フェラーリ458リモコンキー 本塗り

ferrari63 そしていよいよ本塗り開始です。ベースカラーは昨日の内に塗っておきました。

ferrari64 最初に白を塗ったのは塗り重ねる色の隠蔽力の事も考えていて、コート数が増えると膜厚が付いてしまい見切りのラインが汚くなるのを避けたかったのです。小物塗装場合は車体に入れるストライプとは違いサイズが圧倒的に違うのでちょっとした事でも目立ってしまうのでして。

ferrari65 今回の最重要課題のセンター出しです。一発貼りではもはや無理だと思ったので水貼りにしました。

位置が決まったらドライヤー片手に曲面も貼っていきます。

ferrari66 こうなるとノギスとかで計測するのは無理なので、目見当でセンターを出しています。

ferrari68 最初の段階で悩んだのがフチ部分に回り込んだ時のラインの曲がり方で、本来車体にストライプを入れる場合はピアノ線に分銅を付けて地面に対しての垂直を出しながらラインを直線に引いたりするのですが(と言う事の現代版が先ほど紹介したレーザー墨出し器です)、実際にテープを貼って試してみたところ、このやり方で全く違和感が無かったのでこの順番で行く事にしました。

これなら白のラインも幅はピッタリですし、センターさえ出ていれば完全な左右対称になってくれるので(カット自体は機械なので、気分的にもとても安心です。

ferrari67 ただネックとなるのがこの段差部分で、ご存知の方はよく判ると思うのですが、このマスキングシートはコシがあるのでこういった溝には綺麗に貼れません。隙間が出来てしまうのです。

これが嫌なので普通の和紙タイプのマスキングテープを使うと言う塗装屋さんも居ますが、私的にはこのマスキングテープ(シート)の厚みを利用してベースコートのボカシをするので、この辺はケースバイケースで対応しています。

尚、ここの問題については塗りながら修正するのを覚悟の上でいくことにして、そこを犠牲にしても今回イメージした中ではこれが一番綺麗に仕上がったんですよね。

ferrari69 と言う事でまずは両サイドのロッソコルサ(赤)の塗装です。

塗り方としてはセンターから外側に向かって塗るようにして、テープの厚みを「庇」の代わりにしてエッジ部分をボカすような感じにし、そこに極力塗料の段差が出来ないようにします。

ferrari70 ボタン側のカバーはロッソコルサのベタ塗りですが、万が一の事も考えて一応白から塗っておきました。322は300に比べると隠蔽力が弱いので、出来上がってみたら裏表のパネルで色が違う!なんて事も有り得ますからね(ちなみに元々塗ってあった赤は300の方で、どちらもロッソコルサなのですが300が朱色寄りで322は青味があります)。

ferrari71 両サイドに赤を塗ってテープフリーな状態になるまで自然乾燥させ、今度はそこをマスキングをします。

本当はここで、最初に紹介した「跳ね馬部に嵌める蓋」があれば良かったのですが、結果的には問題無く出来ていますのでご安心下さいませ。ただやっぱりあった方が良かったなぁとやりながら後悔はしていました(笑)。

ferrari72 中央部分にブルーメタリックBlu Nart MET(カラーコード:523)を塗布し、マスキングを全て剥がした状態です。パッと見は綺麗なのですが、実際はこれからが結構大変です。

跳ね馬の窪み部分、前足部分に青が飛んでいるのが判ると思います。勿論このままではNGなのでクリアーを塗る前に修正しています。

ferrari73 そしてフチの段差部分です。青と赤が白い谷の部分に食み出ているのが判ると思います(普通は判らないかも知れませんが・・・)。

ただ実際に組み合わさると一段奥になるので殆ど目立たない箇所で、そもそもこれを気にする方が一体どれくらい居るのか・・・と思うかも知れませんが、多分オーナー様の職業上こういったところを気にするのでは、と思った次第です。

ferrari74 と言う事で改めて白いラインを塗り直します。塗るのは先ほどのフチだけでは無く全体を塗り直し、塗り分けラインをさらに美しく仕上げます。

ferrari75 塗装屋さんなら判ると思いますが、塗り分けたラインには塗料によって出来た「バリ」が残ったりしますが、今回のようなサイズであれが残るとやはり致命的なので、塗り終わった後にテープを貼って剥がしてを繰り返して全部取り除いてあげます。

ただそれをやるとラインがガタガタになったりはしますが、今回のように再度最初に塗った色(白)を塗り直せば美しいラインに仕上げられます。一旦出来たバリは磨いても見えてしまうので嫌ですよね。

ferrari76 紙のテープならこういった段差もピッタリ貼れるので新たに塗った白が食み出たりはしません。

ferrari77さらに窪んだ跳ね馬の内部を修正し、最後にクリアーを塗って本塗り完了です。

ferrari78 322は非常に隠蔽力の弱い赤ですが、塗り重ねる順番が良かったので段差も殆ど無いくらいに仕上がっていると思います。ちなみに赤の上に白を塗るのはそれはそれで大変です(白は全然隠蔽しません)。勿論最初に濃いブルーメタリックから始めるなんてナンセンスです。

ferrari79こちらは単色ベタ塗りなのでいつもの仕様で大丈夫で、ただ内側にクリアーを塗り過ぎるとゴムのボタンの収まりが悪くなるので(今回だけに限らず今後の事も考えるとです)、1コート目には外側から内側に向けて塗って溝にはクリアーを入れず、2コート目のみ全体に塗っています。

