SHURE SM58 Microphone

shure18少し前にご依頼を頂いていたSHUREのマイクです。プレゼント用にと言う事でご依頼頂いていましたので紹介は控えていましたが、お渡しする日が過ぎれば問題無いとの事で改めて内容を紹介致します。

mic7本体はいつものキャンディーレッドで、そこに入れるロゴをベクトルデータにて入稿して頂きました。細部とサイズを修正し、イメージイラストを作製してご確認頂きました。

mic8作製したデータをプリントアウトし、実際にマイクに貼ってサイズと位置を確認します。

mic6今回は細かいラインがあるので極力ロゴのサイズを大きくしたいのですが、かといってバランスが悪くなっては困るのでその辺に気を付けています。上の画像ではロゴをプリントした紙をカットして貼っています。

mic46ロゴが決まったらいよいよ本塗りです。と言っても今回はロゴ入れがあるので、塗装は二回分(2個分)の工程となります。

mic47キャンディー塗装の特徴は色の発色の良さで、その為にはまず下地に光りが反射する為の明度の高い色(白またはシルバー)を塗り、その上に透過性のある色を塗ります。上に塗る色によっても仕上がりは変わりますが、下に塗る色によってもそれは変わるので、バイクのカウルなどの再補修の為の調色作業は困難を極めます(結果部品代よりも高くなるので、金額面で直すメリットは少なくなります)。

mic48透明な赤を塗り、さらにクリアーを塗って本塗り(下塗り)が完了です。

この後熱を入れて完全硬化し、さらに同じ下地処理を繰り返したら今度はロゴを入れて再度クリアーを入れて完成となります。

mic42細かいデザインだったのでカッティングプロッターだけでは難しかったのですが、細部は手でカットして何とか塗装で対応出来ました。

mic43
オーナー様からは、

「非常に美しく艶やかな仕上がりに、大変満足しております!
プレゼントする相手にも喜んでもらえると思います!」

とのお言葉も頂戴しまして安心しました。

mic45一番難しかったのは周りの星のラインで、曲線的なラインは多少曲がっても余り目立たないのですが、直線的なラインは曲がるのはもちろん、太さや幅が変わるとても目立つので神経を使っています。

当店ではエアーブラシを使って画を描いたりは出来ませんが、出来るだけ機械的に、人間の手が加わったとは思えないような仕上がりを目指しています。

NISSAN SKYLINE R34 Tail Light

img1906 丁度四年くらい前にご依頼頂いたスカイラインR34用の社外品テールランプです。作業内容は普通のスモーク塗装だったのですが、オーナー様から頂いた装着済みの完成画像が格好良かったので改めて紹介させて頂きますね。

img1958 意外と面倒だったのがマスキングで、土台の黒い部分は車体に装着されれば恐らく見えなくなると思いますが、小物塗装の場合はそういう訳にはいきませんので(この状態で渡すので)、一応しっかりマスキングしておきます。

img1959 多分黒いプレートも一緒に塗っても問題は無いと思うのですが、やはり気分的に良く無いという事で、かなりしっかりマスキングしています。

img1960 スモーク塗装は塗膜の厚みで濃淡が変わってしまうので、今回のような平面では無い部分への塗装はちょっと難しくなります。「これだけの段差で?」と思いそうですが、エアースプレーでの塗装となると空気の流れが変わると塗膜の付き方も全然変わってしまうのです。しかも一旦濃淡が付いてしまうと最後まで取れませんしね。

img2005 濃度としては「薄め」で、元の赤が派手だった分、スモークが綺麗に表現出来ていると思います。

img2006 こういう点では純正品よりも派手な社外品の方がスモーク塗装には適しているかも知れません。

img2007 無駄に手間を掛けたマスキングですが、そのお陰でこの状態で見てもとても塗装したとは思えないように仕上がっていると思います。車体に着いてしまえば全くの無意味なのですが(笑)。

img2080車体色は濃色系ですが、スモークテールが黒過ぎないお陰で極悪さは控えめになってくれていて、むしろ上品ささえ感じられると思います。

Japanese old public phone

img7 5年くらい前にR30スカイランのFJエンジンカバーとインマニの結晶塗装と、そしてこちらの公衆電話の塗装を御依頼頂きました。

img351分解してみて判ったのですが、造りは相当凝っていて、多分相当高額な製品なのだと思います。img352赤いパーツはダイヤル部分とカールコード以外は全て塗り替えます。

img425 恐らくこういった公衆電話は定期的に回収~補修がされていたようで、確か5回くらい再塗装されていた跡がありました。今で言う自動販売機みたいな感じですかね(以前そう言う塗装の依頼もありましたがさすがにお断りさせて頂きました)。

