BMW K1200GT カウルパネル 下準備

 先日サフェーサーを塗布しておいたBMW K1200GTのカウルパネル一式です。

サフェ研ぎ前のガイドコートとして、全体に黒のベースコートをパラパラと塗っておきます。

 平らな面はダブルアクションサンダー#400の空研ぎで、その後もう一度ガイドコートを行い、次は#600~#800を水研ぎで行います。

 最後にはペーパー(研磨粒子)の当たりが柔らかい布状の研磨副資材(アシレックスレモン)で目消しをし、良く水で洗い流しておきます。

 本塗りはまだ当分先になりそうなので、一旦屋根裏に保管しておきます(画像はエレベーターですが、行けるのは二階までです)。この時期の屋根裏は50℃を超えるので、丁度良い寝かし場所になります。

尚、こちらの日記では紹介していない案件も多数進行していまして、現在はかなり混みあった状況となっております。特に(何故か)ここのところ業者様からの御依頼が多く、折角お問い合わせを頂いても納期的にお受付が出来ないケースが非常に多くなっております。

自転車フレーム関係は相変わらず一年以上はお受付出来ない状況で、テールランプは3~4ヶ月待ち、大掛かりな下地処理を伴う作業や、ヘッドカバー等の結晶塗装も3~4ヶ月待ちといった状況です。ご不便おかけして誠に申し訳ございませんが、何卒ご理解の程宜しくお願い致します。申し訳御座いません・・・!

BMW K1200GT カウルパネル サフェ入れ

BMW K1200GTロア&サイドカウル サフェ研ぎ

割れていた右サイドカウルとロアカウルはサフェ研ぎまで終了しているので、残るカウルパネルの下地処理を行います。

 今回は着せ替え用として1台分のカウルを塗装するので、下地処理を行う作業はまだまだ沢山あります。

 アッパーカウルは全体的に擦り傷や飛び石傷がありますが、割れなどは無いのが幸いでした。

 こちらは左サイドカウルです。

 こちらも転倒時の傷をタッチアップで盛り盛りに補修してあったりしますが、割れ等は無く、また補修歴も無いのでむしろ作業はし易く助かりました。

知り合いの方がこの間車のオールペンをする際、マスキングテープを貼って剥がす度に元の塗装が剥がれ、下からは艶々の塗膜が出て来て大変な目に遭った!と嘆いていました。密着剤は最初は良いのですが、経年でその効果が落ちると塗装はペリペリと剥がれて来るので、そうなると全て剥がしてからのやり直しとなり、大変な苦労を背負う事となります。

 深い傷はダブルアクションサンダー#120~#180で削り落とし、その周りを#240~#320で均します。

 今回はサフェーサーを塗る前に被塗面全体の足付け処理を先に行っておく事にしました。後々重複して無駄な作業分も出て来ますが、その代わりサフェーサーがどこに飛んでも大丈夫と言う安心感があります。

耐水ペーパー#800で全体の肌を落としておきます。

スコッチと ウォッシュコンパウンドで足付け処理を行います。

 清掃も含めてフチから裏側も同じ様にスコッチを掛けて泥や油汚れなども取っておきます。

 アッパーカウルも同じように、

 シートカウルも綺麗に見えましたが、荷物を固定する際のフックが当たる部分に押し当てられたような跡があったので、傷はついていませんでしたがそのその辺りも削り落としておきます。

手が入らないような溝はヘラを使い、奥の谷ラインの角までしっかりと足をつけておきます。

 水で綺麗に洗い流し、脱脂清掃を行います。

 フチまでサフェを入れたい物に関しては、本塗りと同様に台にセットして浮かせた状態で塗れるようにしておきます。

研ぎ難い左右の溝部分はマスキングをしてサフェーサーが入らないようにしておきます。足付け処理自体はしてあるので溝にサフェが入っても問題はありませんが、後の研ぎでの無用な作業時間は省きたく、その分他の手を掛けたいところに時間を割きたいと思います。

