TIMEカーボンフレーム&フォーク塗装 完成

time88 大変お待たせしました!TIMEのカーボンフレームとフォーク塗装、本日完成となります。

time89色を塗ったのは「TIME」の大きなロゴ部分で、その他は部分的なタッチアップ、そして全体にクリアーを塗っています。簡単そうですが普通に塗るよりもかなりの手間が掛かっています。

最初の状態も紹介しますね。

time1 最初の状態では白い個所がどこも黄ばんでいて、今回はこちらを新車時のような透き通った白に再塗装し、さらに全体を耐候性の良いクリアー(クリスタルクリアー)で覆って今後の劣化を遅らせようという作業内容となります。

time91先ほどの画像と比べるとTIMEの白の黄ばみが無くなったのが判ると思います。実際には黄ばみが無くなった訳では無く、新たな白を上からピッタリ同じ位置に塗り重ねています。

time94実際に作業してみて判りましたが、赤く塗られた部分には褪色は見られず、原因は白に使われていた顔料(もしくは塗料中の樹脂)だと判明しました。白い紙が経年で黄ばむのと同じですかね。

time90  こちらはダウンチューブのロゴです。

time92 こちらはトップチューブ上面、今回最も褪色(黄変)が酷かった部分です。

time93 小さいロゴについてはそのままの状態なので、今回塗装した白との色違いを懸念しておりましたが、サイズ自体が小さいので殆ど目立たず違和感も感じないと思います。

time95 本塗りの前に一旦「研磨→クリアー塗布→完全硬化→研磨」といった工程で下地を平滑にしていますので、デカールの段差や凸凹した肌も綺麗に修正出来ていると思います。

time96 この辺のロゴも段差が酷く映り込みが悪かったのですが、見ての通りツルツルになりました。

time97 一応改めて室内の照明下でも撮影しておきました。

time98 画像では艶々に見えますが、実物はさらに高美観に感じられると思います。

time99 time100 time101 time102 time103 time105  同じ個所で最初の状態の画像もあるので紹介しますね。

time16元々はデカールや色の塗り分け部分でかなりの段差があって雰囲気は良くありませんでした。

time43こちらも塗装前の状態で、デカールの厚みでクリアーが凸凹になっているのが判ると思います。

time106 あの状態からいきなり平滑に削ろうとすると下地を露出させてしまう恐れがありますが、その厚み分を下塗りクリアーで確保し研磨する事によって、その後の本塗りでは塗りっ放しの状態でも平滑に仕上げられるようになります。

time107 time104 ここに貼ってあった透明保護シールを剥がした際、デカールの一部が既存のクリアーと一緒に剥がれてしまいまして、その後細い白ラインのデカールを作成して部分的に修正しておきました。

time22こちらがその時の画像で、ロゴのラインと同じ太さの白をプリントして細かくカットし、それらを貼り合わせて直しています。

time108最終的な重さも計ってみまして、画像では1091.4gで、これにディレイラーハンガーとネジ2本の11.5gを足した総合計は1102.9gとなります。

初期は1071.5グラムだったので、今回の塗装では31.4gの増加となりました。

増えた内容としては、クリアー塗装2回分と白の塗料分で、今回剥離作業は行っていないので減った分はありません。作っている塗料の割には重さが増えていないので、塗装屋さんとしては結構驚く数字ではないでしょうか(私も最初は驚きました…)。

それでは後程完成のお知らせメール差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

TIMEカーボンフレーム&フォーク 本塗り

time72 先日までにマスキングが完了していたTIMEのカーボンフレームとフォークです。

エアーブローをしながら細部を確認し、いよいよ本塗り開始です。

time73 フレームのロゴは5カ所で、一度に全部を塗ろうとはせず、一つずつ仕上げていきます。

time74 マスキング際を美しく仕上げる為、スプレーはロゴの外から中に向けるような感じで塗っていきます。いきなりドバーと塗ったりはしません。

time75 一つ塗ったら養生紙を貼り直していきます。

time76 画面右のロゴがトップチューブ上部に当たる個所で、ここが一番褪色(黄ばみ)が強い部分です。新たに塗った白が白過ぎて心配になるレベルでした。

time77 結構面倒なのがマスキングテープを剥がす作業で、無理やり剥がすと糊が残ってしまうので直角に引っ張るような感じで一枚一枚剥がしていきます。また端を爪で捲ろうとするのもNGです(若干糊の跡が残ります)。

