S-WORKS VENGE VIAS③

前回の続きで、いよいよ本塗り工程となります。上の画像はキャンディーグリーンの下塗りまでが完了したフレームです。クリアーも塗ってあって、ロゴが要らなければこれで完成と言う事でも大丈夫な状態です。

艶のあるまま塗装をしても密着しませんので、少し勿体ないですが再び全体にペーパー&スコッチを当てて足付け処理を行います。

全体が足付け処理されて塗装がよく密着する状態です。その反面汚れも付き易く落ち難い為、扱いは十分に気を付けます。

 元々あった位置にロゴを塗装で入れ直す為、最初に撮影した画像や数値をデータ化した物を準備します。

 予め作製しておいたマスキングシートも準備します。

 そしてフレームとフォークに、まずはベースクリアーを塗布します。

 ベースクリアはその名の通りベースコートのクリアーで、要は色の付いていないベースコートです。

先にベースクリアーを塗っておくとこれから塗るベースコートの馴染みが良い為、ロゴの輪郭が綺麗に仕上がります。

 ベースクリアーを十分に乾燥させテープフリーな状態になったら所定の位置に合わせてマスキングシートを貼っていきます。

 ロゴの白を塗り、マスキングを剥がしました。

 画像の一部に黒い点がありますが、これは被塗物では無くカメラのレンズ無いにゴミが混入した為です。

クリアーを塗って本塗り完了です。

追加でご依頼頂いたPioneerのペダリングモニターセンサーカバーも同じようにロゴを塗装で入れ直しています。時々「ロゴは残して」といったお問合せを頂きますが、ロゴを通常ロゴを残すことは出来ません。元のロゴを新たに作成し、塗装で入れ直さなければなりません。

一日自然乾燥させた後、60℃40分程の熱を掛けて塗膜を完全硬化させます。

 その後必要に応じて磨き処理を行い、完成となります。

S-WORKSカーボンフレーム&フォーク塗装 完成

 

完成画像については上記ページで紹介しておりますので宜しければどうぞご参照下さいませ。

http://pro-fit.ne.jp/wordpress2013/wordpress/2017/01/24/s-works%E3%81%AEraw%E7%94%BB%E5%83%8F%E5%8A%A0%E5%B7%A5/#comments

 

また今回のキャンディーグリーンは実際に見た色味と撮影した色味では大分変ってしまって見えた為、その後色の見え方などを検証しています。

その後フレームが組み上がったとの事で、オーナー様から画像とコメントを頂きました。

「先ほど宅配便でフレームが無事に届きました。早速開けてみました。感動しました。メール等で何度もおっしゃっていたとおり実物の方が断然綺麗でした。
塗装を依頼した時にお送りした2016ツール最終日にサガン選手が乗ったVENGE VIASの画像に限りなく近いグリーンだと思います。ここまで色合わせ頂きとても感謝しております。大事に乗ります。ありがとうございました。」

との事です。

また後日こちらの画像もいただきました。お手数を頂き誠に有難う御座います。

この度のご依頼、誠に有難うございました!

