SUBARU LEGACY Interior parts

legacy1 2年前にお納めしたレガシィの内装パーツ一式で、当時行った作業内容を一連の流れにしてまとめて紹介したいと思います。

legacy2実はこちらは既に加工が施されたパーツ達で、純正部品の上に本物のカーボン繊維が貼られた状態になっています。既にかなりの費用が費やされている訳ですが、どうにもその仕上がりが気に入らないとの事で、今回これらを「艶々の黒」にと御依頼頂く事になりました。

legacy5気に入らなかったのはこの「ヘビのウロコの様な模様」で、一般的なFRP製品の様に予め作製した型にカーボン繊維と樹脂を塗った作り方では無く、パーツの上に繊維を貼って樹脂で固めているので繊維の目がそのまま残ってしまっているのです。ちょっとペーパーを当ててみると上の画像のようにかなりの段差があるのが判ると思います。まあこう言うのが好きな方も居ると思うのでこの辺は好みの問題ですけどね。

legacy6カーボン繊維の段差は単にペーパーで削るだけでは平滑には成らないのでペーパーは当て板を使ってしっかり研ぎ落とします。艶有りの黒だとちょっとした段差も凄く目立ちますしね。

legacy1 エアコンパネルは付属品を剥がしておきます。「TEMP」のシールは(確か)イルミネーションランプが透過するタイプなので綺麗に剥がして再利用するようにします。

legacy8 エアコン噴出し口のパネルには開閉ダイヤルの上下に「○」と「●」のプリントが施されているのでそれも再現します。

legacy9 使うのはいつものドライプリンターですが、こちらはまだ旧型のタイプを自宅で使っていた頃ですね。この頃はこのプリンターについての情報が無かったので良く判らないまま購入しましたが、この後ステップアップして今のプリンターになりました。願わくば新型が出てくれたりして欲しいのですが・・・。

legacy180そしてこんな感じで白いマークのデカールが完成です。これを切り取って台紙から剝がし被塗物に貼ります。

legacy18位置はメーカーカタログを参考にしています。

legacy12なんとステアリングにもカーボンが貼ってありました。塗る範囲は少ないですが下地作業の研ぎも行っていますしマスキングがこんな感じですからこれならハンドル丸々塗った方が簡単なのが判りますよね。

legacy20デカールを貼った後にクリアーを塗って本塗り完了です。

legacy14 これを塗った時は二年前の3月頃で、この4ヶ月後に今の工場に引っ越したんですよね。

legacy22 ちなみにパーツの一部は「艶消し黒」で御依頼頂いたので、艶有り黒を塗った後に再度足付け処理をしてマスキングを行います。

legacy24 こんな感じで塗り分けをしています。

legacy29 そして完成です。ちょっとあり得無い数と言うか光景ですよね。最初のカーボン加工を含めると一体幾ら使ったのだか・・・と言う感じです。

legacy31エアコンの開閉マークも復元出来ました。

legacy33 外していた付属品を元に戻しておきます。

legacy34こちらは小物入れボックスだった所にオーナー様自らリモコン?を埋め込んでいて、接着されて外せないのでそのままマスキングで対応しました。かなり自然な感じで仕上げられたと思います。

legacy35これらは艶有りの黒を塗った後に艶消し黒を塗った2トーン仕上げのパーツですね。手を掛けただけあって良い感じに仕上がっています。

legacy36ハンドルスポークに装着される純正のスイッチパネルは幸いにして分解出来たのでこちらも綺麗に仕上げられました。

legacy38ハンドル部分はマスキングでの塗装となりましたが、幸い人工皮革にマスキングテープの付きが良かったので塗装屋さんが見てもマスキングで塗ったとは判らない仕上がりに出来たと思います。

車体の塗装に比べると小物の塗装は面積は小さくなりますが、その分余計に細かい部分にまで目が届くようになるので「楽になる」って訳では無いんですよね。まあかと言って私が嫌いと言う訳では全く無いのですが(笑)。