time78 各部をチェックし、若干ラインから食み出た個所は綿棒とシンナーを使って拭き取ります。下地は完全硬化したクリアーなのでここでシンナーを使っても問題ありません。

time79 フォークのマスキングを剥がした状態です。今回白く塗ったTIMEのロゴと、その他塗らなかった白い部分とでの差が出てしまうのを心配していましたが、殆ど気にならないレベルで安心しました。

time80 フレームのロゴも白が鮮やかになってまるで違う物のようです。

尚今回はマスキングテープを貼っている時間が長かったので、この後そのままクリアーを塗ると「糊ハジキ」が心配されましたから、白く塗装したロゴ以外の個所はシリコンオフで清掃しています。

time81 そしてクリアーを塗って本塗り完了です。

time82 今回褪色していた原因はクリアーでは無く「白」に使われていたインクと思われますので、赤い部分は新車時の状態が残されていると思われます。発色よくとても綺麗です。

time83 今回は下地として「研磨→クリアー塗布→完全硬化→研磨」の工程を行っておいたので、元々あった段差や悪い肌も払拭出来て良い雰囲気になっていると思います。

time84 透明な保護シールを剥がして一緒に剥がれてしまったロゴは、デカールの貼り付けによる部分補修で多分言われなければ判らない程に直っていると思います。

time85 カーボン地と赤い塗装との境界線には下塗りに使われた白が多くの個所で出ていましたが、それらはクリアーを塗るまでに筆塗りで修正しておいたので殆ど目立たなくなっていると思います。

time86内側の文字にあった凸凹の段差も平滑に仕上がっていて、新車のフレームと並べて見比べても遜色無く感じられると思います(と言うか自転車の新車塗装は車のそれに比べると良くありません。勿論コスト面で仕方ないとは思いますが、長期の使用は想定されていないように感じます)。

この後熱を掛けて塗膜を硬化させ、磨き処理を経て完成となります。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

TIMEカーボンフレーム&フォーク マスキング

time51 先日までにクリアーの下塗りを行い、全体の研ぎ~足付け処理&各部タッチペンを行っていたTIMEのカーボンフレームとフォークです。

time61 本塗り同様に脱脂処理を終え、下に綺麗な紙を敷いてマスキング開始です。

time62 今回のマスキングは技術力と言うよりかは忍耐力のような感じで、とにかく境界線ピッタリにマスキングテープを貼っていきます。

time63 角のラインは一度に貼ろうとはせず、二回に分けて貼る事でピッタリの角度で貼る事が出来ます。

time64通常は面倒な方から始めるのが基本ですが、今回は肩慣らし的に先にフォークを終わらせ、こちらは一旦保管室に寝かします。

time69 そしてフレームです。

time66 こんな感じにテープをカットし、角に合わせて貼っていきます。

time65とにかく時間は掛かりますが、本塗りのように一発勝負と言う訳では無いので作業的にはそんなに難しくはありません。

time67 テープが重なり合う個所には若干の隙間が出来るので(目では殆ど見えませんが)、テープを貼る際には極力引っ張らないよう置いていくような感じで、そして最後に爪でしっかり押さえつけてあげます。

time68 被塗面は後にまだ脱脂処理をしますが、現状既に足付け処理は済んでいますので、極力素手で触らないようにしています。実はそれが一番ストレスかもしれません。

time70 そして本体のロゴは5カ所マスキング完了です。

time71フォークの方は前日に行っていて、フレームは結局一日掛かりの作業となりました。気が付くと辺りは真っ暗になっていたりと(笑)。

次は場所を工場一階に戻し、全体を養生紙でマスキングをしたらロゴ部分の塗装~全体のクリアー塗装となります。

どうぞもう少々お待ちくださいませ!