マスキング際はブツ切りにならないよう、フチを折ってヒラヒラさせておきます。以前施工したBABOLATのテニスラケットにサフェを入れた時の記事が判り易いかも知れません。車の塗装では毎日する普通の方法です。

 綺麗に洗い流し、よく乾燥させて脱脂清掃を行っておきます。

 パッと見は綺麗に見えてもフロント周りはどうしても飛び石傷等が多いので修理範囲も大きくなります。車のボンネット一個の傷の為に全面ペーパーを掛けてサフェ―サーを塗るなんて事も良くある事で、飛び石傷は目立たないだけで実は結構沢山あるのです。

 と言う訳で、サイドカウルも結局全面サフェーサーを塗る事になりました。

 同じくフロントフェンダーも。

 今回揃えられた部品は全て海外から購入した物のようで、アウトバーンとか日本の道路事情とはちょっと違うのかも知れ無く、意外と小傷が多かったです。

 トップカウルはベルトのバックルかキーホルダーが当たる個所に傷が多く見られ、やはりこちらも全面サフェを塗る事にしました。

 こちらは元々シルバーに塗られていた小物部品ですが、やはり小傷があったので足付け処理をして一緒にサフェーサーを塗っておきました。その他新品の小物部品は元々プライマーが塗ってあって綺麗な状態なのでそのまま本塗りを行う予定です。

シートカウルは積載ベルト固定個所以外は綺麗だったので全面にサフェは塗らずに済みました。

この後60℃40分程の熱を掛けてサフェーサーを完全硬化させ、サフェーサーを研いだら次はいよいよ本塗り工程です。今回は2色でご依頼頂いておりますので、まずは一つだけ色の違うロアカウルから塗ろうかと思っています。

どうぞもう少々お待ちくださいませ!

BMW K1200GTロア&サイドカウル サフェ研ぎ

 先日ラバーコートを剥がしてサフェーサーを塗っておいたBMW K1200GTのロアカウル(アンダーカウル)です。ガイドコートとして全体に黒をパラパラと塗ってあります。

 このくらいの範囲となると全てを手研ぎでは大変過ぎるので(昔は全て手研ぎでした・・・)、最初はダブルアクションサンダーを使って粗研ぎ(機械研ぎ)を行います。番手は#320です。

昔のペーパーは今ほど研磨粒子が良くなく、#320の空研ぎでは目詰まりが激しかったので最初から水研ぎで行っていたりしましたが(または防水ダブルアクションサンダーに水研ぎペーパーを使うという方法もありました)、近年は#3000でも空研ぎが出来る物も開発され(スーパーバフレックスブラック)、この辺の作業は非常に楽になりました。

曲面はラインを崩したり削り過ぎたりしてしまうので、後で手研ぎでおこないます。

溶着をしてパテを着けた個所は、#240→#320の空研ぎペーパーと当て板を使ってラインを出しておきます。

 こちらも全体を#320のダブルアクションサンダーで粗研ぎします。

 続いて水研ぎです。

ダブルアクションサンダーでの空研ぎはその時の状況によって最終仕上げ(番手)を変えていて、今回はガッツリ水研ぎを行うつもりだったので#320のまま終了しています。水研ぎの作業を楽にしたい場合にはダブルアクションサンダー空研ぎで#400まで行い、さらにクッションパッドなどを併用してペーパー目をソフトに均しておきます。

裏側に飛んだミストは一粒一粒が突起状のザラザラになっているのでこちらもある程度均しておきます。

全面を#600で水研ぎし、その後#800で目消し、最後に当たりの柔らかい布状の足付け副資材(アシレックスレモン)を使って均します。昔は#1000~#1200の耐水ペーパーを多用していましたが、今はアシレックスなどのコシが柔らかく研磨粒子が均一になったタイプの副資材が登場した事で殆ど使わなくなりました。

多少裏まで回り込んで塗るようにするので、フチから裏側も足付けを行っておきます。最後に水で洗い流して洗浄し、本塗りの日までは安全な場所(工場二階もしくは屋根裏)に保管しておきます。

