メルセデスベンツW124アルミ製フロントグリル 本塗り

benz83 こちらもいきなりなのですが、先日より着々と作業を進行しておりまして、無事本塗りまで完了しております。順を追って紹介していきますね。

benz84 全体的に見た目の腐食は出ておらず、比較的状態は良かったのですが、ぺーパーで足付け処理をするには形がイビツですし、アルマイト被膜があったらリン酸の効き目が悪いので今回はサンドブラストをお勧めさせて頂きました。

benz85 同じく裏側もブラスト処理をします。

benz86 こちらのフロントグリルは厚みのあるアルミ板を組み合わせて作られているのですが、比較的出来が良くて隙間もピッタリです。が!、結晶塗装のようなタップリと塗膜を付けなければならない、しかも焼き付け型の塗料だと、この微妙な隙間が結構厄介なのです。熱を入れた時に内部に残った空気が膨張し、逃げ場が無い場合は塗膜を膨らませてしまうんですよね(と言う悪夢を何度も見ました…)。

benz87 と言う訳で熱に強いエポキシ系のプライマーで隙間を塞ぎます。

benz88 ここで使うのは結晶塗料自体でも良かったのですが、折角と言う事で防錆効果のあるプライマーの方を選択しました。

奥まで行くよう希釈率を高くし、ただそうなると一度では隙間が埋まらないので何度か繰り返して行います。

benz89 裏側からも溶接ビードの隙間から筆で流し込みます。

benz90 その後シンナーを含ませたウェスで拭き取って完了です。ただこの時ウエスの繊維(糸くず)が結構残っているので、塗膜が硬化した後に軽くペーパーを当ててそれも取っておきます。

benz91 そして全体にプライマーを塗布します。ちなみにリン酸処理はプライマーを筆指す前に終了させています。

benz92 裏側も同様にプライマーを塗り、本塗りも裏側から始めます。

benz93 裏を先に塗り終えたらひっくり返して表面を塗布します。粘度が高いので肌は悪い(荒い)ですが、結晶塗装の場合はとにかくしっかり膜厚を付ける事と均一にする事が重要で、むしろ荒れた肌は熱を入れるとテロテロに伸びるのでその分を考慮しなければいけません。

benz95 と言う訳で熱を掛けて結晶目が出た状態です。

benz96表側からだけだとここまで均一に仕上げるのは難しく、やはり裏側からのフォローが重要です。

benz97 スプレーが重なり合う継ぎ目部分はコート毎に違う位置になるよう注意して塗っています。この辺は車(ボディ)の塗装も同じで、1コート目と2コート目はわざと違う塗り方をする事で塗膜の厚み(肌)を均一にするようにしますが、結晶塗装はフラッシュオフタイムを取らないで一気に4~6コート(!)塗り込むので、面積は小さくても結構気を使います。

benz98良い感じで結晶目が揃ってくれたと思います。

少し前に、購入した塗装済みのヘッドカバーの色や結晶目などが、思っていたイメージと違ったので塗り直したいと言うお問合せを頂いたのですが、下地の状態が判らないだけにサンドブラスト作業から想定してお見積もりをした所、恐らく購入した金額の数倍になってしまったのかその後ご連絡はありませんでした。

業界の方なら良く判ると思いますがこれは車も同じで、中古車の板金修理と、既にオーナー様が着いた車体の修理とでは作業内容が明らかに違います。これはコストの問題で、50万円で売りたい車に50万円の修理費か掛けられないからです。当たり前ですがこれでは商売として成り立ちませんからね。

なので利益を出す為にはどこかを削らなければならなく、その点で板金塗装は比較的抜ける部分が多いです。幸いにしてかどうか判りませんが、色が塗られると下地は見えなくなりますし、また後でどうなろうと責任の所在が無いので、正直やりたい放題です。

まあ消費者はその分安く車を買える訳ですからこれも一概に悪いという事では無く、なので私が買う側の場合はそういう事も殆ど気にしません。そこを気にするのであれば新車を購入するか(まあその辺も内部事情を知ると凄いですが。笑)、或いはワンオーナー車両を直接個人間で購入する方が安心だと思います(ただ個人売買のトラブルも当然ありますから、その辺はケースバイケースだと思いますが…)。

とすいません話が反れてしまいまして。それでは完成次第改めて紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ホンダモンキークラッチカバー結晶塗装 本塗り

monkey3 こちらも大変お待たせしました!ホンダモンキーのクラッチカバーとダイナモカバーは少し前から作業を始めておりまして、無事本塗りまで完了しておりますのでご安心下さいませ。

まずは素地調整としてサンドブラストをクラッチカバー全体に掛けます。

monkey4 こちらのダイナモカバーは元々塗装がされていたので腐食はしていないのですが、文字の隙間などに旧塗膜が若干残っているのでこちらも一緒にサンドブラストを行う事にしました。剥がれかかった塗膜が残っていると厄介ですからね。

monkey5 と言う訳でサンドブラスト作業完了です。

monkey6 その後「リン酸処理→洗浄→マスキング」といった作業を行います。手前のダイナモカバーは一部に傷があったのでサンダーで削っておきました。

monkey7 プライマーを薄く2コート塗布します。

monkey8 続けて結晶塗装の黒を塗り、140℃~170℃くらいの熱を掛けて硬化させます。

monkey9 結晶塗装の縮れ目は塗膜が硬化していく過程で発生し、また塗料自体もメラミン系なので1液性ですが熱を掛ける事によって硬化反応を起こします。

通常自動車補修で使う塗料は2液ウレタン系の塗料は塗料を作成してからのポットライフ(可使時間)が決まっていますが、結晶塗料のような熱硬化型の塗料はスプレーガンに入れっぱなしでも大丈夫です。

メリットデメリットはそれぞれあるので一概にどちらが良いとは言えなく、どちらも無ければ困るといった感じですかね。この辺は水性塗料も然りだと思います。

monkey11クラッチカバーにある小さな凸文字は、やはりと言うか結晶塗装の凸凹に埋まり気味なので、これを研磨して光らせるのは難しい模様です(なので今回は行わない事になっております)。

monkey10こちらのダイナモカバーは「HONDA」の文字と、右側にある4本のフィンラインを(当初3本と間違えておりました!失礼しました)削って光らせ、最後のクリアーを筆で塗っておきます。

ちなみにてっきり「HONDA」の文字部分かと思い込んでおりましたが、恐らくその上下のフィンも一緒に面研をご希望されていたと思いますので、後程改めてメールにてご確認させて頂きますね。こちの作業は来週中に行う予定です。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!