ホンダS660リヤガーニッシュ加工

先日お預かりしておりましたレンズ関係一式の内の一つ、ホンダS660の純正リヤガーニッシュです。塗装作業はまだもう少し先なのですが、今回こちらのパーツの一部加工も承りましたので、時間が読めなそうなそちらを先に行っておきます。

まずはホンダのエンブレムの取り外しです。ボディパネルであれば工業用ドライヤーを使って温めてから行うのですが、それと同じ様にやるとアクリルのカバーパネルが変形してしまうので、溶剤(シリコンオフ)を染み込ませるようにして少しずつヘラで剥がしていきます。万が一アクリルカバーが割れてしまうかも知れない事を考えると、これを一番最初にやっておくべきと後悔しました・・・(割れてしまうのは仕方ないとして、一か月放置してそれが起こるのと、預かって直ぐにそうなるのとでは印象が違うと思いますので)。

何とか無事に外れましたが、残った両面テープが強力で、この後もレンズ面に圧を掛けないよう少しずつ削り落としておきます。今回は塗装するので問題ないですが、単にエンブレムを交換するだけだとしたら周りは傷だらけになるのでかなり大変な作業になるのでは・・・。

取り付ける前に一応LEDモールの点灯をチェックしておきます。有機ELでは無いみたいですが、比較的ムラ無く光るようになっています。

施工方法については当初こちらのサイトで紹介していたのですが、何故かその後消えて無くなってしまい困っていたところ、新たにこちらのサイトを見つけたのでそれに倣って作業を行う事にしました。穴を開ける際にカスが中に入るのが嫌だったのでドリルやリューター等は切削工具は使わず、半田ごてで溶かして穴を開けるようにしました。

商品を紹介しているサイトでは比較的簡単そうに説明しているのですが、LEDモールは端が太くなっていて簡単には入っていってくれません。入り口を広くしても中で詰まってしまうので、ある一定の箇所で止まってしまいそれ以上進まないのです。

仕方ないので反対側にも穴を開けて紐で引っ張ろうかと思いましたが、一旦ここで休憩として色々な方法を考えてみて、LEDモールの裏側に細いステンレス線をテープで固定して一緒に押し込む事で上手く入れる事が出来ました!

恐らく普通の方だと無理やり押し込んでLEDの基盤を痛めてしまい、破損して点灯しなくなったそれについて問い合わせるといった事が多くなったので施工方法のページを消してしまったのでは、と思った次第です。

念の為ここで灯火する事を確認します。リヤガーニッシュの幅に対して少し短い感じなので、左右バランスの良い位置にしておきます。

空いた穴はシリコンシーラー等で塞ぐと書いてありましたが、それだと大抵後で水漏れするので(シリコーンは同じ素材ならくっ付きますがそれ以外だと密着性が弱いのです)、穴が開いた面の形にABS板を切り出して、

それをハンダで点付け溶接し、

エポキシ接着剤でその周りも覆うように固定します。

エポキシ接着剤が乾いたら、さらにそれを覆うようにウレタンシーラーを塗り込みます。一般的に防水効果が高そうなイメージのシリコーンシーラーですが、私的にはそうは思ってはいなく、これを使う場面としては同じ素材の物を接着する場合か、または色が透明である以上のメリットが無いと思っています。後で剥がす時には綺麗に剥がれるのでそれくらいですかね。

最後にもう一度灯火テストを行って問題無い事を確認したので、次は「H」=ホンダのメッキエンブレムが付いていた箇所に残る突起を削り、一旦全体にクリアーだけを塗る下塗りを行います。詳しくは控えますが、そのまま塗ると問題が起こる可能性があるからです(同様にスバルのエンブレムはその殆どで最初に表側にクリアーだけの下塗りを行っています)。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

インプレッサ内装オーディオパネル 本塗り

先日お預かりしておりましたスバルインプレッサの純正内装オーディオパネルです。

傷のあった箇所は削り落とし、全体に当たりの柔らかい#800相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン)を使って足付け処理を行っています。クリアーが塗っていないので軽く研いだだけでも下地が出てしまう塗装になります。

表側からだけ塗ろうとするとどうしても肌が悪くなったりする箇所があるので、裏側からもアクセス(スプレー)出来るよう、スペースを広めにとった固定方法としています。

よく脱脂清掃し、プラスチック素地が露出した箇所にプラスチックプライマーを塗布し、続けてベースコートを塗布します。

塗色はスタンドックス原色の黒=MIX571そのままとなります。

そして最後にトップコート=クリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

ちなみにソリッドカラーを塗る場合、今回のように「ベースコート+トップコート」の2コート塗装では無く、黒だけを塗って終わらせる「1コートソリッド」なる方法もあります。