img427 外側のケースはスチールの一枚物で、なんと継ぎ目がありません。さすが公企業と言うか、お金の掛け方の違いが良く分かります。

img471 ただ素地は綺麗に見えてかなりボコボコでしたから、この時はサフェーサーだけでは無く全面にスプレーパテを塗って平らになるよう成型しています。

img472 (1)劣化が激しい部品は似たような物を見つけて交換したりもしました。

img474 プレートはそのまま再利用で、固定はリベットでは無く真鍮のカシメで固定しました。

img555 塗り終わった物に組み付けていきます。先ほどのプレートとカシメはこんな感じになります。

img558完成後は普通に使うので(!?)、元の通りに組み付けます。

img586 そして完成です!下地作業が大変だったのでちょっとしたレストアって感じでした。

img587 古い物は古いままでって言うのも当然良いのですが、今回のように当時の物をピカピカにして身近なところで使いたいって言うのも面白いですよね。こういうのは今後数十年残るでしょうから、仕事としては塗装屋冥利に尽きると思います(ただ商売としては・・・ですけどね。慣れないと大変です)。

img613 ちなみにこの時、電話機本体とは別にこちらの「専用台」の塗装も御依頼頂いていました。しかも資料を元に、当時と同じような仕様にして欲しいとの事です。一体どこに向っているのかと(笑)。

img182電話台もそうですが、一緒に御依頼頂いたFJエンジンのヘッドカバーも相当きています。

img5素材はスチール製で、やはりと言うか錆々です。

img6 さすがにこのサイズとなると私の手には余るので、一旦サンドブラスト屋さんにて全体を直圧サンドブラストで錆と旧塗膜を一掃して貰いました。確か浸透型エポキシプライマーを使っての重防錆仕様にしていたと思います。

img637 スライドして入れられる広告パネルも当時と同じ様に再現します。 材料のアクリル板はオーナー様に用意して頂きました。

img640最後はクリアーで全体をコートしています。

img652 台の底にはコンクリートの塊が入っていて倒れないようになっていて、途中の棚板にはタウンページなどが置けるようになっている模様です。

img748その後オーナー様より設置後の画像を送って頂きました。画像の場所はご自宅のガレージ(?)なのだそうで、なるほどこういう事ですか!、と全てが納得出来る一枚でした。まさに男の夢って感じですよね。いやはや羨ましい限りです。

OETTINGER Wheel Cap(68mm) Three Pointed Star

benz202こちらはエッティンガーなるドイツのメーカーのホイールで、本体の塗装は別の塗装屋さんで艶消し黒に塗られているのですが、今回こちらに付いているセンターキャップをベンツの「スリーポインテッドスター」に変更されたいとの御依頼となりました。

benz203ただこのエッティンガーのホイールキャップは径が68ミリと言うサイズで、ベンツのキャップは74ミリですからそのままでは付かず、かと言って周りを削れば良いと言う訳でもありませんので、今回は塗装以外にそれの作製も承ったのです。ちょっと特殊な作業なのでこちらの日記では紹介せず「社外記」の方で紹介していましたが、内容を絞って改めて一連の作業を紹介したいと思います。

benz187アクリル板をレーザー加工機でカットし、土台となるプレートやマスター型を作る際のガイドとして使います。

benz170イメージ的にはこんな感じですかね(実際はちょっと違うのですが画的に判り易いかと)。

benz1968mm径にカットしたスチレンボードを型枠とし、ポリエステル系パテを詰め込みます。

benz20出来上がった物がこれです。パテを使ったのはこの後の切削がやり易いからですね。

benz22 68mm径にカットしたアクリル板をベースに先ほど作製したリング状のパテを両面テープで貼り付け、ボール盤に固定して回転させたら「山」の型になるようそれにペーパーを当てて整えます。

benz189出来上がった山側の枠にベンツ純正ホイールキャップ(74mm)から切り取った三叉を合わせます。隙間には油粘度を詰め、これを元にして68mmのスリーポインテッドスターを複製します。