レガシィステアリング塗装 完成

legacy37こちらも元々はカーボン柄になっていたステアリングです。ちょっと(と言うかかなり)勿体無いですが、オーナー様的に「一旦気になりだしたら気になってしょうがありません。今では私も蛇の皮の模様に見えてきてしまっているのです。」との事でカーボン一掃運動が始まりました。

legacy39 legacy38当初は皮が巻き込んであるのかと思っていましたが、パネルを最後に貼り付けた造りになっているので想像していたよりはマスキングはし易かったです(と言うレベルでも無いかも知れませんが私的には楽な方でした)。少なくとも見た目だけではマスキングで塗ったとは判らない仕上がりに出来ていると思います。

legacy36ステアリング中央の左右に付くスポークカバーで、これも元はカーボンが貼られていました部品です。いつも目に付くところの部品なので効果は高そうですね。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げます。この度もご贔屓頂きありがとう御座いました!

レガシィ内装パネル一式塗装 完成

legacy29 圧巻の部品点数17点です。それでもステアリングは入らなかったので別項で紹介しますね。画像数多いですがご勘弁下さい(これ以上省けませんでした・・・)。

legacy30 エアコン噴出し口関係とドアトリムに嵌るパネル類ですかね。ちょっと統一性に欠けるのですが撮り易いように勝手に調整させて貰っていますのでご辛抱下さい。そう言えばここに写る部品は全てカーボンが貼られていたパーツですね。予想以上に表面のウネリが大きかったのでどれも表面はかなり研磨しています。

legacy31 エアコン噴出し口の開閉マークもデカールを作る事でオリジナルっぽく再現出来たと思います。業界は意外と閉鎖的と言うかこういった技術は余り公にされていなく、当初はこの方法を見つけるのに大変でした。むしろモデラーの方達の方が使っている機材など親切に紹介していますよね。

そう言えばちょっと前に知り合いの方から「タカハタくん、技術的な事も結構出しちゃっているみたいだけど大丈夫なの?」と言われましたが、むしろある程度オープンじゃ無いとユーザーからは信用されない気がしますし、そもそも何をやっているか判らない事にお金は払えないと思いますので(と言っても本当に肝心な事は私も出していませんよ。笑)。ご心配ありがとう御座います。

legacy32 legacy33 当初は「TEMP」の箇所もマスキングまたはデカールで再現するような話になっていたかと思いますが、そこは単にプレート状になった物が貼ってあっただけなので問題無く対応出来ました。費用に計上されていたら省いておきますね。

legacy34 こちらはナビリモコンが埋め込まれた小物入れのパネルですね。ご心配されていましたが恐らく違和感無く仕上がっているかと思います。ここを塗るのと塗らないのじゃ全然違いますよね。無事塗れてよかったです。

legacy35こちらは最後に部分的に「艶消し黒」を塗ったパーツです。色は同じ黒ですが艶が違うのでお洒落に仕上がっています。画像右側のパネルはドアのインナーハンドル部分に付く部品で、丸い穴にはツィータースピーカーが入る筈です。装着する時は楽しいでしょうね・・・。

続いてステアリング関係を紹介します。

レガシィ内装パーツ 組み付け

legacy25 塗装するにあたって分解していた箇所を組み付けます。上のエアコンパネルは「TEMP」のプラスチックプレートとディスプレイのアクリル板ですかね。塗った物を組み付けるのはプラモデル感覚で意外と楽しいです。

legacy26 ステアリングスポークに付くスイッチパネルですね。運転しながらオーディオのボリュームなどを変えられる画期的なシステムです。ただこういった物もラインレスで脱着可能になっても良い気がしますけどね・・・。車買うとそれ専用のタブレットが一台付いてきてもおかしくない時代だと思いますが・・・。

legacy27 こちらはフロントパネルのエアコン噴出し口です。ちゃんと元に戻せるのかと心配しそうですが一個一個にちゃんと記号が刻印されているんですよ。この辺がスバルらしいですかね。

legacy28そして諸々組み付け完了です。明日には完成画像も紹介出来るかと思います(出来なかったら来週でご勘弁下さい・・・)。

それではもう少々御待ち下さいませ!

