フューエルキャップハイオク仕様 本塗り

先日サフェーサーを塗っておいたマツダ純正のガソリン用フューエルキャップです。

その後熱を掛けて塗膜を完全硬化させ、全体にガイドコート(黒い点々)を塗布し、サフェーサーを研磨します。

 サフェーサーは#320→#400の空研ぎで大まかなラインを出し、#600→#800で細かいラインを整えてペーパー目を均します。

マスキングを貼り直し、よく脱脂清掃をしたら念の為隙間にプラスチックプライマーを塗って本塗り開始です。

 まずはハイオクのイメージカラーとなるイエローを塗布します。このイエローは隠蔽力が弱いので下色にもう少し隠蔽性の高いイエロー(具体的にはVWのサンフラワー)を塗っています(下色はわざわざ作ったりはせず、在庫している塗料を使ったりします)。

 ベースコートのイエローを自然乾燥させ、テープフリーな状態になったら予め作成しておいたマスキングシートを貼り付けます。

 黒に数滴白を入れたグレーを塗布します。限りなく黒に近いグレーですが、多少なり白を入る事で固さが取れてくれます。

 マスキングを剥がし、ベースコートの塗装が完了です。

 そしてクリアーを塗って本塗り完了です。大変お待たせしました!

この後60℃40分の熱を掛けて塗膜を完全硬化させ、数日寝かしたら完成となります。

完成次第改めて紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

LOOK 585①

LOOKのカーボンフレーム&フォークです。現状のデザインは派手過ぎるようで、以下のようなデザインへの変更でご依頼を承りました。

基本となる塗色は現状と同じ様な白で、ダウンチューブに入れるLOOKのロゴはカーボン地を活かしたスモーク仕様となります。

 またシートポスト後部にあるLOOKのロゴを塗装で再現します。

フレームのベースカラーはこちらのロールスロイスのARCTICA(カラーコード:9561001)となります。ソリッドカラーでは通常あり得ないエフェクトホワイト(MIX810)が入っていて、透明感のある白が表現されています(それ故に隠蔽力が相当悪いです)。

 LOOKのフルカラーロゴについては純正のようなデカールでは無く、塗装で再現します。

 それぞれの色の近似色を色見本帳から選び出します。

ヘッドチューブのロゴは2個の物を一個に変更しますが、形状はそのままとするので、これをデータ化します。

マスキングテープを貼り、塗膜の段差を利用して輪郭を抽出します。石刷りの方法ですね。

転写したロゴをスキャナーでPCに読み込み、Illustratorなるソフトを使って輪郭線をトレースし、ベクトルデータを作製します。

各ロゴデータを実寸化し、

プリントアウトして、

 実際にフレームに貼り付けて位置や具合を確認します。

さらにシートポスト下部にあるロゴもデータ化します。

PCのソフトを使ってデータを作製し、

マスキングシートを作製します。

これでようやく作業前の準備が整い、ここからようやく塗装の実作業となります。

既存の塗膜状態としては、一部の剥がれた塗膜の下に艶のある塗膜が確認出来たので、最低でもその層までの塗膜は削り落とす事が必要となります。

何故か判りませんが、自転車の塗装では足付け処理をしないまま塗装を塗り重ねるケースが多く見られ、最初の数年は良いのですが、経年の劣化で塗装間の密着力が弱待って来て徐々に塗膜が剥がれて来ます(層間剝離)。

カーボン素材には溶剤やサンドブラストを使った剥離作業が出来ない為、ペーパーを使って手作業で塗装を剥がします。

その後、ペーパー掛けでは取り切れない箇所の塗膜をサンドブラストを使って剥がします。

ブラスト処理を行うのはワイヤー受けの部分で、こういった箇所はエアーツールや手研ぎでは綺麗に剥がず、かといっていずれ剥がれてしまう塗膜が残っている以上は剥がさなければなりません。

ブラストボックスに入れ、

カーボン素地に当てないよう、アウター受けのアルミ部分のみブラスト処理を行います。

ここまでで素地調整が完了です。

全体を綺麗に脱製洗浄したら、

アルミ部分を残しマスキングを行います。

金属用のプライマーを塗布します。

続けてカーボン抜きのLOOKロゴを入れるダウンチューブ全体に下塗りのクリアーを塗ります。

この時点ではまだスモークでは無く、ただのクリアーとなります。

巣穴が残ったままスモーク塗装を行うとそこで濃淡が変わって跡が残ってしまう為、まずは平滑な下地を作る事から始めます。今回はこのダウンチューブだけで4工程(4回分)の塗装を行いました。

一旦熱を入れてクリアーを硬化させ、改めてペーパーを掛けて下地を整えます。

今度はダウンチューブ部をマスキングし、その他の部分にプライマー&サフェーサーを塗布します。

フォークのホイールが着く部分は元々カーボン素地が露出していた為、ここは最後までカーボン素地を残すように作業を行います。

まずはアルミ素材部に金属用のプライマーを塗布し、

続けて全体に2液ウレタンサフェーサーを塗布します。

この後熱を掛けてサフェーサーを硬化させ、

完全硬化したサフェーサーを#320→#400の空研ぎでライン出しを行います。

ライン出しでは必ず当て板を使い、狭い箇所はヘラなどを使います。ペーパーを直接手で持って研いでも歪は取れず、また指の跡などが残ってしまうからです。

今回のフレームはラグのチューブに段差がある為、砥ぎ作業はかなり手間が掛かりました。

空研ぎの後は#600→#800の水研ぎで細かいラインの修正&深いペーパー傷の目消しを行います。

サフェ研ぎが完了です。通常はこのまま本塗りとなりますが、今回はさらにクリアーを使った下塗りを行います。

研ぎ作業の際にアルミ素地が露出した箇所には再び金属用のプライマーを塗布します。

続けてフレーム全体にクリアーを塗ります。

ダウンチューブはこれが二度目の下塗りクリアーで、ここでようやく平滑なラインが形成されました。

クリアーをフレーム全体に塗ったのはペーパー傷を埋める事と、細かいラインの確認を兼ねています。

この後、再び熱を入れて塗膜を完全硬化させます。3度目の熱入れですね。

フレーム全体に足付け処理を行い、ダウンチューブを残してマスキングを行います。

透過性のある黒の塗装=スモーク塗装を行い、3回目のクリアーを塗りました。

オーナー様のご要望に沿ってスモーク塗装を行いカーボン目を目立たなくさせました。

この後再び熱を入れて塗装を硬化させます。4度目の熱入れです。

LOOK 585②に続きます