作業的にはその方が断然早いのですが(本塗り開始から終了まで10分掛かりません)、被塗物にとってはメリットが余り無いので当店では殆ど行っていません。

尚、材料自体はそれ専用の物があって、ただ使わないのも勿体ないのでスニーカースプラッシュ塗装のようなワークショップで出来る事に活用するようにしています。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

RB26→RB27加工 エンジンパーツ塗装承ってます

先日到着しておりました日産BNR34純正のヘッドカバーと、プラグカバー2点、そして樹脂製のタイミングベルトカバーです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

ヘッドカバーは新品ですが、

少し前に施工したRB26改RB30タイミングベルトカバーと同様、元々塗ってある塗装はザラザラとしていて、その際は下地の状態(アルミの素地調整)が良くありませんでしたから、今回もこちらは一旦剥がしてプライマーの塗装からやり直そうと思います。

プラグカバーは一枚は新品ですが、

やはりアルミの素地調整が悪く、また腐食を止める為の防錆塗料(プライマー)も塗られていないと経年でこうなってしまう事が予想される為、一旦剥がしてから塗り直す事にします。既に腐食が出ているこちらのプラグカバーは、一旦こうなってしまうとサンディング(サンダーや手作業によるペーパー掛け)だけでは腐蝕は取り除けませんので、サンドブラストも行う予定です。

尚、ご希望の塗装は結晶塗装で、以前施工したNAロードスターヘッドカバーの色味がそれに近いとの事ですので、それを参考に色を作成するようにします。そちらの画像も紹介します。

この時はマツダ「ブルーブラック」(カラーコード:HQ)を参考にして、結晶塗装の黒に青を混ぜて色を作成しています。

タイミングベルトカバーは樹脂製(PP=ポリプロピレン)で、これに関しては変形の恐れがあるので硬化時に熱を掛ける結晶塗装は今までお受付をしておりませんでしたが、その後私物のバイク用パーツや、PMMA=アクリル樹脂で色々と試してみて大丈夫な方法を見つけましたので、今回初めてお受付する次第となりました。

また今回はこちらのRB26の「6」を「7」への変更で承っております。いつものアルミパーツで行っているような面研はせず、塗装したそのままとします(削ったところで黒い樹脂が出るだけですのでこの場合は塗ったそのままが間違い無いかと思います)。

ちなみに「8」に関しては何度か施工事例がありますのでそちらを紹介します。

BNR32 Timing Belt Cover RB26→RB28

こちらは「26」を「30」に変更しました。

NISSAN BNR32 RB26→RB30

今回の「7」は初めてとなりますので、まずはそれのデータ作成からとなります。

またいつものアルミ製のタイミングベルトカバーとはフォント自体も違うので、そこからの制作となります。

 

既存の凸文字にマスキングテープを貼り、それを石刷りの要領で輪郭を描き、スキャナーを使ってPCに読み込み、デザイン作成用のソフト(Illustrator)を使ってデータを作成します。まずは「RB26」に似たようなフォントを探す作業からとなります。

元々PCに入っていたフォントでは良さそうな物が無かったので、フォント集から一つ一つ選び、似たような物をインストールします。ポルシェのフォントなんてあったんですね!

色々と探し続けた結果、こちらの「Aggie」なるフォントが似て居そうなのが判りました。

それをインストールして既存のフォントと合わせ、

そこから「7」を導きだし、既存のフォントの太さ、サイズに合わせて各部を修正します。

その後は印刷→修正を繰り返し、

とりあえずはこちらのデータを基本として使う事にしました。

「2」に比べると少し大きいのは「テーパー状の底」の部分にサイズを合わせている事と、この後レーザーカットで原型の元となる物を作成する時にさらにサイズが小さくなる事を想定しています。

尚、今回はアルミでの制作では無いのでまずはPMMA=アクリル樹脂で原型を作成し、そこからシリコーン型を作ってエポキシ樹脂(レジン)で作成してそれを貼り付ける作戦としています。

参考までに以前施工した似たような案件を紹介しますね。

こちらは以前「RS」のサイズとデザインに似せて「CS」のエンブレムを作成し、艶消し黒の塗装を施した案件となります。

この時は成型した原型をそのまま塗装した内容ですが、今回はPMMAよりはエポキシ樹脂の方が耐熱性がある事、また今後同じような内容でのご依頼があるかも知れないのを想定し、複製を作って使う事を想定しています。

