セドリックグリルメッシュ 調色

去年の暮頃にお預りしておりました日産セドリックのグリルメッシュです。

既存の塗膜を剥離し、サンドブラスト等の下地処理をした上で再塗装をして元に戻すと言うご依頼なのですが、旧塗膜を剥がしてしまうと色が判らなくなってしまう為、先に色(塗料)を作製しておく必要があります。

また今回は普通の塗色では無く、下地にグレー、その上にパールが塗られた変則的な3コート塗装になっていて、勿論配合データなどはありませんから結構手間の掛かる作業となります。

配合データの無い色を調色する場合、作って見ては捨てると言う作業を繰り返し、元の色に使われている原色を探し出していきます。

今回は3コート塗装なので上に重なっているパール層があると下の色が判りませんから、

 まずは上のパール層を削り落としてしまいます。

 右が最初の状態で、左が#800の水研ぎでパール層だけを削り落とした状態です。かなり色味が違っているのが判ると思います。

 まずはスティックで色を見ながら大体似たような色を作成し、

 その後は実際にスプレーガンを使って、色板に塗装しながら微調整を行っていきます。

使った色は白・黒・茶2種・オーカー・青の6色です。

 下色が決まったら、今度はその上に塗るパールを探す作業です。

パールは塗り方(含有量とコート数)で色が変わる為、それらも確認しながら同じ顔料を探していきます。

尚、STANDOXのホワイトパール原色は4種類あり、今回は色味と粒子のサイズから「PE826」と判断しました。青味(白味)があり、一番粒子の粗いホワイトパールです。

 パール原色が決まったら、次は樹脂分(バインダー)とパールの含有量を決めていきます。パールは塗り方(膜厚や含有量)で色が変わってしまい、また濃過ぎると調整が難しくムラのある仕上がりとなり、薄過ぎると無用に膜厚を着けてしまい塗膜の強度が落ちてしまいます。基本は2~4コートで塗れるようにします。

今回はウェットで2コート、セミウェットなら3コートと言う濃さに調整しました。具体的には「PE826:MIX599」=「1:8」で、シンナー希釈は100%としています。

尚、「MIX599」は色の入っていない樹脂分のみのベースコート=バインダーです。

これがDUPONTだとパールに使うのはバランサーなので(そう言う決まりです)、XB155では無くXB165となります(当時から変わっていなければですが)。

 と言う訳で出来上がった色がこちらです。

 本塗り時の仕上りは「半艶」で、画像では色が判り易いようシリコンオフを塗って艶を出しています。

また本塗り時に色の比較ができるよう、こういった色板を多少塗り方を変えて3枚作成しておきました。塗り方を変えているのは違う状況でも再現できるよう平均値を出しておくような感じです。

また一応色見本も作成しておきます。下色のグレーのみと、それにパールを塗り重ねた二種類です。本塗りの時にも同じように塗装し、塗り方の調整・擦り合わせを行います。

グリルネットは既に溶剤槽に浸けてあって、ただ既存の膜厚はかなりの厚みがあったので少し長めに時間が掛かりそうです。

剥離を終えた後は「サンドブラスト処理→ノンサンディングプライマー(サフェーサー)→下色→クリアー→強制乾燥硬化→再足付け処理→本塗り」といった工程を予定しております。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スマホケース塗装承ってます

 先日到着しておりましたスマートフォン用のクリアーケース(カバー)です。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

 素材はポリカーボネート製で2部品の構成となっている為、それ単体だと剛性が無くフニャフニャとなってしまいます。このまま普通に塗装すると塗膜が割れてしまうので、クリアーには軟化剤を入れたフレキシブル仕様で承っております。

 組み合わせるとこんな感じで、塗装の際にはフチから少しだけ内側の個所でマスキングを行います。こちらで紹介はしておりませんがスマホカバーの塗装はいつも業者様からご依頼を頂いていまして、マスキングは結構面倒な事をしているのを今回紹介出来ると思います。

色は「純白に近い白」と言う事でSTANDOXの白を原色そのままに、クリアーはクリスタルクリアーの軟化仕様とします。

スマホカバーの塗装については、以前社外記の方で「凸凹したUVプリントを重箱のように艶々で!」と言う事をテスト的に行っています。作業内容は纏めていないので工程は判り難いのですが、以下記事で完成画像が見れますので宜しければご参照下さいませ。

UVプリントスマホカバー クリアーコート 完成

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!