BMW K1200GTロア&サイドカウル サフェ入れ

 先日欠損部分の修理を終えていたBMW K1200GTの右サイドカウルとロアカウルです。

 傷があった部分は削り落とし、全体を#240で足付け処理してあります。

 ロアカウルは元々塗ったあったラバーコートを剥がし、裏表共赤スコッチ(#320相当)とウォッシュコンパウンドを使って足付け処理してあります。

 またこちらの素材は塗料の密着性が悪いPA(ポリアミド)なので、ペーパーの当たり難いフチやネジ穴の断面などにガスプライマーを使って火炎処理も行っておきます。

 プラスチックプライマー塗装後、まずはひっくり返した状態で裏側からサフェーサーを塗布します。

 その後は立てた状態で、5コートくらいをウェットで塗り込みます。サフェーサーには軟化剤を入れてフレキシブルな仕様にしています。

サイドカウルは樹脂素地が露出した個所にプラスチックプライマーを塗り、パテを塗っている個所には6~7コート、全体に3コート程サフェーサーを塗り込みます。

取り敢えず今回一番大物だった割れた右サイドカウルと、ラバーコートが塗られたロアカウルの目処がついたので先が見えてきました。

サフェーサーを硬化させている間に他のカウルの下地処理も進めていこうと思います。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

アルファロメオ シフトパネル塗装承ってます

先日到着しておりましたアルファロメオ159のシフトパネルです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

一度自家塗装をされたとの事ですが、細かいブツブツが発生したとの事で、塗装を全て剥がして今回の御依頼となります。コンプレッサーを使ってブツブツが発生したのであれば、圧縮空気内の水分によるブリスターが原因だと思われ、缶スプレーであれば一度に膜厚を付け過ぎたワキかも知れません。

このまま上塗りを行うのは危険ですので、「プラスチックプライマー塗布→サフェーサー塗布→完全硬化→研磨」といった下地処理も承っています。

色は:スバルのトパーズゴールドM(カラーコード:C6P)で、艶消し仕上げで承っております。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

BMW K1200GT ロアカウル ラバーコート剥離

現在色替え全塗装でご依頼作業中のBMW K1200GTのロアカウルです。

表面には飛び石傷防止の為にゴム状の被膜が塗られています。

 一度は専門の業者さん(プラスチックパーツでも対応可能なサンドブラスト屋さん)にお願いしようかとも思ったのですが、素材がPA(ポリアミド)と言う事で、まずは自分で試してみる事にしました。

PA(ポリアミド=ナイロン)は耐溶剤の高い樹脂なのでシンナーなどが着いても大丈夫ですが、さすがに溶剤槽に浸けるのは危ないかも知れない(変形するかも知れない)と言う事で、全体にウェスを被せてシンナーを染み込ませ、画像のようにポリエチレン製のビニールで包んで一日放置する事にしました。

尚、PA樹脂を使った物で当店で施工した事のある製品としては、先日完成したランエボ10のヘッドカバーや、以下のようなBMW GSパリダカ仕様のビックフューエルタンクなどがあります。こういった事から、PAはかなり丈夫な樹脂だと言う事が判るかと思います。

BMW R80GS Gas Tank Paris Dakar

塗膜が柔らかくなったところでスクレーパーやワイヤーブラシを使い、ゴムのような被膜を削り落とします。どの道サフェーサーの塗装は覚悟しているので、ある程度傷が付くのは問題無いとしています。

 実際に作業してみて判りましたが、どうやら樹脂素地にそのままラバーコートが施されている訳では無く、その下には溶剤にも強い「艶消し黒」の塗装がされているようです(もしくは黒いプライマーサフェーサー)。

厚みのあったラバーコートは殆ど取れてくれたので、後はサンディングで行います。

 全体を#120→#180のダブルアクションサンダーで残った塗膜を削り落とし、細部は#240の手掛け、最後はスポンジパッドと#240ダブルアクションサンダーでペーパー目を均します。

