SHURE BETA58Aマイク デカール&ロゴ入れ塗装

先日お預りしておりましたSHURE BETA58Aのボーカルマイクです。

 ご依頼者様より入稿して頂いたデータを基にイメージイラストを作成しておりまして、

 それを使ってデカールへの印刷とマスキングシートを作成します。

 「KAZZ」のロゴは塗装で、その下に入れる小さい文字は塗装では対応出来ないのでデカールで行います。

 頂いたデータと、元々貼ってあった印刷用紙とは少しサイズが違った為、こちらで調整しておきました。データからは少し大きくして、元々貼ってあった印刷用紙に近づけた感じです。

 また今回はデカールの赤と塗装との赤で色の差異が起きてしまう為、「先に作ったデカールに似た赤を採用する」と言う方法で行っています。選んだのはフェラーリのロッソスクーデリア(カラーコード:323)です。画像右の赤ですね。

デカール作成の為のドライプリンターについては以下の記事が判り易いかと思いますので宜しければご参照下さいませ。

http://pro-fit.ne.jp/wordpress2013/wordpress/2017/05/12/143%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%AB%E3%83%BC%E7%94%A8-%E3%83%87%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E4%BD%9C%E6%88%90/

 ちなみに印刷してから気が付いたのですが、今回は下地の色が「白」(ホワイトパール)の為、下地として一番最初に印刷した「特色ホワイト」は必要無かったようです。なので改めて印刷し直しました。下のが特色ホワイト無しのデカールです。

それぞれの印刷内容を詳しく紹介しますと、

上のシート・・・「特色ホワイト→イエロー→マゼンタ」

下のシート・・・「イエロー→マゼンタ」

と、なっていて、やはりと言うか3層印刷よりも2層の方が仕上りが良くなっています。言われないと判らないレベルかも知れませんが、「E」とか「R」の左側の線のシャープさが全然違います。

もしこれを「黒」の上に塗る場合は「イエロー→マゼンタ」だけでは下地が透けてしまい「黒い赤」となってしまいますから、その場合には下地として「特色ホワイト」が必要なのですが、今回は下地色がホワイト系なので「特色ホワイト」の印刷は必要無いという事です。

尚、「マゼンタ」単体では青味のある赤になる為、その下にイエローを敷いて今回のような赤にしていると言う事です。普通のプリンターではこんな事は出来ませんが、ALPSのMDプリンターではそれが可能なのです(しかも慣れれば簡単に)。

 と言う訳で下地処理を行います。本体の方は空研ぎ#800で足付け処理を行い、グリルボールの方はペーパーでは隙間まで研磨出来ない為、ナイロンブラシとウォッシュコンパウンドを使ってペーパーの入らない隙間の奥まで足付け処理を行います。

 良く脱脂清掃し、本塗り準備完了です。

 色はダイハツのホワイトパールMC(カラーコード:W16)で、まずはカラーベースの白を塗ります。比較的黄色味のある白ですね。尚この時点で念の為ハードナー(硬化剤)を数%添加してあります。

 さらにパールベースを塗布します。こちらもホワイトパールよりもイエローパールの方が多く入っていて、黄色っぽく輝くパールカラーとなります。温かみがあって柔らかい感じですかね。

 テープフリーな状態になるまでよく自然乾燥させ、予め用意しておいたマスキングシートを所定の位置に貼り付けます。これが一番胃が痛くなる作業でしょうか。

全体をマスキングし、先ほど選んでおいたフェラーリの赤(ロッソスクーデリア)を塗りました。使っているガンはSATAの口径0.3mmです。

  さらに自然乾燥させたら工場二階に移ります。

 水を張った容器に木工用ボンドを溶かし、デカールを浮かべます。

 所定の位置に貼り付けました。

 ちなみに丸い穴にはボリューム抵抗が入っていて、そこもマスキングしてあります。

 マイク本体は円錐形になっている為、普通に貼ると最後の繋がりが曲がってしまうのですが、デカールを少しずつ伸ばしたり絞ったりして上手く調整しました。最終的にはデカールを柔らかくするマークソフターも使わないと駄目かと思いましたが、ネチネチを繰り返して何とか大丈夫でした。

(ソフターを使うとデカールの強度が落ちてクリアーを塗った時にチヂレ気味になる気がして、念の為用意はしていますが通常は使わないようにしています。)

今日はここまでとし、常温で一日寝かしてデカールの接着剤(マークセッター&木工用ボンド)が固まった明日にクリアーを塗る予定です。

どうぞもう少々お待ちくださいませ!