この後クリアーが完全硬化したら組み付け作業をし、最後に傷つき防止用に作ったステンレス製のリングを接着して完成予定となります。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

フェラーリ458リモコンキー 下準備

ferrari58 この型のリモコンキーは新車時の塗膜がしっかりしているのでわざわざ剥がす必要はありません(と言うのが今までやって来て感じた私的な見解です)。

が、成型時の歪みが強く表面は凸凹になっているので、最初にこれを平滑に削っておきます。

ちなみに四角い七宝焼きのエンブレムが付いたタイプのフェラーリリモコンキーは新品時の塗膜の密着性が悪いので再塗装の際には全部剥がすようにしています。

ferrari59 ペーパーと当て板だとどうしても遊びが出来てしまうので、極力塗膜を削らないで最短で平滑にしたい時は砥石が便利です。ちなみに包丁を研いだりする物では無くちゃんとした塗装下地用の物で番手の設定もあったりします。

軽く当ててみると高い所だけが当たって傷が付き、低いところは艶が残っているのが判ると思います。もはや塗料の表面張力と言うレベルではありません。

ferrari60 穴の中はこんな感じで布状の足付け用副資材が便利です。

ferrari61 ペーパーが入り難い箇所はいつものようにナイロンブラシとウォッシュコンパウンドで足付けをします。ウォッシュコンパウンドは研磨粒子と洗剤が入っているので脱脂と清掃も同時に出来て一石二鳥です。

ferrari62 ちなみに今回は別件でご依頼頂きました同型のリモコンーも一緒に作業しています。全く気がつかなかったのですが、もう一方のリモコンキーに塗る色は今回使う白「BIANCO AVUS」(カラーコード:100)だったんですよね。

ただ同じ製品なのでそれぞれが混ざらないように凄く注意しました。裏側には私にしか判らない印をマジックで付けておいて、さらにイニシャルを描いたマスキングテープを並べて撮影して貼ってあります。

ferrari63今回こちらのカバーを3色に塗り分ける塗装になるので、本塗り中に台から外せるようクリップで着脱式にしてあります。

続けて本塗り編を紹介します。ようやく肩の荷が・・・(苦笑)

フェラーリ458リモコンキー 作業前準備

ferrari50大変お待たせしました!フェラーリ458スペチアーレのリモコンキーは無事本塗り完了しておりますのでご安心下さいませ。

途中工程については社外記での傷付き防止リングの作成以外は紹介していなかったのですが、実際上手くいくかどうか判らなかったのでクリアーを塗り終わるまで内容を紹介出来なかったのです。順を追って紹介していきますのでどうぞご確認の程宜しく御願い致します。

ferrari22実はどうも鍵のシャフト部分とカバーとで中心がズレているっぽいので、こんな感じでセンター位置の確認をしていたりしました。

ferrari23この画像だとカバー部分に対してシャフトが左に寄ってますよね。ただレーザー自体が太くて、せめて髪の毛くらいの細さで表示してくれないと使えない感じです。一応こんな事もやっていたみたいな感じで撮影だけはしていました。

ferrari51マスキングの手順に関しても頭の中でイメージしているだけではどうも上手くいかなくて、実際にマスキングシートをカットしてかなり最初の段階で色々と試していました。「実践→ 想像」みたいな事を繰り返していくと段々見えてきたと思います。

ferrari52 塗る順番は色々とあるのですが、今回は「中心位置」を一番重要として少しやり難いのですが「白→赤→ブルーメタリック」の順番で塗る事にしました。何度も頭の中で失敗を繰り返しまして、これが一番リカバリーし易いという事になったのです。これに関しては後で紹介しますね。

ferrari53 ちょっと社外記的な事になるのですが、途中ではこんな事も試していました。結果的にはボツになったのですがもう少し上手くやっていれば使えたかも知れません。

先ずは窪んだ部分に離型剤を塗ります。

ferrari54粘土状のエポキシパテを少量取って混ぜます。

ferrari55 こんな感じで跳ね馬の窪み部分にパテを埋め込みました。

何のためかと言うと、色を塗り分けた時にこの窪み部分をトンネルのようにして色が他に飛んでしまうので、それを防止する為に蓋が出来れば・・・と思った次第です。

ちなみに以前同型のリモコンキーを塗った時に、この窪みの中にサフェーサーを塗りたく無いので(エンブレムが入らなくなってしまう為)、エアコンパイプを通した壁の穴を塞ぐ粘土を埋め込んだりしましたが、今回は「本塗り中」にこの脱着をしなければならないのであんなベタつく物は使える筈が無かったのです。

ferrari56 と言う訳で裏からポンチで押して外しました。割れてしまいましたがそれは特段問題ではありません。

ferrari57こんな感じで本塗り中自由自在に着脱が可能な蓋が出来てくれれば良かったのですが、実際はちょっと窮屈過ぎて使わないことにしました。もっと痩せる素材で作って一回り小さく出来ていれば色々使い道はあったかも知れません。

こんな感じでかなり前から色々と試していまして、本日ようやく本塗りを終えました。

続けてマスキング編を紹介しますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!