日産S20ヘッドカバー塗装 完成

 大変お待たせしました!先日本塗りを終えていたKPGC10型スカイラインGT-R(ハコスカ)のヘッドカバー塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介します。

  元々はグレーの結晶塗装が施されていたのですが、

とにかく気持ちの悪いチヂレ目に仕上がっていて、また下地処理がしっかりしていなかった為か塗装がペリペリと剥がれて来ています。

今回はそれを「旧塗膜剥離→サンドブラスト→リン酸処理→プライマー塗装→サーフェサー塗装→研磨→下塗り→研磨→上塗り」といった工程で下地を作り直し、

日産純正の「ミッドナイトパープルⅡ」(カラーコード:LV4)で塗装しました。

ミッドナイトパープルⅡは原色にクロマフレア顔料(マジョーラーにも使われている顔料)が使われている為、通常の方法で色を作る事は出来ず、今回はメーカー(STANDOX)にて作成~パッケージで購入する事となりました。

 凸部はベースコートを塗装後に研磨し、最後に一緒にクリアーでコーティングしています。

 クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

Twitterで知り合った塗装屋さんから、「いつも写真のツヤがとてもキレイで気になっているのですが乾燥後もあの艶なのでしょうか」(原文ママ)といったメールをいただいたのですが、この歪な形を磨ける訳がありません(笑)。

ちなみに今回は一か所大きいゴミが着いたので、それだけ磨いて除去しています。磨いた範囲で言うと直径5cmくらいで、それ以外は塗ったそのままとなります(大抵いつも通りです)。

マジョーラっぽい感じはしないのですが、見る角度によっては普通の顔料では出ない色の表現がされています。

凸文字周りのサフェ研ぎは本当に大変で、身体(頚椎)への負担が大きく、基本的には艶あり仕上げのヘッドカバー塗装は現在もお受付はしておりません。こちらと同型のヘッドカバーのみ対応しております(ただし納期は未定で6カ月~一年くらい掛かってしまう事はどうかご了承くださいませ)。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度も当店をご利用頂きまして誠に有難うございました!

日産S20ヘッドカバー 本塗り

先日下塗りとして艶あり黒に塗っておいた、KPGC10型スカイラインGT-R(ハコスカ)のヘッドカバーです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させておきました。

サフェの段階で#120~#400を使ってライン出しをしていますが、その際にペーパーで残ってしまったスジ跡があるので、それらを#800の水研ぎで平滑にしています。殆どの部分で普通の当て板は使えないので、2~3ミリ厚のアクリル板をペーパーに当てて研いでいます。

ペーパーを指で研ぐとその痕が残ってしまうので(彫ってしまうので)、細かい部分でも全て当て板を使って研ぎます。

 そして塗料も届きました!日産純正の「ミッドナイトパープルⅡ」(カラーコード:LV4)です。

一部にクロマフレア顔料(マジョーラにも使われている特殊顔料)が使われている為、この色に関しては既存の原色から色を作成する事が出来ず、メーカーにお願いして色を作って貰います。てっきりドイツからやって来るのかと思いましたが、パッケージが日本仕様と言う(苦笑)。

フィンの凸部は後で削りますが、塗料が着かない方が良いので(削りカスが出るので)一応マスキングしています。

ミッドナイトパープルⅡは隠ぺい力が激しく弱い為、サフェが露出している箇所にベースコートの黒をスポットで塗っておきます。

てっきり中身はデュポン(現在はCromax)かと思いましたが、匂いはしっかりスタンドックスでした(笑。クロマリュージョンカラー(DUPONT)の臭いは特徴があるので直ぐに判ります)。

ちなみに時々ネットで缶のフチにガムテープ等で「注ぎ口」を作るような事を紹介していますが、自身それでうまく行った試しが一度もありません。私のやり方を間違っているのかも知れませんが、手間を掛けた割に結局汚れるので、以前オートサプライヤーさんがやっていた外側にマスカー(養生紙)を貼る方法にしています。垂れるのは防げませんが缶は全く汚れず、紙を折り返しておけば下にも垂れませんからこの方が確実です。

この方法だと全く汚れないし下にも垂れないので気に入っています(先ほどの養生紙を剥がしただけで拭き取ってすらいません)。

 と言う訳でミッドナイトパープルⅡを塗布します。普通のベースコートです。

しっかりウェットに塗り込むと、乾いた時に表面がツルンと平滑になります。この時点で肌が荒れていると幾らクリアーを綺麗に塗っても完全硬化後に艶が引けてしまいます。

フィン部に貼っておいたマスキングを剥がし、

この後の研磨で周りを傷つけないよう養生し、

#120→#180→#240→#320→#400→#500→#800と研磨してアルミ素地を光らせます。ペーパーは全て新品を使うのが肝でしょうか(光らせて終わったと思たったら傷が残っていた!という事態になり最初からやり直しになるのはとてもダメージが大きいです)。

タッククロスとエアーブローをしてしっかり研ぎ粉を除去し、

露出したアルミ部に密着剤を塗布し、最後にクリアーを塗って本塗り完了です。大変お待たせしました!

 クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーとなります。

 塗り肌が残らないよう遅めの硬化剤とシンナーで対応しています。

 塗着後のクリアーがよくレベリングするよう、ガン距離もかなり近づけて塗っています(3~5cmくらい)。

ちなみにガンを離して塗る込むと膜厚が付き過ぎてクリアー表面にピンホールのようは穴が開きます(ワキ)。表面が先に乾いて内部の溶剤分が揮発する時に穴を残してしまう現象ですね。ガンを近づけて塗れば、膜厚を抑えつつ塗り肌の少ない仕上がりになります(念のためですがこれは体の新車肌の再現とは全く別です)。

 この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

日産S20ヘッドカバー 下塗り

先日サーフェサーを塗っておいたKPGC10型スカイラインGT-R(ハコスカ)のヘッドカバーです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、ガイドコートとして黒のベースコートをパラパラと塗っておきました。

研ぎ作業はとても長く辛い作業なので、体に負担が掛からないよう時間がある時にゆっくり行いました。また今回は「下塗り」を行う事にして、研ぎ作業を大幅に軽減する事にしました。コストは上がりますがもはや仕方ありません。

鋳造製品は歪があるので、まずは#320から始めて粗研ぎを行います。

その後#400→#600→#800→#1000→#1200→#1500といった感じで全体を研いでいく訳ですが(実際は布状研磨副資材を使ってもう少し省略します)、これを少しの研ぎ残しも無く隅々まで行おうとすると骨が折れるので(私の頚椎が大変な事になるので)、今回は#400まででストップとします。

その後凸部を#80→#120で粗研ぎし、表面の腐食と歪を取っておきます。

 全体をよく脱脂清掃します。

フィンの部分(凸部)は後でまた削り落しますが、面倒なので簡単にマスキングをしてあります。

 そしてベースコートの黒→クリアーを塗って下塗りが完了です。

一回多めに塗装を行う事で時間は余計に掛かりますが、この方が体への負担は低く済みます。

また艶が出ると歪や深いペーパー目(スジ目)がよく判るので、さらに仕上がりが良くなります。この後は#800で細かいラインを修正し、#1000~#1500で目消し、足付け処理を行います。

ちなみに今回ご指定頂いている色は日産純正の「ミッドナイトパープルⅡ」(カラーコード:LV49)で、

こちらは見る角度で色が変わるクロマフレア顔料が使用されている為、既存の塗料(STANDOX原色)では色を作る事が出来ず、パッケージでの注文となります。現在、メーカー(STANDOX)にお願いして作って貰っているところです(海外からやって来るのでしょうか)。

クロマフレア顔料については以下の記事が判り易いかと思いますので宜しければご参照くださいませ。マジョーラにも使われている米国の顔料ですね。

特種塗料と言うかクロマフレア顔料

当然お値段も凄い事になる訳ですが、どうしてもという事で今回材料費もご負担頂いて対応をさせて頂いております。通常はお受付出来ませんのでご了承くださいませ。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

日産S20ヘッドカバー 下準備

いつもご贔屓を頂いている業者様から、二か月くらい前にお預かりしておりました日産スカイライン(ハコスカ)用のS20エンジンヘッドカバーです。ご承諾を頂いたので紹介をさせて頂きます。

現状はグレーの結晶塗装が施されていますが、もはやチヂレ目と言うより干ばつで出来た地割れのような状態になっています。

熱を入れるタイミングが遅かったか、使用期限を切れた塗料を使ったのではないでしょうか(ここまで酷くは無いですがこういった兆候が出た場合はやり直しています)。

  以前ご依頼を頂いたTOYOTA2000GTのボスに塗られた結晶塗装も凄かったですが、これで完成として出せる精神力が羨ましい限りです。

と言う訳で、その後アルカリ洗浄槽、溶剤槽に浸け置きをして旧塗膜を剥離しました。

前回の塗装はこの状態からそのまま上塗りを行われた筈ですが(なので塗装が密着していなく剥がれています)、

 マスキングをしてブラストボックスに入れ、

 サンドブラスト(軽め)を行いました。

その後凸部を#80→#120で粗研ぎし、

リン酸処理→洗浄を行いました。表面が黒っぽくなっているのは不働態被膜が出来ているからで、これだけでも一応は防錆効果があるのですが空気に触れていると劣化してしまうので、