レガシィ内装パネル 艶消し黒 部分塗装

legacy21 先日本塗りを終えていたレガシィの内装パーツの内の4点を部分的に艶消し黒で塗装します。

「折角綺麗に塗れているのにそのままで良いじゃん」と思えそうですが、単色ベタ塗りのままだとどうしてもクドく感じられる場合がある事と、今回はセンターパネルのエアコン吹き出し口のフィンは塗装していないので、その箇所と質感を合わせて統一させる為でもある訳ですね。言葉で説明するのは難しいので詳しくは完成した時の画像を良く見て頂ければ判ると思います。

legacy22 当初はこれらの部分は「塗装せずにマスキングで残す」と言うご要望でもあったのですが、サイドのエアコン噴出し口は元々艶消し黒に塗られていたので今回はそちらに合わせて塗装し直す事で対応しています。

塗装屋さんなら判ると思いますがこの逆アールでのマスキングはちょっと面倒ですよね。フチは2mmのラインテープを使っています。

legacy23 そして艶消し黒も本塗り完了です。ブツ切りマスキングなので塗装直後すぐにマスキングは剥がしています。塗料が乾いてから剥がそうとすると見切りラインがガタガタになってしまうんですよね。塗料がまだウェットな状態でマスキングを剥がしてシャープなラインになるようにします。

legacy24こちらも無事完了です。

ちなみにこういった細かく複雑な形をしている場合は、通常のスプレーガンでは奥に入る前に手前側が塗り過ぎになってしまうので、その場合は口径の小さなガンを使ったりします。

今回の艶消し黒ではこれらの部品だけなので最初から口径の小さなガンで問題ありませんが、これの前の段階で行っている「艶有り黒」の本塗り時には小さなガンだけではどうしても事足りないので、その場合は予め二種類のガンを用意しておいたりします。

iwata左のガンがいつも使っているIWATAの低圧ガンで口径は1.3ミリです。これが出た当初業界では「使えないガン」として有名でしたが(私的見解です)、ただ小物塗装になってからはこれが結構重宝しています。新車肌の再現性をするにはちょっとコントロール性が良く無いのですが(これも私的見解です)、小物塗装で、特にテールランプのような「肌が無い程の塗り肌」にするには低圧ガン特有の「被塗面に到達するまでの溶剤揮発率が非常に少ない」と言う事による比較的長いレべリング性が丁度良いのです。反面、タレ易いと言うデメリットも当然ありますけどね。

右のガンはやはりIWATAの低圧ガンで、これの口径は1.0になります。確かボディは一緒でも口径は0.8など違うサイズに変えられますよね。このガンは低圧ガン特有の変な癖がないので意識しなくても普通に使い易く、上で紹介したような細かい部分の塗装に向いています。ただしこれも当然ですが「肌が荒れやすい」と言うデメリットもあるので、これでテールランプを塗ろうとしてもツルンとした肌には仕上げ難いです。パサついてしまうんですよね。まあそれぞれの場面によって使い分けが必要という事です。

ちなみに塗りっぱなしで「鏡面仕上げ」と言う表現は塗装屋的に余り使いません。「鏡」と言うと完全に歪みの無いフラットな面ですから、塗装だけであの仕上がりは出来ないのは塗装屋ならば判っている筈ですので。
塗装をしない人間がそう表現するのは勿論構わないのですが、塗装を知っている側がそういった表現をするのはちょっと・・・ですかね。

いよいよ完成間近です。早ければ今週中には出来上がりそうですが組み付けもありますからもしかしたら来週になりますかね。もう少々御待ち下さいませ!