次はその他の傷物部品の下地処理となります。まだまだ先は長いですが、大分前から受付制限をさせて頂いたお陰で予想以上にスムースに作業が進行しております。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

BMW K1200GTロア&サイドカウル サフェ入れ

 先日欠損部分の修理を終えていたBMW K1200GTの右サイドカウルとロアカウルです。

 傷があった部分は削り落とし、全体を#240で足付け処理してあります。

 ロアカウルは元々塗ったあったラバーコートを剥がし、裏表共赤スコッチ(#320相当)とウォッシュコンパウンドを使って足付け処理してあります。

 またこちらの素材は塗料の密着性が悪いPA(ポリアミド)なので、ペーパーの当たり難いフチやネジ穴の断面などにガスプライマーを使って火炎処理も行っておきます。

 プラスチックプライマー塗装後、まずはひっくり返した状態で裏側からサフェーサーを塗布します。

 その後は立てた状態で、5コートくらいをウェットで塗り込みます。サフェーサーには軟化剤を入れてフレキシブルな仕様にしています。

サイドカウルは樹脂素地が露出した個所にプラスチックプライマーを塗り、パテを塗っている個所には6~7コート、全体に3コート程サフェーサーを塗り込みます。

取り敢えず今回一番大物だった割れた右サイドカウルと、ラバーコートが塗られたロアカウルの目処がついたので先が見えてきました。

サフェーサーを硬化させている間に他のカウルの下地処理も進めていこうと思います。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

BMW K1200GT ロアカウル ラバーコート剥離

現在色替え全塗装でご依頼作業中のBMW K1200GTのロアカウルです。

表面には飛び石傷防止の為にゴム状の被膜が塗られています。

 一度は専門の業者さん(プラスチックパーツでも対応可能なサンドブラスト屋さん)にお願いしようかとも思ったのですが、素材がPA(ポリアミド)と言う事で、まずは自分で試してみる事にしました。

PA(ポリアミド=ナイロン)は耐溶剤の高い樹脂なのでシンナーなどが着いても大丈夫ですが、さすがに溶剤槽に浸けるのは危ないかも知れない(変形するかも知れない)と言う事で、全体にウェスを被せてシンナーを染み込ませ、画像のようにポリエチレン製のビニールで包んで一日放置する事にしました。

尚、PA樹脂を使った物で当店で施工した事のある製品としては、先日完成したランエボ10のヘッドカバーや、以下のようなBMW GSパリダカ仕様のビックフューエルタンクなどがあります。こういった事から、PAはかなり丈夫な樹脂だと言う事が判るかと思います。

BMW R80GS Gas Tank Paris Dakar

塗膜が柔らかくなったところでスクレーパーやワイヤーブラシを使い、ゴムのような被膜を削り落とします。どの道サフェーサーの塗装は覚悟しているので、ある程度傷が付くのは問題無いとしています。

 実際に作業してみて判りましたが、どうやら樹脂素地にそのままラバーコートが施されている訳では無く、その下には溶剤にも強い「艶消し黒」の塗装がされているようです(もしくは黒いプライマーサフェーサー)。

厚みのあったラバーコートは殆ど取れてくれたので、後はサンディングで行います。

 全体を#120→#180のダブルアクションサンダーで残った塗膜を削り落とし、細部は#240の手掛け、最後はスポンジパッドと#240ダブルアクションサンダーでペーパー目を均します。

 さらに最後の仕上げにウォッシュコンパウンドとスコッチを使って清掃&足付け処理を行います。

ラバーコートの取りこぼしが無いようチェックしつつ、フチまでしっかり足付け処理を行います。

この後よく乾燥させ、先日切り継ぎが終わっている右サイドカウルと一緒にサフェーサーを塗ります。

当初はどうなる事かと思いましたが、先日行ったBRZのインパネのカーボンフィルムを剥がす作業が良い経験となり、今回自分でやってみようと思った次第です(お陰様でBRZの内装部品の仕上りも喜んで頂けました)。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!