DUCATI Carbon Fiber Upper Fairing

ducati19 DUCATIの社外品アッパーカウルとリヤリップスポイラーです。ドライカーボンでは無くウェットカーボンで、現状の「つや消し」を「艶あり」へと、一見簡単そうな案件に思えますが、実際はそんなに簡単な事ではありません(でした)。

ducati20「艶消し」といってもつや消しクリアーを塗られたような物では無い模様で、成型時に出来た巣穴はそのままです。

ducati21 これくらいなら塗装で埋まるのでは?と思いがちですが、自動車やバイクの外装を飾る塗装は刷毛で塗るような塗装とは違いますので、クリアーだけでこれを埋めるのはかなり大変です。

ducati 全体に足付け処理を行い、よく脱脂処理をしたらまず一回目の下塗りとなります。

ducati2 小さく見える巣穴も塗装においては中々厄介な物で、穴の周りは表面張力でクリアーが盛り上がってしまいますから、このような感じで凸凹になってしまいます。

この後巣穴一つ一つにクリアーを筆指しして埋めていきます。

ducati23 その後熱を掛けてクリアーを完全硬化させ、凸凹になった肌をペーパーで削って均します。

ducati24最終的に#800のペーパー目まで均し、二回目の下塗りを行います。

ducati25 二回目の下塗りクリアー塗装完了です。

ducati26 下塗りといっても使っている材料や作業内容は本塗りと同様で、それ故に費用も嵩んでいきます。

ducati_2二回の下塗りで大分巣穴も埋まっていきました。

ducati_1  再び全体を研磨して肌を均します。

ducati27 「研ぎ→クリアー塗装→研ぎクリアー塗装→研ぎ」の工程を経て、これでようやく本塗りとなります。

ducati29尚、最後の本塗りは少々気合を入れ過ぎたようで、そのままの状態だとクリアーが垂れてしまいますから90度カウルの角度を変えてクリアーのレベリングが落ち着くまで待ちます。

ducati28 これにより今度は違う方向にクリアーが垂れたりもしますので、この間ずっとクリアーの動きを見守りながら経過に対応していきます(必要であれば逆さまにもします)。

ducati30 結局この状態で大丈夫だったようで、無事(!)本塗り完了です。

ducati31 アッパーカウルの裏側とこちらのリヤスポイラーの裏側にある突起はメーカーのロゴマークで、一応削り落とさずに残すようにしました。たださすがに3回のクリアー塗装で大分埋まってしまってはいますが…。

ducati33 その後熱を掛けて塗膜を完全硬化させ、しばらく寝かしたら完成となります。

ducati34 クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーで、通常のクリアーに比べて耐候性も良いのでカーボン(実際はポリエステル樹脂)の劣化も抑えられると思います。

ducati35ドライカーボンの塗装も大変ですが、ウェットカーボンも製品の出来具合によって同じくらい大変な作業となります。お問合せをされて想像していた以上に金額が高かった!と言うのはこういう事でして、部品を送って頂いてから値段を上げるは避けたいですし、穴だらけのまま完成です!とも言えませんからね。どうかご理解頂ければ幸いです。

DUCATIカーボンカウルクリアー塗装 完成

ducati33 大変お待たせしました!ドゥカッティの社外品カーボンパネル&リヤスポイラーも本日完成となります。計3回分塗ってあるので少し長めに寝かして様子を見させて頂きました。

ducati19元の状態がこちらで、艶消し仕様だった物にクリアーを塗って艶有りにしました。

ducati34 ただあの状態から一度の塗装でこうなった訳では無く、表面にあった無数の巣穴を埋める為にクリアーは下塗りを含め3回行っています(3コートではなく三回分=3個分の塗装です)。

ducati35それなりにクリアーの膜厚も付いたので深みを通り越して立体感を感じられると思います。

ちなみに塗膜の厚みには「塗膜限界」と言うものがありますが、近年の塗料はよく出来ていますので一度にタップリ塗るような事をしなければ特に問題はありません。マズイのはベースコートの厚塗りであって(DUPONTのセンタリ6000ユーザーならよく御存知かと・・・)、1ステージ(一工程分)の塗装を何度も塗り重ねる事自体は問題ではありません。10回塗り重ねても下地さえちゃんとしていれば問題は無く(重量や気分的な問題は別としてですが・・・)、むしろ塗膜が厚いと防錆効果が高いとさえ言われていたりします。

ただ勿論1ステージ毎の塗膜がしっかりした物という事が前提で、それが保証出来ない場合はやはり削り落とした方が無難でして(普通そこまで厚い塗膜は信用出来ませんよね)、何かしらの理由で自分で10回塗り重ねる必用があったとした場合はそれは特に問題では無いという事です(ただし時間も費用も相当掛かりますが・・・)。

尚、これとは別に追加で御依頼頂いておりますフロントウィンカーのスモーク塗装はまだ先になりますので、まずはこちらの完成のご案内をさせて頂きますね。後ほどメール差し上げます。

この度も御贔屓いただき有り難う御座いました!

DUCATIカーボンカウル 本塗り

ducati_1 ドゥカティのカーボン製アッパーカウルとリヤスポイラーは二度のクリアー下塗りを経て、3度目のクリアーで無事本塗り完了していますので御安心下さい。お待たせしました!

