先日お預かりしておりましたメルセデスベンツW124のエンジンヘッドカバーです。
洗浄してその後はいつものサンドブラスト屋さんに部品を送っていまして、処理が終わって先日戻ってきておりました。
梱包は乾燥材と一緒にラップで何重にも包まれていて、極力酸化させたくないので開封は作業が出来るタイミングになってからにしています。紹介が遅れて不安になっておりましたら申し訳御座いませんでした。
この型のヘッドカバーは新品時で裏側にも塗装が施されていて、ただし劣化と共にそれも剥がれてしまっているので裏側もサンドブラスト処理をお願いしています。いつも通り細部まで信じられないくらいしっかり処理してくれています。
表面は腐食した個所がささくれたリ突起している個所があるので#120で研磨して均しておきます。
この後全体をシンナーで洗い流すようにして脱脂処理を行います(下に零れるシンナーは溶剤槽で剥離用として再利用されます)。
ホースパイプ部分には結晶塗装を塗りたく無いので(塗っても大丈夫だと思いますが気分的にも)、ここは別工程としてプライマーを塗布し、
耐蝕性の高い浸透型エポキシプライマーを塗布します。こちらのプライマーは厚塗りしても大丈夫なタイプなのでトータルで6コートくらい塗り込んでいます。
またスプレーでは入りきらない狭い場所やささくれた個所には筆を使って隙間に充填します。
その後一旦60℃~100℃で15分くらい熱を掛け、表面を軽く研いでおきます。
素地が浸食された個所自体はそのまま残るので、艶のあるこの状態では最初の頃と同じで綺麗な仕上りではありません。これを綺麗にするにはエポキシプライマー塗布後にエポキシパテを使って凹みを埋め、再度エポキシプライマーを塗るというかなり手間の掛かる作業なので余り現実的では無く、その点で素地の粗を目立たなくさせる結晶塗装は非常に有効です。
尚、最初にポリパテ等で埋めておけば見た目は綺麗に出来ますが、それをやるとそこが再び腐食してパテごと盛り上がって来るので意味がありません。念の為ですがパテに防錆(防蝕)効果はありません。
浸食した痕は出来るだけ目立たなくさせたいので、塗膜はしっかり塗り込み、且全体の膜厚を均一にするように塗ります。画像は塗装後に赤外線ヒーターで熱を掛けているところです。
その後140℃で20分程熱を掛けると結晶目が出て来て本塗り完了です。
翌日にもう一度同程度の熱を掛けて二度焼きし、数日寝かしたらフィン部を研磨して金属素地を光らせてクリアーを筆で塗っておきます。またオイルキャップが付く個所のパッキン当たり面も研磨して金属素地を露出させておきます。
それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!