フェラーリリモコンキーカバー 本塗り

 先日ステンレスパイプをフレアー加工してキーリング取り付け部に仮合わせをしていたフェラーリ458のリモコンキーカバーです。

傷防止金具を仮合わせした際に穴の周りに傷が付いた事と、被塗面を素手で触ってしまったので再び全体を足付け処理し直しました。

ステんレスパイプのフレアー加工については以下ページで紹介しておりますので宜しければご参照下さいませ。

フェラーリリモコンキー用傷防止リング作成

 そして台にセットし、いよいよ本塗り開始です。

 色は以下の3色で構成されていて、まずは白から塗り始めます。他の部品も下色として白を軽く塗っておきます。

・赤・・・ROSSOCORSA(カラーコード:322)

・白・・・Bianco Avus(カラーコード:100)

・青・・・Blu Nart MET(カラーコード:523)

マスキングシートは前回作ったデータが残っているのでそれをそのまま使います。モニターに映っているイラストは実寸サイズで作成しているので、それをそのままカット出力してマスキングシートとして使えます。

 最初はラインが曲がらないようセンターの部分も一緒に貼付けて、

 位置が決まったらストラインプラインのみ残して他を剥がします。

 さらに中央をマスキングして、

 赤(ロッソコルサ)を塗ります。

ちなみにフェラーリの赤=ロッソコルサは2種類あって、色味はそれぞれ微妙に違います。今回使用した赤は前回の仕様に倣って「322」の方を使いましたが、前回色見本を作成していなかったので今回一緒に塗っています。

 赤がテープフリーな状態になったら今度はそこをマスキングし、中央に青メタリックを塗布します。

 マスキングを剥がしました。

通常はこのままクリアーの塗装となると思いますが、実際はここからが一番時間の掛かる作業となります。

 カーブした個所に貼られたマスキングシートはフチが浮く傾向にある為、よく見ると少し塗料が食み出ているのが判ると思います。

 なので今度は赤と青メタリック部分をマスキングし、再度白を塗ります。

 また跳ね馬エンブレムが着く窪み部分はその内部で色が飛ぶのでやはりそこも塗り直します。

これの予防としては、最初に作成したように熱で変形する樹脂を埋め込む事で対応出来るのですが、エンブレムを嵌めた時に微妙に見える部分(フチから内側に少し回り込んだ箇所)にもストライプ柄は塗られていなければならない為、敢えてこうしています。

もしくは熱で変形する樹脂で型を取り、それをストライプと同じラインで3分割にカット!と言う方法でも良かったのですが、多分ラインピッタリにカットする方が難しいと思ったのでそれも辞めました。

 と言う訳で、

 マスキングしてはスポットで白を塗っていくという事を延々繰り返します。

ちなみに白を最初に塗っているのは各色の隠ぺい力による物で、塗膜が厚くなると塗り分けラインの仕上りが汚くなる為「白→赤」の順番で塗装しています。この段階では色を厚塗りする必要は無いのでシャープで美しいラインに塗れます。

 そしてベースコートの塗装が完了です。塗装する範囲は小さいのですが、細かいところを気にすると一日仕事になってしまいます。

 最後にクリアーを塗って本塗り完了です。

 塗装に完璧といった仕上がりは無いのですが、各工程を丁寧に行いそれらを積み重ねる事でそれに近づける事は出来ます。

画像だと判りませんがこちらも一つゴミが付いていて、後で磨けば判らなくは出来ますが、この時点で100%からは落ちてしまいます。途中ブースから出た時に体のエアーブローをさらにやっておけば防げたのかも知れませんが、何分目で見える物では無いので完全に除去するのは難しいのです。

一つの物を塗るのに30工程あったとして、それら全てを100%にしていくのは流石に無理がありますので、塗装の仕事で「一切妥協せず」なんて事はまずありません。と言うか妥協しなかったらどの仕事も終わらなく、そう考えていると全てが妥協の産物と思えて来てしまい、いよいよドツボに嵌ってしまいます。車体の塗装だとさらにそれが大きく感じてしまい、色々な面でそれを続けるのは難しかったんですよね。

付着したゴミについては磨き処理で綺麗に取れますのでそちらはどうぞご安心下さいませ(良く見て頂いて大丈夫です)。

この後一日自然乾燥させたら熱を掛けて完全硬化させ、必要に応じて磨き処理をしたらフレアー加工したステインレスパイプを取り付けます。どうぞもう少々お待ち下さいませ!