画像は二度目に塗った下塗りクリアーを研いでいるところです。今回は最初に#400で空研ぎした後、#600→#800→#1200で水研ぎをしています。

ducati27 この時点で既に二回クリアー塗装が行われた状態で、今回が3回目のクリアー塗装となります。最初の二回は通常のクリアーとしてSTANDOXイージークリアーを使っていて、これは既に廃盤でもう手に入らない物なのですが私的に気に入っていたので無くなる前に12缶(60リッター)を買い占めていたのです。新製品とは聞こえは良いのですが怪しい面が沢山あるので直ぐに使いたく無いのでして・・・。多分その辺のOSと一緒かと(笑)。

そして今回は最後のクリアーなのでクリスタルクリアーを塗布します。

ducati28 そして本塗り完了です。塗る前と向きがちょっと変わっていますがこれはタレそうになった時の常套手段で、塗装屋さんならよく判ると思いますが危ないと思った時でもこんな感じで角度を変えればタレを軽減出来たりします。ちょっと衝撃的な感じがしますが(笑)、元々こう出来るようにセッティングしていますので結構普通の光景ですので御安心下さい。

そう言えば昔アルバイトに行っていた町工場で、そこに居た塗装屋さんが何か叫んでいると思ったら自動車のバンパーでこれと同じ様な事をしようとしていて、「丁度良かったタカハタ君!そっち持って!!」みたいな感じで手伝った記憶があります。流石にバンパーは・・・って思いましたがまあ気持ちは判らなくも無い訳でして(笑)。

ducati29 日本の塗料と海外の塗料での大きな違いは塗装ブースで塗る事が前提だったかどうかです(と以前読んだ文献に書いてありまして私的にも多分そうだと思います)。近年では日本でも塗装ブースで塗るのが当然ですが昔の日本ではその辺で露天吹きが基本だったそうでして、となるといつまでもベタベタしていたらゴミだらけになりますし、その辺に飛んだ塗料ミストで周りが大変な事になってします。

対して海外の塗装では塗装ブースの中で塗る事が基本だった為、乾燥は遅くても塗り易い塗料にし、極力ゴミを付けず「塗ったそのまま」で仕上げられるようレベリング性能を上げ(=いつまでもベタベタです)、磨き無しでも高美観に仕上がるよう開発されていった、との事です。

ちなみに乾燥(硬化)が早ければ確かに仕事は速く出来ますがその分肌は荒れますし、そもそも磨く事が前提なのでクリアーの堅さ(というか分子結合の強さによる粘り、ですかね)も随分と柔らか目に出来ていたりします。私の場合元々外資系の塗料しか使った事が無かったのですが(PPG→DUPONT→STANDOXです)、アルバイト先で使ったパナロックには衝撃を受けましたので・・・(磨くと直ぐに下地が出てしまいます・・・)。

ただ最近は塗装ブース(塗装専用のスペース)で塗るのが当たり前ですから多分そんなに大差は無いと思います。そもそも同じ塗料メーカーでもピンからキリまでありますし、スタンドックスでも「ユニバーサル」なる廉価版?のクリアーがあるみたいですから何とも言えませんけどね。

ducati30 元々あった巣穴は完全に取りきれたという訳では無いのですが、細かいところを見るとキリがありませんので(最高7回塗った事がありますがそれでも完璧とは到底言えませんでしたので)、バランスを考えればこれで十分だと思います。

ducati31こちらはリップスポイラーで、センターにあった凸状のブランドロゴは何とか残そうと尽力しましたがやはりと言うか埋まり気味となってしまいまして・・・(謝)。どうか御容赦下さいませ。

ちなみにオーナー様からは新たなお問い合わせも頂いておりまして、「完全に塗装の魅力に嵌ってしまいました(笑)」。との事です(笑)。

それでは完成次第改めて紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!

DUCATIカーボンカウル 下塗り(2回目)

ducati23 先日一回目の下塗りクリアーを終えていたドゥカティのカーボンカウルで、クリアーが完全硬化したので再度表面を研磨して二度目の下塗りを行います。

下地処理としては筆刺した出っ張りを削り落とす必用があるので全体を空研ぎペーパー#320→#400で平滑にし、その後足付け用の副資材(アシレックス)の#320→#800でペーパー目を均します。

ducati24 こんな感じでセット完了です。カーボン目を活かす仕上がりなのでサフェーサーの代わりにクリアーを使っていますが、これだと充填性が足りないので下塗りを二度行う事で対応しています。「だったら一度にタップリ塗れば少ない回数で済むんじゃ」と思いそうですが、その塗り方だとエッジには塗料が残りませんし表面張力が働いていつまでたっても巣穴が埋まってくれないのです。逆に一旦硬化した塗膜であれば埋まりきっていない巣穴でもクリアーが馴染み易い(埋まり易い)のです。

ducati25 そして下塗り完了です。かなり良い感じにみえますがまだ埋まり足りない巣穴もあるのでこの後100個程度筆刺ししています。ただこれなら次が本塗りで大丈夫そうです。

ducati26リップスポイラーは面積の割に巣穴の数がかなりありましたが、こちらも大分埋まってくれたので次が本塗りで大丈夫そうです。

下塗りに使っているクリアーはイージークリアー×2で、次は本塗りですからクリスタルクリアーでの塗装となります。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

DUCATIカーボンカウル 下塗り後

ducati22先日下塗りとしてのクリアーを塗っておいたドゥカティのカーボンカウルです。巣穴がある所には塗装後にクリアーを筆刺して埋めておきましたが、比較的まともに見えた場所も上の画像のように新たに穴が出現して来たりします。全体的にこんな感じですのでこのまま本塗りは流石に難しく、もう一度下塗りとしてのクリアーを行う予定です。ただこの辺は想定の範囲内で、現状を見る限りではあと一回で大丈夫だと思いますので特に心配は不要です。

もう少し寝かしたら表面を削ってまた次回に備えたいと思います。引き続きごゆっくりお待ち頂ければと思います。