その上にプライマーを塗り、サーフェサーを塗っておきます。

鉄にメッキが掛かった金属はそれ自体で防錆処理はされている訳ですが、屋外に置いておくと錆が発生するのはメッキが薄かったり気孔を水分(水蒸気)が通ってしまうからです。

その場合は屋外でも耐えら得るメッキ層にするか、その上に塗装を施す事で腐食は防げます。塗装の主な役割は「美観」「識別」「保護」となりますが、元々塗られていた塗装はその役目をどれも果たしていなかったのではと・・・。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

尚、ご依頼内容は日産純正色の「ミッドナイトパープルⅡ」(カラーコード:LV4)で、艶あり仕上げで承っております。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

NISSAN GT-R(KPGC10) S20 Engine Cover

 いつもの業者様からご依頼を頂いていた、日産スカイラインGT-R(KPGC10)のS20ヘッドカバーです。

 現状は濃いグレーの結晶塗装が施されていて、ただしその後使った痕はありません。

 オイルキャップのネジ山まで塗られているという、中々男前な仕様です(使っている内に塗膜片が中に落ちて行くのでは・・・)。

 この型のヘッドカバーとしてはあるあるの、端のネジ穴部分が折れて溶接されています。

この部分の表側には、塗装を剥がした後に凸凹のビード跡が出て来たので、エポキシパテで均しておきました。

 塗膜を剥離後、サンドブラスト処理(軽め)を行います。

その後リン酸処理→プライマー→サフェーサーを塗布し、表面を研磨します。

当て板の入らない細かい部分は、2ミリ~3ミリ厚のアクリル板を使って平らに研いでいきます。番手は#320→#400となります。

 その後はいつもだったら#600→#800まで仕上げるのですが、今回は腐食による浸食痕などが目立った為、

一旦艶ありの黒で全面を下塗りとしました。サフェ作業も行っていますが、さらに2度塗りも行います。

 その後熱を掛けて塗膜を硬化させた後、同じように今度は#600~#800で水研ぎを行います。

 浸食されていた部分は凹んでいる為、その都度拾いパテ(ラッカーパテ)で埋めるのが大変だったので、代わりにクリアーを塗ってしまおう、と言う作戦です。また#320~#400のペーパー目の目消しにもなります。

 艶のある所が研いでいない部分で、艶が消えている個所は全て当て板(主にアクリル板)とペーパーを使って研いだ部分です。

 その後凸部を#120→#180で荒砥ぎしておきます。今回既に一度研磨(塗装)されて凸文字部が薄くなってしまっていたので、エアーツール(ダブルアクションサンダー)は使わず全て手研ぎで行っています(この辺の作業が体に良くなかった為か、その後調子が悪くなってしまったので、ヘッドカバーの艶あり塗装は当面これを最後の仕事とさせて頂く事にしました)。

そしてスコッチとナイロンブラシとウォッシュコンパウンドを使って足付け処理を行います。

そして本塗り完了です。

(今回は掲載する予定では無かったので途中画像が余り無く、作業内容はかなり飛んでいます)。

色はスカイラインHR31 1987年 GTS-R(800台限定)の「ブルーイッシュブラック」(カラーコード:BG8)となります。黒に見えますが濃紺で、パールやメタリックは入っていないソリッドカラーとなります。

 その後熱を入れて塗膜を硬化させ、さらに数日寝かしたら完成となります。

 凸部を研磨した個所は最終#800仕上げとなります。

 アルミ素地を出している凸部分には多少腐食が残っています(黒い点々状の個所)。

シングルサンダーを使ってもっと削ればこれらも取り除けますが、部分的に削ると歪むのでその場合は全体的に、ただそうすると「2000」と「NISSAN」の文字部がさらに薄くなってしまうのでここまでに留めておきました。

 この部分が折れていた部分です。ポリエステルパテは熱に弱いので使わず、エポキシ接着剤(3Mパネルボンド)のみで成型しています。

 オイルキャップのネジ山部分にあった塗膜も取り除いておきました。

今回のヘッドカバーは梨地では無いのですが、プラグホールとプラグホールの間に凹みや歪があるので、平滑にする為の下地処理(サフェ研ぎ)が必須となります。単に塗るだけでこういった仕上りにはなりませんのでご注意下さいませ。

 今回のような作業は身体への負担が大きい為、現在はお受付を停止させて頂いております。

ただし一部のヘッドカバーは対応している物もありますので、詳しくはこちらの業務連絡のお知らせをご確認くださいませ。