プレオルームミラー等 本塗り

preo16 先日塗っておいたサフェーサーが完全硬化しまいたので、全体に黒をガイドコートとしてパラパラとスプレーし、全体を研ぎ出します。

元々粗い梨地で目立っていませんでしたが、成型時の段差やウネリなどがかなりあるので、最初は#320の空研ぎで粗研ぎし、同じく#400で目消し、その後は#600~#800の水研ぎ、最後は石(研磨粒子)が均一で当たりの柔らかい足付け用副資材(アシレックス)の#800で均します。

preo15 尚、ダミーシガーソケットには「12V」のロゴ入れ塗装も承っていますので、そちらも準備をしておきます。

12Vのロゴは参考画像に倣って似たようなフォントを組み合わせ、サイズは5種類を用意して実際にプリントアウトして被塗物に合わせます。被塗面は湾曲しているのでロゴが余り大きくなると歪が生じてしまいますから、この中から丁度良い物を選びます。

尚、ロゴの周りの円ですが、こちらは切り出したマスキングシートを被塗物の中央に合わせる為の目安にする物で、こちらは塗装はしませんのでご安心下さいませ。

preo6 研ぎ作業を終えたら各部をよく脱脂洗浄してマスキングをし直し、台にセットして本塗り準備完了です。

car95 色については、当初はレクサスの1J7のシルバーをベースに考えていらっしゃったのですが、先日社外記で紹介したSTANDOXの原色JLM906、SPFシルバーを使った3コート仕様がオーナー様のイメージに近かったという事で、急遽こちらへ変更となりました。上の画像の手前に並ぶ4台の内の左から2番目となります。

preo7塗装の工程としては、まず下色として黒のベースコートを3コート程塗って下地のサフェーサーを完全隠蔽させ、続けてSPFシルバーを同じく3コート程塗ります。ただしSPFシルバーを原色そのまま塗ると下地の黒を隠ぺいして「単なるシルバー」になってしまいますので、SPFシルバー原色をバインダー(樹脂)で薄めて下地の黒を透けるようにします。今回はSPFシルバーを1に対して樹脂を9の割合の物をご指定頂いています。

尚、先ほどの注型レジン製のミニカーはその後いつもの色見本にしていて、本塗り中もこれを見ながらシルバーの具合を確認しています。

preo8 ベースコートが完了したらダミーシガーソケットのロゴ入れ塗装を行います。マスキングシートは予め丸くカットされているので、被塗物を垂直に見ながら中心に合うよう落とし込みます。

preo9 「12V」のロゴはフェラーリの赤(ロッソコルサ)で、その後続けてクリアーを塗って本塗り完了です。

preo10 クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」への変更で承ってます。

preo11 3コートSPFシルバーの色見本については現在4種類を作成していて、今回はその内の二番目に明るい物を選ばれました。

もっと黒味を出す場合は塗り方を変えるのではなく、塗料中の含有量、すなわち「顔料:樹脂」の割合を変える事で調整します。

ちなみにプラモデルなどの塗装では色を薄く塗りたい時にシンナーを多く入れたりしますが、自動車補修塗装でそういった事は通常しません。シンナーを多くすると艶が引けたりムラが生じたりするので、乾燥を遅くしたい場合はシンナーの種類を変え、色を薄くしたい場合は樹脂分を増やします。粘度は常に一定である事が基本となります。

preo12 塗装ブースの中だと多方向から光が当たるので、透かした時の黒が見えにくく普通のグレーシルバーに見えますが、実際はもっと金属っぽい質感になっています。

preo13 ミラー側のサフェーサーはエッジの山のライン当たりまでに留め、その後の研ぎで段差を無くし、本塗りは鏡のフチまで塗っています。元々この辺は素地がツルツルとした状態だったので違和感なく仕上げられたと思います。

preo14今回採用したSPFシルバーですが、これはスパッタリング塗装やメッキ調塗装のそれとは全然違ってあくまでも純正塗料で扱える高輝度なシルバーと言う位置づけですが、それにしても普通に使えてここまで金属感の出るシルバーになるのは今まで見た事がありません。

ただやはりと言うかSPFシルバー単体で使うと非常にムラが目立ち易いので、面積の大きい物に関しては美観上難しいと思います。せいぜい今回のミラーくらいまでか、或いはマツダの純正色「マシーングレープレミアムメタリック」のように、黒やその他の色を混合して、SPFシルバー自体は3割程に抑えた方が無難かと思います。

それでは完成次第改めて紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!