ブレンボキャリパー凹み文字部塗装承ってます

先日到着しておりましたバイク用ブレンボキャリパーです。こちらは硬質ブラックアルマイトが施された状態で、塗装をご希望されているのはキャリパー本体では無く、bremboの凹んだ文字部のみとなります。

これはどこかで見たような・・・と思う方はその通りでして、以前にも同じ施工を行った時のオーナー様から、今回はその時とは違うキャリパーで新たに御依頼をいただきました。まずはその時の画像を紹介しますね。

この時とはキャリパーが違いますからロゴのサイズも変わっていますので、今回もマスキング用のデータ作成からのスタートとなります。ロゴの色は前回と同様、VWのキャンディホワイト(LB9A)の艶あり仕上げとします。

施工方法も前回と同様、まずbremboの凹み文字部だけをサンドブラストで素地調整(足付け処理)し、プライマー塗装→ベースコート(白)→トップコート(クリアー)とします。塗装屋さんなら判ると思いますが、ワンミスで大変な事になりますので、出来れば避けて通りたい作業ではあるかと思います。

「だったら塗料を流し込めば良いんじゃ?」と思う方はいらっしゃるかも知れなく、実際私も近年よく見かける「ガンコート」や「セラコート」「パウダーコート」等の焼き付け型塗料であれば強い密着性を謳っているので、そちらを採用しているショップさんであれば対応してくれるのでは?と思いましたが(実際オーナー様に進言しました)、今回当店に再び御依頼頂けたので、他の方法は考えられなかったのかも知れませんね。ちなみに費用は塗料を流し込むような方法に比べると20倍くらいの金額になっていると思います。それでもこれをやろうと思う塗装屋さんは居ないのではと思いますが…。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

バイク用ブレンボキャリパー凹み文字部塗装 完成

 大変お待たせしました!先日本塗りを終えていたバイク用のブレンボレーシングキャリパー一式の凹み文字部の塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介します。

当店に届いた時はこのような状態で、

元々はこのような状態だった物から黒アルマイトに変更されたとの事でした。それだけで普通では無いですよね・・・。

ただしこの状態だとアルマイト処理された上に赤い塗料が乗せられているだけなので密着はしておらず、この時のように使っている内に経験で勝手に剥がれて来てしまうそうです。少し前にお問合せがあった方は新品から一年半で浮いてきたそうで・・・。

と言う訳で、今回は凹み文字部以外をマスキングし、「サンドブラスト→プライマー塗装→上塗り」といった工程で行っています。

普通の方なら簡単そうに思えますが、とてつもなく手間が掛かってリスクのある内容でした(私も軽く考えていました・・・)。

場所が平面では無いというのが難しい所でもあったと思います。

恐らくですが、オーナー様的には車体をモノトーンカラーに統一しようとされているのではと思い、わざわざ黒アルマイトにし直しているのだと思います。

塗装面積で考えると大分コストが高くなるのですが、こちらの前にご依頼を頂いたカーボンフォークの塗装で勢いに火が点いてしまったのでは(笑)と思う次第です。

 サンドブラスト中にマスキングが飛んで行かなくて本当に良かったです(勿論2重~3重に保険を掛けました)。

いつものように各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

バイク用ブレンボキャリパー 本塗り

 先日凹み文字部のサンドブラストまでを行っておいたバイク用のブレンボレーシングキャリパー一式です。

サンドブラスト用に作ったカットデータだと塗装には合わないので、改めてデータを修正し、さらに文字毎を分割してピッタリ合うようマスキングを行っています。またマスキング前にはシリコンオフでしっかり脱脂処理もしています。

 隙間は細く切ったマスキングテープで覆います。

 その後キャリパー全体をマスキングします。

場所を一階に移動し、台にセットして本塗り準備完了です。

よくエアーブローし、毛埃等を噛んでいないか確認しておきます。

サンドブラスト作業に比べれば塗装の方はプレッシャーは低く、塗料が食み出てもアルマイト処理された箇所に着いた塗装は簡単に落とせるからです(それ故に被塗面にはサンドブラストを行っている訳です)。

使うのは0.5mm口径のSATAエアーブラシです。

まずはプライマーを塗布します。

側面までしっかり届くよう、角度を付けて全方向から塗り込みます。

プライマーが乾いたら、

 ベースコートの白を塗ります。

色はVW社のキャンディーホワイト(LB9A)を採用しています。白々しくなく(青白く無く)、しっかりとした白といった感じです。

 ベースコートの白が乾燥したら、

クリアーを塗ります。

クリアーはいつも通り2コート塗っていて、ドライコートでは無くここもしっかりウェットで塗り込みます。イメージとしては純正同様濃いネタ(粘度の高い塗料)を流し込んだような仕上がりを意識しています。

