LOOK 585③

②に続き、完成の紹介となります。

本塗り後に60℃40分程の熱を掛け、必要に応じて磨き処理を行ったら完成となります。

最初の状態も紹介しますね。

 元々はこのようなデザインだった物を、

オーナー様のご要望に応じてロゴを作製し、事前にイメージイラストを作製しました。

新車時の塗装が良く無かった事もあり、結局塗膜の殆どを削り落として下地からのやり直しとしています。

 このフレームはラグ部の継ぎ目のなる箇所があり、一度だけのサフェ研ぎではラインの形成が難しかった為、一旦クリアーを下塗りして微細なラインを再現しています。特に鋭角な谷ラインをシャープに美しく仕上げる事に意識しました。

 アウター受け(ワイヤーガイド)については基本的には取り外して作業するのですが、取り付け時にカーボンチューブが割れる恐れがある事、また今回のようにチューブの端が接着剤で埋まってしまっていてリベットを揉んで外した際に裏側の破片が回収できない(破片がチューブの中に残る)と言う事もあり、最初から最後まで取り外さずに作業を行いました。

ただしアウター受け部分は手作業で旧塗膜の剥離は難しい為、そこのみをサンドブラストで処理しています。

ロゴ部分は黒では無く「スモーク」で、強い光に当たった場合のみ素地のカーボン目が見えるようになっています。

ヘッドチューブのロゴは元のデザインのままで、ただし二個あった物を一つとしてシンプルなデザインにしています。色のフルカラーロゴのグレーと御揃いにしています。

 この辺はアルミでは無くカーボン素材なのでサンドブラストは使えず、窪みや穴の部分はリューターの先端にペーパーを巻くなどして手作業で行っています。

 元々あったフルカラーのロゴは純正のデカールでは無く塗装で再現しています。

 色は元々貼ってあったデカールとシールを参考に、それぞれの色から近似色を選んで作製しています。

 クリアーは高品位なタイプのSTANDOXクリスタルクリアーを使い、まるで磁器のような美しい光沢感を表現しています。

 ベースカラーのホワイトはロールスロイスのARCTICA(カラーコード:9561001)を使用しまいた。

ロゴ部分は新車時のような段差は無く、シャープな輪郭で美しく仕上がっていると思います。

最初の状態も紹介しますね。

元々の塗装ではロゴ部分に激しい段差があったり、

最後に塗られているクリアー層が密着不良でペリペリと剥がれているような状態でした。

剥がれた所を見ると下から艶のある塗膜が見れる為、最終クリアーを塗る前に足付け処理は行われていない事が判ります。

私的な見解ですが、恐らくデカール等を貼って最終クリアーを塗る前には足付け処理では無く「密着剤」が使われていて、それが経年による劣化で塗装が剥がれて来たものと思われます。

接着剤と違い塗膜自体に密着効果は少ないですから、塗装の前に足付け処理を行うのはとても重要です。

 塗装の塗り方に関しても、隠ぺい性の違いによる塗り方の順番やマスキング・スプレー方法によって無駄な膜厚を極力抑え丁寧に塗る事によってシャープで美しく段差の少ない仕上がりに出来ます。

ロゴに関しては折角各色の塗料を作ったと言う事で、

本塗りのついでにアクリルプレートにも塗装を行って、

今後の為に色見本を作製したり、

レーザー加工機でカットしたアクリル板を使って立体ロゴを作製したりもしました(これは仕事とは関係ありません)。詳しくはこちらの社外記でどうぞ。

さらにデータを使い回し、カッティングシートでタッチペン用ボトルのパッケージシールを作製したりも出来ます。

その後オーナー様から組み付け後の画像とコメントも頂きましたので紹介させていただきます。

「フレームは先週の先々週の金曜日に無事届いておりました。とても奇麗です。次の日には、組付け完了して乗り始めてました。

 写真を送ろうと思ってたのですが、iPhonの限界と天気が良すぎて思ったような質感の写真になりません。改めて今日(曇り)にコンデジで撮ったので送ります。 肉眼なら晴の日にも奇麗に見えるんですがね。
良い仕事をしていただきありがとうございました。気持ちよく自転車に乗れるようになりました。また色を塗りたいものが出来たらお願いしたいと思います。」
との事です。わざわざ有難うございました!
確かに今回の塗色は少々特殊で、通常ソリッドカラーには使われないエフェクトホワイト(STX MIX810。DUPONTだとAM3のマイクロチタン)が大量に使われていて、透かすと青く、光が反射すると黄色味が出ると言う透明な白味が表現されています。こういった配合は殆ど見かけない為、車でも自転車でも同じような色をした車体は殆ど存在しないと思います。
この度のご依頼、誠に有難うございました!