 さらに最後の仕上げにウォッシュコンパウンドとスコッチを使って清掃&足付け処理を行います。

ラバーコートの取りこぼしが無いようチェックしつつ、フチまでしっかり足付け処理を行います。

この後よく乾燥させ、先日切り継ぎが終わっている右サイドカウルと一緒にサフェーサーを塗ります。

当初はどうなる事かと思いましたが、先日行ったBRZのインパネのカーボンフィルムを剥がす作業が良い経験となり、今回自分でやってみようと思った次第です(お陰様でBRZの内装部品の仕上りも喜んで頂けました)。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ポルシェボクスターテールランプ塗装承ってます

 先日よりお預りしておりましたポルシェ968ボクスターの純正テールランプです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

ご依頼自体は結構前から頂いていたのですが、今回は車体を追突されたとの事でそちらの修理と、テールランプを本国から取り寄せていたとの事で少し時間が掛かっておりました。ポルシェ純正部品ですが、クリアーレンズ部には若干のスモークが入っています。

ご依頼内容はこのような感じで、縁を濃いレッド&スモークに、またクリアーレンズ部も範囲を小さくして全体的にデザインを変更します。少し前に完成したレガシィツーリングワゴンのテールランプの塗装内容に似ていますが、それをさらに複雑にした感じです。

 全ての塗り分けを一度の塗装で行うのは難しいので、今回は本塗りを2回に分けて行います。一応現時点で想定している工程を紹介しておきますね。

 まずはフチを「レッドキャンディー+スモーク」で「黒い赤」に塗装し、ここで一旦クリアーを塗って区切ります。

単にフチを塗るだけのようですが、クリアーレンズ部と既存の赤いレンズ部を同じ様に塗ってしまうとそれぞれ色味が合わないので、まず上のクリアーレンズ部のみフチをレッドに塗って、さらにその後下側も含め「C字型」全体を通してレッドに、続けてスモークを塗って赤を黒くし、最後にレンズ全体をクリアーで覆います。ここで一旦熱を掛けて塗膜を完全硬化させ、再度足付け処理を行います。

 その後、クリアーレンズ部の一部(ウィンカーの横)をレッドに、さらにその下側の既存の赤いレンズ部も一緒に塗って色味(色相)を合わせ、

最後にレンズ全体に薄くスモークを塗り、二回目のクリアーを塗ります。

通常の塗色であれば色を塗り重ねればそれで終わりなのですが、テールランプなどで行う透過性の塗装は塗り方によって色が変わる為、色の調整が難しくなります。また失敗をすると元に戻せないので、慎重に成らざるを得ないのです。

それぞれのスモーク濃度については、以前施工した時の画像を参考にして紹介したいと思います。

フチは「縁取りとその外側は一段濃く」とご指定を頂いておりまして、仕上りのイメージとしては以前施工したこちらのフィアットテールランプのフチくらいを想定しています。単なる黒では無く「赤い黒」といった感じです。

その他の部位は、以前施工したインプレッサのテールランプに施した「レッドキャンディー&スモーク」をイメージしています(ただし今回のテールランプはこういっった透明レンズ+派手なメッキ反射板ではないのでこういった透明感は出せず、あくまでもイメージとなります)。

クリアーレンズ部は既に若干のスモークが掛かっているので、それに少しだけスモークを重ねて、画像にあるくらいの濃さに見えるような感じにしようと思います(現状で既に「極薄目」程のスモークがあるので、それを「極薄目と薄目の中間」にするような感じです)。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

Kawasaki Z1ライトケース サフェ入れ

Kawasaki Z1ライトケース等塗装 承ってます

先日お預りしておりましたカワサキZ1のライトケースと、スピードメーターのギアケースです。

今回はサンドブラスト処理~重防錆仕様まで承っておりますので、途中で錆が出ないようタイミングを見計らって一気に作業を行います。

 まずはサンドブラスト(標準)で全体の塗装と錆を除去します。

 元々塗ってあった塗膜は薄膜だった為、いつものように溶剤槽での浸け置き剥離はせず、そのままサンドブラストを掛けています。

 しかしいくら外側を綺麗にしてもこういった鋼板が張り合わさった個所の内部は処理が出来ない為、今回は浸透型エポキシプライマーを併用して錆の進行を極力遅らせるような方法を行います。