 実際の塗装では二回目のクリアーを塗ったら直ぐマスキングを剥がしているので一個ずつ作業をしています。

凹んだ文字の側面までしっかり色(プライマーも)が入っているのが判ると思います。

 実際には色が食み出た部分もあって(食み出るのはOKと当初から考えていました)、そういった箇所は綿棒にシンナーを浸して拭き取っています。

まだ終わっていませんが、今回の塗装はいつものベタ塗りに比べると神経を遣って大変な作業でした(とにかくリスクが高かったです)。

純正の塗装は浮いて剥がれてしまいますが、今回の塗装はキャリパー全体を塗るのと同じようなやり方ですので、実用(レース場でのタイムアタックをするような走り方)をしても問題は起きないと思います。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

バイク用ブレンボキャリパー 素地調整

 先日マスキング作業を行っていたバイク用のブレンボレーシングキャリパー一式です。

現状は黒アルマイトが施されているのでこのまま塗っても上塗りもプライマーも密着しませんから、物理的な足付け処理としてサンドブラストを行います。

また今回はこれの為に新しいメディアを用意しました。

アルミナ#180で、いつも使っているガーネット(#50くらい)に比べて目が細かいのが特徴です。これを直圧用のタンクに入れて使います。

キャリパーをブラストボックスに入れ、

 サンドブラストを行います。

今回直圧を使ってみたのは、エアー厚を抑えてマスキングを飛ばさないようにしつつ、隅まで当てると言う事で試してみています。

とにかくマスキングが飛ぶと(剥がれると)その時点で全てが終了と言う恐ろしい事態になるので(想像すると胃に穴が開きます)、とにかく保険に保険を掛けて確実な道を歩めるよう努めました。

 と言う訳で無事ブラスト作業が完了です。

特段黒い部分を剥く必要は無く、サンドブラストが当たって被塗面が荒れていればOKです。

 マスキングシートが覆いかぶさった角の部分は黒い部分が残っていますが、ブラストはしっかり当たっているので問題ありません。

凹み文字部以外にはブラストが当たらず、無事難関を超えました。

 尚この状態だと少し粉っぽいので、

一旦全体を水洗いし、この後凹み部分を脱脂清掃しておきます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

バイク用ブレンボキャリパー マスク型作製

 先日お預かりしておりましたバイク用のブレンボレーシングキャリパー一式です。

現状フロントキャリパーの一個の凹み文字部に黒くマジックで塗られた跡があったのでまずはそちらを除去します。

シンナーを使って掃除しましたが、どうやらここだけ黒アルマイトの掛かり方が弱いと言うか、素地が荒れたような状態になっています。元の塗料成分が残ったまま素地調整が行われたのでしょうか。

リヤキャリパーは以前作製したデータがあったので、まずはそちらを使って合わせてみます。

ピッタリではありませんが、マスキング用として使うには十分な感じです。

 こちらは分割された反対側です。こちらも普通なら使えそうですが、今回はサンドブラストで使うと言う事でここからデータを修正していきます。

 そしてフロントキャリパーです。

こちらは一部で彫りが浅い箇所と、なんとプレスラインに差し掛かっている!と言う事で、普通にマスキングシートを貼ってもコシが強くて反発=剥がれてしまいますから、今回はいつもと違う方法で行います。

まずは基本となる輪郭のデータ化からです。ここはいつもの通り石刷りの方法でロゴの形を紙に写し、

それを剥がしてスキャナーでぱPCに読み込みます。

それを基にベクトルデータを作製します。以前使ったデータを応用出来るのではと思っていましたが、良くみると全然形が違うので一から作る事にしました。

何度かの修正を行い、大体良い感じになりました。

今回は色々考えたのですが、まず両面テープを貼り、その上にマスキングシート(PP製)を重ねるのが良いと判断しました。

基本的にはサンドブラストのマスキングにはこの緑色のマスキングシート一枚だけで大丈夫ですが、それだと粘着力が足りないので、それの補強&厚みを確保する為に間に両面テープを入れるという作戦です。ほぼ一か月間毎日考えてこれが良いと判断しました。

ただしその場合普通のカッティングプロッターでは切れないので、レーザー加工機を使ってカットします。カッターの刃で切るのと違ってレーザーが当たった箇所は消失してしまう為、その分を考えてデータを修正&テストカットを何度も繰り返しました。少しでも食み出たらアウト(アルマイト処理屋さんでのやり直し)な為、どんなトラブルが起きても100%上手くいくようシュミレーションを行いました(お陰で胃が・・・)。

カットデータが出来たら接着面をよく脱脂し、シールを石鹸水に濡らして位置を合わせます。

各パーツへのマスキングが終わったらそのまま自然乾燥させる為に一日置きます。

そして翌日、曲がって浮いている部分を指で押さえてピッタリ貼れた事を確認します。現時点では素晴らしく良い感触でした。

さらに一日寝かしてマスキングシートが浮いていない事を確認し、周りを養生していきます。まずはマスキングテープで糊が残らないようにします。

 その後補強の為にガムテープを貼ります。

これでサンドブラスト作業の準備が完了です。さらに一日寝かしてマスキングシートが浮いたりしないかを確認しておきます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!