またこの時はMDF材を使って原型を作成し、それを基にシリコーン型を作成して複製した物に塗装を施しました。コスト的に許されるならちゃんと蒸着メッキを施して完成度を上げたかった案件ですね。

尚今回の樹脂製タイミングベルトカバーは、

凸文字の所が中空になっているので、それを削り落とすと穴が開いてしまいますから、裏側から補強として薄いアルミ板か何かを接着しておく予定です。以前施工したロータスの樹脂製エンジンカバーに、鋳造して作成した凸文字を取り付ける際に行った時と同じような方法ですね。

自動車車体の補修塗装を行っていた時にはどれもやった事の無い内容ですが、その後小物の塗装専門となり、さらに趣味で始めた様な事が仕事に繋がっているのが楽しいです。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

インプレッサステアリングスイッチカバー 調色

先日お預かりしておりましたスバルインプレッサ用ステアリングスイッチカバー(リモコンカバー)と、色の見本としてお預かりしたステアリングスポークカバーです。今回は画像手前にあるスポークカバーのグレーメタリックを参考にして色を調色し、奥にあるスイッチカバーに塗装を施すよう承っております。

通常の自動車車体色であれば予め配合データがありますが(市販の量産四輪自動車であればまず100%あります)、今回のような内装パーツの場合はそれが存在しない為、一から色を作成する必要があります。

実際に色を作ってみて判った事ですが、これまでは「グレーメタリック」と紹介していたところ、実際にはメタリックでは無く「パール」だという事が判りました。またホワイトパールの原色は4種類あり、実際に試してみた結果、一番粒子が小さいアーミンパール=MIX836を使う事にしました。

使用した原色は黒(MIX571)とアーミンパール(MIX836)、赤青味を出す為にブリリアントレッド(MIX576) 、赤茶色味を出す為にカッパートナー(MIX582)の4種類となります。

色の見本には艶が無いので、その状態で色味が合うようにしつつ、

ウェットに濡らして艶のある状態で色が近づくよう調整します。ちなみに色見本は恐らくクリアーが塗っていない(ベースコートのみ)の為に溶剤系は使えず(表面が溶けて色味が変わる恐れがあるので)石鹸水を使い、色板の方は水を着けると台紙に染み込んでしまうのでシリコンオフを使っています。

調色が終わったら、次はクリアーの作成となります。今回は色だけでは無く「艶具合」も合わさないといけない為、3種類の半艶クリアーを用意しました。

また平面だけだと艶の比較が難しい為、立体的な色見本も作成します。

尚、半艶クリアーは艶ありクリアーと同じく2液ウレタンなので、塗って直ぐに艶の比較は出来ず、なのでこの後本塗り時と同様に熱を入れて完全硬化させてからの確認となります。また塗って直ぐに熱を入れると艶の引け具合に影響が出てしまう為(メーカーのマニュアルにもこの記載があります)、こちらも本塗り時と同様、一日自然乾燥させてから熱を入れるようにします。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

いすゞ117クーペヘッドカバーオイルキャップ 下準備

先日旧塗膜を剥離しておいたいすゞ117クーペヘッドカバーの、

オイルキャップです。中央の丸い部分には同じように結晶塗装を行いますが、周りはアルミ地のままとなりますので、塗装の前にこちらを綺麗にしておきます。

そのまま磨いても見た目的には綺麗に出来るのですが、そうなると浸食されて凹んだ箇所から再び腐食が発生してこのような状態になってしまう恐れがあるので、

サンドブラストで表面の腐食を削り落とし、

さらにリン酸を使って目に見えない気孔部分にも化成処理を行っておきます。アルミは無垢のままでも表面に不働態被膜が形成される為、一般的に「錆びない金属」と思われがちですが、ショーケースの中で飾っておくのとは違って実用する上ではそのままの酸化被膜だけでは足りなく、どうしても腐食は発生してしまいます(特に温度が上がると進行が早まるので自動車に使う部品などは顕著に現れます)。

その後は、#120のシングルアクション→#120のダブルアクションサンダーで凸凹とした素地を均し、

番手を#180→#240→#320→#400→#500と上げていきます。

最終#1000でペーパー掛けを終わらせたら、

最後にコンパウンドを使って艶を出します。金属用という訳ではなく、通常の塗装用の物となります(金属用でワックスが入っていると、この後の塗装と、工場建物自体が汚染されてしまうのでNGとなります)。

これでオイルキャップの周りの部分が完了です。この後よく脱脂清掃し、ヘッドカバーと共に中央の丸い部分に結晶塗装を施します。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!