S-WORKS VENGE VIAS②

前回に引き続き、キャンディーグリーンに塗装したS-WORKS VENGE VIASのカーボンフレームとフォークの作業内容の紹介となります。

今回のフレーム塗装でご指定頂いている塗色はキャンディーカラーのグリーンで、オーナー様からは以下ページの色を参考にとご指示を頂いております。

https://matome.naver.jp/odai/2146741650393168701/2146938553598436603

http://www.cyclowired.jp/image/node/20676

キャンディーカラーとは透明な塗料を用いて、光が塗膜を通る事によって生じる色変化を表現する塗装です。

例えば上記の画像ではシルバーメタリックの上に透明なイエローを重ねてゴールド色に表現しています。メタリック自体に色は混ぜている訳ではありません。

 キャンディーカラーは通常の補修用塗料とは違い、それ専用の物を使います。今回はカスタムカラーではメジャーなハウスオブカラーを使いました。

 色は「黄味寄り青」と「青味寄りの緑」を混ぜて作ります。

それぞれ配合率を変えた塗料で色見本を作成します。

キャンディーカラーは塗料中の含有量やコート数(膜厚)で色が変わる為、同じ配合でも違う塗り方をした色見本も作成します。

平面だけでは判り難いので、立体的に見える色見本も作成しました。

  最後にはクリアーも塗り、色を比較していきます。

と言う訳で最終的にこちらの色に決定となりました。配合はキャンディーグリーンが2に対してキャンディーブルーを1の割合となります。

 そしてサフェーサーを研ぎ終わったフレームです。

 サフェ研ぎの際に露出したアルミ部分にはプライマーを塗っておきます。

 まずは下色のシルバーを塗ります。STANDOXで最も粒子の大きい(粗い)原色MIX598です。

 メタリックはフレーク顔料が大きいとその分肌が荒れやすい為、塗装の際は極力ウェットコートで行います。画像では艶がありますがクリアーでは無くベースコートです。

 そしてシルバーの上にキャンディーカラーのグリーンを塗り重ねていきます。

 規定の色味になるまでベースコートを行い、

 最後にクリアーを塗って下塗り完了です。

 今回はロゴ入れの塗装も承っていますが、一度に行うと仕上りが悪くなる為、二回に分けて行います。

また今回は追加でペダリングモニターセンサーのカバーも同色で承りました。こちらのpioneerロゴも改めて塗装し直します。

その後60℃40分程熱を掛けて塗膜を強制乾燥硬化させ、さらに数日寝かします。

下準備をする前に4回目の計量を行ってみました。

剥離作業前の重さが1138.3gで、旧塗膜を剥離後は1057.2gで81.1g減、サフェーサーを塗って研いだ後は1112.9gとなり、その後キャンディーグリーンの下塗りを行ってこちらの数値となります。

ただしこの状態だとイモネジが3個入ったままで、こちらが4g×3=12g、実際は1148.1gになります。今回塗ったキャンディーグリーン(ベースコート+クリアー)の塗装分が35.2gといった感じです。

ちなみにオーナー様からは重量増については全くの不問で、単に私が興味がある事と、参考の為に計量を行っています。

本塗りに続きます。

S-WORKS VENGE VIAS③

S-WORKS VENGE VIAS①

キャンディーグリーンに塗装を施したS-WORKS VENGE VIASのカーボンフレームとカーボンフォークです。一連の作業を纏めて紹介致します。

 こちらが元の状態です。

ロゴは同じように復元しますが、再塗装の際にロゴを残す事は出来ませんので、これらを一旦データ化して改めて塗装で入れ直します。

尚、この型のフレームは今回が二度目の施工で、ある程度のデータは一回目に作ってあるのでそれらのデータ作成費は掛かっていません。新たにデータを作製する場合は塗装費とは別に「データ作成費」が必要となりますのでご注意下さいませ。

尚、以下が最初に施工した時の案件で、宜しければご参照下さいませ。

SPECIALIZED S-WORKS ①

こちらのロゴは以前作製(復元)していなかった為、今回改めて一から作製します。

撮影したロゴの画像をPCに読み込み、ソフトを使って輪郭をトレースしてべクトルデータを作製します。

さらにそれらのデータを使い、フレームに配置する位置やサイズなどもデータ化しておきます。

さらに色付けをして完成時のイメージを判り易くしてみました。

当然ですが一度塗装を剥がしてしまうと元の姿は判らなくなってしまう為、とにかくデータとして集め、残しておきます。

 フロントディレイラーのステーはリベット止めで、外す事は問題無いのですが取り付け時にカーボンを割ってしまう恐れがある為、ここは前回同様にマスキングで行う事にしました。

またボトムブラケットの部分はベアリングを外す事は出来ますが。枠となる部分はフレームに接着されている為、塗装する上ではベアリングを外しても余り意味が無いのでここもマスキングで対応します。

作業前には重量も量っておきました。

素材が金属であれば溶剤やサンドブラストによる剥離作業が出来ますが、カーボン素材ではそのどちらの方法も出来ない為、手作業で研磨・剥離していきます。

旧塗膜を剥離した後にも重量を量っています。今回フレームから剥がした塗膜の重さは81.1gとなります。

 良く脱脂清掃し、各部をマスキングします。

 まずは金属部品が使われている箇所にプライマーを塗ります。

  続けてサフェーサーを塗ります。

サフェーサーはSTANDOXのシステムフィラー、2液硬化型のウレタン樹脂です。

 60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、ガイドコートとして全体に黒をドライコートで塗布しておきます。

 サフェーサーを研磨します。

 サフェーサーを研ぐ際には硬い当て板をペーパーに当て、凸凹した素地を平滑に研ぎ出します。

 曲面も最初は平らに砥ぎ付け、最後に角を取るようにしてシャープで美しい曲線を表現させます。

最初は空研ぎの#320→#400でラインの粗研ぎをし、さらにその後は#600で細かいラインを、最後に#800でペーパー目を均します。

サフェーサーを研ぎ終えた時の重量は1112.9gとなりました。

本体は塗れる状態になりましたが、まずはキャンディーグリーンで下塗りを、ロゴの塗装はその後となります。

また今回は単なるキャンディーグリーンでは無く、ペーター・サガン氏が乗るレーサーモデルの色に近づけたいと言う事で、2色のキャンディーカラーを配合してオーナー様が希望される色味に近づけました。

色については以下ページにある画像を参考にとご指示頂いています。

https://matome.naver.jp/odai/2146741650393168701/2146938553598436603

http://www.cyclowired.jp/image/node/206762

調色作業と下塗りに続きます。

S-WORKS VENGE VIAS②