benz190市販のブロックを使って壁を作りました。

benz192シリコン樹脂を流し込みます。

benz250シリコンが固まったらマスター型を外します。これを元にして最低ホイール4個分を複製します。

benz16 (1)出来上がった型に離型剤を塗り、ポリエステル樹脂を注いで複製品を作製します。

benz26 (1)出来上がったスターマークを丸くカットしたアクリル板に乗せてみました、の図です。

benz27 どんどん複製します。

benz201 サフェーサーを塗りました。

benz204 仮合わせをしてみます。ホイールに取り付ける為の爪部分は元々付いていたエッティンガーのキャップの土台を利用しています。

benz211 まずは一旦艶有りの黒で仕上げます。

benz213 その後高輝度メタリックを塗布し、極力金属っぽいシルバーにしました。

benz219ベースとなるプレートは表面を艶消しブラックに、フチは艶有りのレッドで塗装します。

benz-2 (1)そして完成です。

benz226当初は私も「どこかに68mmのスターがあるのでは無いか」なんて考えていたのですが、散々探して結局見つからず今回一からの作製となりました。

benz248そして後日オーナー様より装着後の画像を送っていただけました。

benz246結構(と言うかかなり)手間が掛かっているのですが、こうやって見ると純正品にしか見えないですよね。

benz249そういえば予備として余分に作っている物があるので、今度時間が出来たらそれらを額装して飾れるように仕立ててみたいと思います。

今回の内容としてはちょっと塗装屋の仕事を逸脱している所もありましたが、お陰様で新しい事を色々やらせて頂きまして、仕事としてこんな事をやらせて頂けるなんて本当に感謝感謝です。

SUZUKI GSX1300R Hayabusa brembo calipers

 brembo27以前ご依頼頂いた案件で、作業内容と画像を纏めて再編集して紹介しています。内容はちょっと薄いですが一連の流れで紹介しますので、文章を読まずともどんな事をしているかは理解出来ると思います。「既に知ってる!」と言う方はどうかご容赦下さい・・・。

ブレーキキャリパーの塗装は主に四輪車用が多いのですが、稀にバイク用キャリパーの塗装もご依頼頂きます。ただそういった場合は大抵内容が普通では無いと言うケースが多いようです。まあこれはいつもの事ですか・・・(苦)。

brembo28現状としてはキャリパーに彫られたbremboのロゴの塗膜が浮いていて、ご依頼内容はキャリパー本体の塗装と、このbremboロゴにも色を入れたいとの御希望です。しかもこんな風に文字部分の塗装が剥がれないようにですね。そもそも「後から塗料を流し込む」なんてやり方で剥がれない方が不思議なので、今回はこういった問題が起こらないような塗装にします。

brembo29まずはコピー用紙をキャリパーに当ててクレヨンを擦り凹み文字部を転写します。所謂「石刷り」ですね。

brembo26 ただそのままではどうにもならないので、一旦スキャナーでパソコンに読み込み、Illustratorなどのベクトルデータを作れるソフトで修整して新たにデータを作成します。

brembo28 旧塗膜は全て剝がし、アルマイト素地にもサンドブラストを掛けて下地からやり直します。一番最初の洗浄~旧塗膜剥離作業はブレーキ専門でやっている方に御願いしています。

brembo32 データからマスキングシートを作製し、実物に合わせてさらに微調整を行います。

brembo38 下準備が終わったらいよいよ本塗り開始です。

brembo39 まずはプライマーです。これを塗らないと折角の塗装も剥がれてしまいますし、金属は腐食してしまいます。

brembo40 御指定頂いた色はSUZUKIのDAYTONA YELLOW」(デイトナイエロー。カラーコード: YMF)で、ただ非常に隠ぺい力が弱い色なので最初に下色を塗ります。

brembo43 その後ベースコートのデイトナイエローを塗り終わったら、作っておいたマスキングシートを使って凹んだ部分を黒く塗装します。

brembo44 クリアーを塗って本塗り完了です。

brembo45 塗膜の構成は「ベースコートイエロー→ベースコートブラック→クリアー」と基本通りに行っているので経年で塗膜がパリパリと剥がれるような事はありません。

brembo46 そして完成です。

brembo47万遍なく艶のある仕上がりに出来ました。

brembo48 バイクの場合は裏側も見えるので・・・と言う訳では無く、いつもこんな感じで裏側も表同様綺麗に仕上げています。

brembo49最初の塗装とは根本的にやり方が違うのでもうロゴ部分の塗装が剥がれるといった心配はありません(ただブレーキフルードが付いたらよく水で洗い流しておきましょう)。

hayabusa3後日オーナー様から頂いた画像です。なるほど、今回のキャリパーカラーはボディーのカラーリングとお揃いにする為だったのですね。凄くお洒落で目立つと思います。

ちなみに色は幸いにしてSTANDOXの配合データがありましたからそのままで同じ色が作れました。二輪車の場合はで配合データが存在していない場合が多々あるので、お問い合わせの際には色名と色番号(これが重要です)を用意しておいて頂ければ事前に調べます。どうぞご利用下さいませ。

次はエッティンガー用のホイールセンターキャップの作製~塗装を紹介したいのですが、あれは相当内容が濃いのでちょっと時間が掛かるかも知れません。マスター型の作製~シリコン型による複製については仕事外の作業として社外記で紹介していましたが、そちらも纏めて紹介したいと思います。