BMW M6バンパースカート 補修塗装

 3ヶ月くらい前からお預かりしておりました古いBMW M6の前後バンパースポイラー(バンパースカート)です。

ちなみにこちらは以前このバンパースポイラーの「牽引フックカバー」のみの塗装をご依頼頂いた方で、通常ここまでのサイズの部品はお受付していませんが、今の工場に移る前からご相談頂いていたと言う事でご依頼を引き受けた次第です(以前は知人の自動車鈑金塗装工場を間借りしていたので冷蔵庫などの大物もお受付出来ましたが、今の工場では大きい物や重い物は二階に運べないので対応出来ないのです。ご了承くださいませ)。

参考までに、以下ページで紹介している牽引フックカバーが今回のバンパースポイラーに装着されます。

BMWボンネットエンブレム修理塗装 完成

 

 車の板金塗装屋さんならよくご存じだと思いますが、この時代のBMW Mのバンパーは軟質なウレタン系で、片側だけ持つとバンパーがクの字に曲ってしまうくらい柔らかい素材です(なので直すのも少々厄介です)。

 近年のバンパーに使われるPP(ポリプロピレン)に比べて非常に柔らかい為、割れている個所は無い反面、これはマズイだろうという塗膜状態の箇所も多いです。

 裂けている個所はエポキシ接着剤とファイバークロスで補強し、軟質性のパテで修正しています。

 詳しくは判りませんがかなりの年月を走って来ていると思われ、本来傷が付き難い軟化仕様の塗装は全面飛び石傷に覆われています。

 むしろ下側のガリ傷の方が修理するのは優しいと言うレベルです。

素材が柔らかいのでサンダーを当てても中々傷は取れなく(削れなく)、深い傷は柔軟性のあるパテを使って補修しています。

 素地調整が終わった状態です。

今回は素材が柔らかいのでサフェーサーはフルフレキシブル(軟化仕様)とし、このp場合は主剤に対して30%の軟化剤を入れていますが(普通はここまで入れません)、この仕様でバンパー程のサイズの物を塗ると床全体がベタベタになってしまう為、下にはブルーシートを敷いて挑むことにしました。判り易いイメージとしては、履いていたサンダルはそのまま床にくっ付いてしまうという感じです。

 サフェーサーを塗り終わった状態です。

 軟化剤を30%も入れると、サフェーサーはまるで上塗り塗料のように艶のある仕上りになります。塗装屋さんなら判ると思いますが、切削性が悪いので研ぐのも非常に大変です。

 サフェ研ぎについては余りにも苛烈な作業だった為か、どうやら撮影するのを忘れていたようです。画像は既に本塗り前の状態です。

 バンパー下部にあるM特有の凸凹したラインの溝は、角度を合わせた当て板を作って研ぎ付けています。

ちなみに作業をしている間に季節が夏から秋に変わり、気温が下がったらバンパーも大分固くなって扱いやすくはなりました(来た時は台に置いただけで曲がってしまうと言う柔らかさでしたので・・・)。

 バンパーの裏側は一番最初にスチーム洗浄をしておいたのですが、普通の自動車塗装工場と違って当店の場合は完成後はバンパーも単体でお渡しする事となる為、見えない裏側も塗っておく事にしました。プラスチック素地剥き出しの部分が多いのでプラスチックプライマーも塗っています。

 ちなみにクリアーにも軟化剤を入れている為、やはり床がベタベタになるのは避けたかったので急遽ブルーシートを敷く事にしました。画像は既に本塗りを終えたところです。

 色は前回牽引フックカバーを塗った時と同じボディカラーで、色名は「LACHSSILBER 」、カラーコードは「203」となります。クリアーはクリスタルクリアーです。

 塗り位置が低いと床に撒いた水が跳ね返ったりゴミが付き易くなるので、バンパー台は極力高い位置にし、ただし一個だとバンパーがクの字に曲ってしまうので二個並べて置いています。

 実はこれの他に両サイドステップもご依頼頂いておりまして、そちらはさらに大変な作業なので後回しに、先にこちらのバンパースポイラーを完成させてお納めしようと思っています。

この後熱を入れて磨き処理を行い、二週間くらい寝かしてから梱包~発送を行う予定です。

念の為ですが、現在の工場では通常このサイズの製品はお受付はしておりませんので、何卒ご理解の程を宜しくお願い致します。