s2039クリアーを塗る順番はケースバイケースで、目立たない箇所から最初に塗る場合と、一番目立つ所から塗って最後に重ねる場合があって、今回の場合は装着されれば確実に見えないプラグホールの穴から最初に塗っています。と言ってもそこもテロテロに仕上がっていますのでご安心ください。

自動車の補修塗装は「新車肌の再現」がメインとなるので塗れば良いという訳では無く、場合によってはわざと肌を荒らして後で磨きで肌を作るという事もあります。また敢えてチームな材料(塗料)を使って輝きを減らすなんて事もあります。古い車のレストアなんかはそうですよね。

今の小物の塗装は単に美しくあればそれで良いので(これは楽しいです)、クリアーは親の仇並に塗って、もうまさに垂れる寸前!(と言うか時々垂れます)と言うところまで塗り込むのが普通になっています。

ただしこれは膜厚を付けると言うのとはちょっと違っていて(専門的な話になってすいません)、例えば車体を塗る場合であればSATAのような高いエアーを掛けてガツンとぶつけて肌を作る塗り方が私的に理想だと思うのですが(当時3.4キロでした)、今の小物の塗り方はエアー圧を下げて、またクリアーは低圧ガンを使って、とにかくスプレーガンから出たクリアーの溶剤分を如何に揮発させずに塗面に到達させるか!と言う事に重きを置いています。溶剤分が残っていれば塗装面はみるみるレベリングしてくれるので、膜厚自体は薄くても肌が伸びてくれる、と言う算段です(あくまでもイメージですが)。
SATAの低圧ガン(NR)を使ってベースコートを塗っている方なら多分判ると思うのですが、塗った直後はダマダマなのに、徐々に伸びていつの間にか綺麗にメタリックが並んでいる!と言うアレと同じ様な感じです。昔は如何に微粒子化すればよいのかと考えていましたが、あの塗り方を知るとまさに目から鱗ですよね。
ただしこれはクリアーを延ばす為の方法なので車の新車肌とは違いますから自補修には当て嵌まりませんのでご注意くださいませ。

それでは完成次第改めて紹介させて頂きますね。もう少々お待ちくださいませ!

NBロードスターヘッドカバー 凹み文字埋め

road34 先日サンドブラスト処理を行っていたNBロードスターのヘッドカバーです。リン酸処理をするかどうか悩んだのですが、先に凹み文字部分を埋める作業から始める事にしました。

リン酸はパテのフチ(のアルミ素地)を侵してしまうのでセオリーとしてはそちらが先なのですが、プライマーを塗れるのはまだ先になりそうなのでそちらは後で行う事にします。パテを塗った部分にはマスキングをすれば大丈夫なのでどうぞご安心下さいませ。

と言う事で、まずは凹み文字周りを少し削っておきます。本来であれば凹み文字の底までアルミを削り落としスムーズな傾斜を形成させたいところですが、さすがにこの厚みでそれをやるのは大変ですし、そもそも強度的にどうなのかと言うことで削るのは少しだけにしています。

z1 と言う訳で今回新たに導入したZ-1パテです。製品自体は昔からある物で、販売された当初(15年くらい前でしょうか)から愛用していましたが、小物の塗装専門になってからは使う機会が無かったので買うのは久しぶりです。ちょっと特殊なパテなので初めて使った時はかなり衝撃的でしたが(ご存知の方は判りますよね)、これについては後ほど社外記の方で紹介したいと思います。

パッケージのデザインについては少々不安になりますが(笑)、とにかく凄く良いパテなので今回の作業に丁度良かったです。

road33 先ほどのパテをよく混ぜたら凹んだ文字部分にしっかりと充填します。ただこのパテはとても塗り難く、大きい巣穴が出来易いので、今回はそれの対策として上からクリアファイル(普通の市販のアレです)を貼ってガムテープで固定しました。普通はこのような事はしませんが、ちょっと試してみたかったのです。

road35 そのまま熱を掛けてパテが固まったらクリアーファイルを剥がします。クリアーファイル自体はPP(ポリプロピレン)なので、幾ら密着性の強いエポキシでも離型剤無しに簡単に剥がれてくれます。ただちょっと塗り過ぎましたかね・・・。

road36 なので結局かなりの量を削る事になりました。まあそれでも一応は効果があったみたいで、思ったよりかは巣穴も少なく清んだようです。ドリー(2個上の画像に写っている板金用の鉄の塊)でゴシゴシと扱いたのが良かったのかも知れませんね。

ちなみに今回使ったZ-1パテは思った以上に研ぎ易く、???と思っていたら、どうやら使われている材料が一部変わっていたみたいで、昔に比べると大分研ぎ易くなったみたいです。以前は岩を削っているのか(!)と思うくらい大変だったのですが、これならもっと色々な場面で使えそうですよ。

road37ただそれでも結構な量の巣穴は出来ているので、さらにこれを埋めておきます。

road38巣穴を埋めるのに使うのはいつもの3Mパネルボンドで、先ほどのZ1パテと同様、どちらも2液のエポキシ系となります。

ちなみにこのような巣穴を埋めるのには通常ポリパテを使いますが(その方が全然楽なので)、結晶塗装の場合は被塗物に掛ける熱が140℃以上、場合によっては170℃まで上がるのでポリパテでは剥がれてしまうのです。その場では剥がれないにしても、後でプクプクと浮いてしまったら嫌ですので、この辺はエポキシで統一しておくのが吉ですかね。

次の作業としてはいよいよ凸文字の作成となるのですが、そちらはもう少し先になりますので、とりあえずヘッドカバーはこの状態で一旦休止となります。

凸文字の作成についてはこちらでは無く社外記の方での紹介となりますので、ご興味のある方はそちらもチェックしておいて頂ければと思います。どうぞもう少々お待ち下さいませ!