 スピードメーターのギアーケースは本体のアルミ部分とスチールのシャフト個所も一緒に塗るので、内部とネジ山以外は全てサンドブラストを掛けました。尚、打痕跡はそのまま残って構わない(恐らく装着すると見えない)と言う事でそのままにしています。

この後綺麗なシンナーで洗い流すようにして脱脂~洗浄を行います。

 そして浸透型エポキシプライマーの準備を行います。スプレーで塗る分とは別に、シンナーで希釈した物を用意します。

 鋼板の合わせ目の隙間から、内部に流し込むようにして筆で塗り込み、

 さらにエアーブローをして奥まで行き渡らせます。

 他の個所も同様に、

反対側から噴き出すようになるまでしつこく繰り返します。

 裏からが終わったら表側からも同様に、

 親の仇のように行います。

 飛び散った余分はシンナーとウェスで拭き取ります。

 昔ディーラーに勤めていた時、パネル交換(確かクォーターパネルとバックパネル)をしてくれた社内外注の板金屋さんが、溶接で焼け焦げたその上に「シーラーも塗っといたから!」みたいな感じで自信満々で車を持って来たのですが、さすがにそのまま塗る訳にはいかず(塗る人も居ます)、スクレーパーとシンナーで全て綺麗に剥がしていたら凄く嫌な顔をしていました。そもそもシーラーに防錆効果は無いですし(変性シリコンシーラーの効果は防錆では無く防水です)、焼けた塗装(電着プライマー)の上にそのまま塗り重ねるって・・・(人によりますがディーラーの集中センターではそう言う事も普通にあって、年上の外注さんにはどうしても言い難い為に自分で直す事が多かったです)。

 その後は通常通り、スプレーガンを使ってプライマーを塗布します。

 先程筆で塗ったのと同じく、重防錆仕様で使う浸透型エポキシプライマーです。

 こちらのスピードメーターギアケースは通常のプライマーのみで塗装する予定だったのですが、

 ついでと言う事で同じようにエポキシプライマーを塗っておきました。どの道待っている時間は同じですし(エポキシはフラッシュオフタイムが長いのです)、わざわざガンを洗って塗り直す方が手間ですのでこういう場合は一緒に塗ってしまいます。耐久性も美観も高くなりますのでご安心下さい。

 プライマー塗装後、一定時間乾燥させたら続けてサフェーサーを塗布します。

 サフェーサーを塗る前にしっかりプライマーを焼いてしまうと(熱を掛けて強制乾燥~完全硬化させてしまうと)足付け処理無しでは十分に密着しませんが、既定の時間内なら半生(はんなま)の状態で違う種類の塗料を塗り重ねる事が可能です。「ウェット・オン・ウェット」なる工法ですね。

 ライトケースの内側は塗らなくても構わないと言う事でしたので、こちらはおまけ程度にベースコートの黒だけを塗っておきました。こちらもウェットオンウェットで大丈夫です(中途半端に熱を入れたり時間が経つと激しいチヂレを起こします)。

この状態で一日自然乾燥させ、後日熱を入れて全ての層(違う種類の塗膜)を一気に完全硬化させる、と言う算段です。肌が残るので外側の上塗りには使えませんが(使えない事は無いですが普通はしません)、新品ドアパネルへの交換などでは、裏側(室内側)にウレタンサフェを塗ってそのまま色を塗り、クリアーまで仕上げる、と言う事も全然可能です(ドアを単体で塗る場合もありますが、3コートパールやシルバーなど塗り方で色が変わる物は先に裏側を塗って車体に組み付けてから外側を塗ったりします)。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!