Wilson Tennis Rackets

 ウィルソンのテニスラケットです。状態は新品で、今回はこちらをマットブラック=艶消し黒でご依頼を承りました。

 オーナー様のご要望としてはロゴデカールや塗り分けなどの段差も無くして欲しいとの事なので、一旦素地を平滑に削って下地からやり直す事とします。

 パッと見は平滑に見えても、ロゴデカールが貼ってあったり塗り分けが施されている場合、そのまま色を塗ってしまうとそれらの段差が際立って目立ってしまいます。

 クリアーの下に貼られているロゴデカールや密着状態の悪いと思われる箇所は削り落とします。

 マスキングをし、サフェーサーを塗る準備が出来ました。

ラケットの周りにはガットを固定するグロメットが入る穴があり、そこにはサフェーサーを入れないよう溝のプレスラインに沿って内側をマスキングしておきます。

溝の無い部分には綿棒の先端をカットした物を詰めておきます。

 サフェーサーを4コート塗った時点でマスキングを剥がし、続けて2コートを塗り込みます。

ラケット全体にサフェーサーが塗布されました。

この後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を完全硬化させます。

 サフェーサー硬化後、全体に軽く黒をスプレーしたら研磨紙を使って平滑に砥ぎ付けます。

サフェーサーで全体のラインが整えられましたので、いよいよ本塗り開始です。

 ベースコートの黒を塗り、艶消しクリアーを塗ったら本塗り完了です。

塗った直後は艶がありますが、時間が経つにつれて徐々に艶が消えていきます。

この後再び60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

塗料は2液性のアクリルポリウレタン樹脂で、強度の目安としては自動車の樹脂バンパーに塗られた塗膜と 同じ物と考えて頂ければと思います。

熱を掛けて強制乾燥させた後、数日寝かしたら完成となります。

 今回の塗装費用ではこちらのラケットが新品で何個か買えてしまような金額になってしまっておりますが、オーナー様的には今回のモデルでどうしても艶消し黒の物が欲しかった模様です。

その後オーナー様からは「プロフィット日記の方は見させていただいておりました。期待以上の出来でとても感動しております」「あまりに理想的な出来すぎて使うのが勿体無いくらいでした」とのお言葉も頂戴しました。有り難い限りです。