透過性塗装 下準備

 先日マスキングを行っておいたテールランプ等一式です。

画像は既に足付け処理が終わった状態で、それまでの途中経過を紹介しますね。

 ステアリングは多少木目(か打痕)のスジ痕があったので、#800の水研ぎで表面を均しておきます。この後はいつもの布状の研磨材(アシレックス)で全体を足付け処理をしておきます。

水研ぎペーパーはコシがあるので凸や傷などを平滑に削る事に適していて、布状の研磨剤は角を立てずに均一なぺーパー傷を入れられるので足付け処理に適しています。

逆を言えばコシの強い#800はそれ以上に深い傷が入る為、そのまま本塗りを行うには少々危険で、昔は使い古した#800を遣ったり、一つ上の番手#1000~#1200で均すのが基本でした(勿論今もそうしますが)。

 こちらは180SXのテールランプで、社外品はランナーから切り離した個所の処理が比較的悪い事が多いので予め削っておきます。

 こちらも180SXのテールランプで、レンズ表面には成型時に出来たシワのような跡があります。恐らくは型の不良では無く、成型して熱くて柔らかい状態の時に何かが当たってしまったような感じでしょうか。傷やヒビ割れではありませんのでご安心下さい(社外品は結構いつもの事です)。

 バリの凸部は#120から始めて平滑に削り落とし、レンズ表面は#320から初めてそれぞれ最終は#800までペーパー目を整えます。レンズに傷がある場合も同じように処理して問題ありません。

ただ時々ですがそうでは無いケースもありまして、

 こちらはハーレーのテールランプで、やはりバリがあったので先に削っておきます。

 同じように#120から始めて、

 最終は#800のペーパー目に整えます。少し巣穴が残っていますが(白い微細な点です)これくらいなら殆ど気にならないと思います(そもそも装着されるとここは見えないかと・・・)。

 レンズ表面にも傷があったでこちらもいつものように削ってみると、

 どうやらこちらはレンズ表面にコーティングが施されていたようです。

 逆側も同じように深い傷があったので削っておきました。

通常テールランプ(レンズ)は樹脂素地そのままが殆どですが、希にこういった被膜が施されています。スプレーで塗装したと言うよりかは溶液にドブ付けして表面に被膜を着けるというような感じがします。

無色透明なのでそのまま塗っても大丈夫かも知れませんが、スモーク塗装のような透過性塗装は大丈夫で無かった場合に取り返しが付かない為、このまま塗るという事は殆どありません。

と言う訳で、取り敢えずはスモークでは無く普通のクリアーを塗ってこれを下塗りとしました。

怖いのは被膜の切れ目を塗料中の溶剤が侵してしまい発生するエッジマッピングで、透過性塗装でこれが出るとそこでスモークの厚みが変わって「永遠消えない跡」が残ってしまう為、多少の為と時間的なロスはありますがこういう作業は必要です。

今回のような事例は余り紹介しませんが、塗装の仕事はトラブルが起きない日がある方が奇跡(!)と言うくらいですので、時間を余分に取っておく事が必要です(と言いつつ納期ギリギリで失敗が絶対許されないと言う時の緊張感も嫌いでは無いんですけどね)。

と言う訳で、ちょっと今週の本塗りは難しくなるかも知れませんので、どうかもう少々お待ち頂ければと思います。