TIMEカーボンフレーム&フォーク 下準備

time42 先日下塗りクリアーを塗り終えていたTIMEのカーボンフレームです。体調不良の為に作業は少々遅れましたが、先日より着手しておりますのでご安心下さいませ。

time43最初に既存の塗膜(旧クリアー)を足付け処理し、その上に一旦下塗りとしてクリアーを3コート程塗っています。上の画像のように各ロゴの段差が気持ち悪くて、ただ最初の段階でこれを平滑に研ごうとすると確実に下地が露出(ロゴが消失)してしまうので、削る分の嵩上げと言う感じでクリアーを塗っています。

time44 今回メインとなるTIMEのロゴ部分も、最初の段階で結構削りましたがやはり段差が残っていますす。

ちなみにこのロゴ、印刷と言う事が発覚しました。普通に見ても撮影してみても判りませんが、輪郭にドットが確認出来ました。多分透明フィルムに塗料(?)を印刷した物をドライレタリングみたいな感じで転写しているのでは、と思う次第です。褪色したのはその白が原因ですかね。普通に塗装でやっていればこんな事にはならなかったのに、と。

time45 と言う訳で当て板を当てて全面を面出し、その後スコッチとウォッシュコンパウンドで足付け処理を行いました。あっという間ですが結構時間が掛かっています。

time46 その後水を切り、脱脂をしておきます。BBの中の油も取っておきました。

time47 私的に嫌いなのが「下色」が断面として見える事で、今回のフレームでは下に「白」が塗られています。遠慮なく同じ位置で赤をバツ切りマスキングしているので各部でその断面の白が見えて気分が宜しくありません。

time48 こちらはチェーンガード用のクリアー保護シールが貼ってあった個所で、それを剥がしたらその下に塗ったあってクリアーとロゴの一部が一緒に剥がれてしまいました。

time49 と言う訳で先日作成しておいたタッチアップ用の塗料(ベースコート赤)を各部に筆挿していきます。

time50 傷の個所は勿論、ブツ切りマスキングの断面で下色の白が目立つ個所も修正しておきます。

time55 そして剥がれたロゴ部分の修正です。さすがにロゴデータを一から作るのは大変なので、今回は部分的な修正で挑みました。

まずはラインの幅を測ります。

time41 0.5ミリ幅の線をベクトルデータとして作成し、さらに0.05ミリ刻みで6種類の線を作ります。

time54 それをプリントアウトし、実際のラインに照らし合わせて一番良い幅を見つけ出します。今回は結局0.5ミリでした。

alps2 (1)それを基にドライプリンターを使って「白」を印刷します。単色だと透けてしまうので、まず「特色ホワイト」を印刷し、その上に「ベースドホワイト」を重ね、さらに「クリアー」を重ねて保護します。

time56長さは約5センチ、0.5ミリ幅の白いラインのデカールを作成しました。

time52 ちなみにもし丁度良いのがあればこういったドライレタリングを使ってもOKです。私もアルプスのドライプリンターを使う前はこれで自動車内装部品に文字を入れていたりしました。

既に売ってはいないと思いますが、いざと言う時の為に買い揃えてあったりします。

time53 いつものように水に木工用ボンドを少量溶かしこみ、マークセッターを使って貼り付けます。

time57 多少長めにカットした物をそれぞれの位置に貼っていきます。

ちなみにまとめてやろうとしたら上手くいかなかったので、一本一本ドライヤーを使って定着させてから貼る事にしました。

time58 そしてこんな感じで完了です。幸いデカールの白とドライプリンターの白が似た色だったので違和感なく補修が出来ました。

time59 後ろの方は予定していなかったのですが、こちらも結構ひどいので序でに直しておく事にしました。

time60こんな感じで完了です。FIBERの部分も直してあります。

ちなみに白く点々としている部分はクリアーが浮いてしまっている部分で、そこはもうどうしようも出来ないので(ロゴが一緒に剥がれてしまいますので)、これ以上酷くならないようにこの状態で留めています。

次はいよいよ「TIME」のロゴ×6のマスキングです。また作業進行しましたら紹介しますのでどうぞもう少々お待ちくださいませ!

TIMEカーボンフレーム&フォーク 色作成

time32 先クリアーの下塗りを行ったTIMEのカーボンフレームとフォークです。その後熱を入れてクリアーを完全硬化させておきました。

time37今後の工程としては、

・全体を研磨して肌を均し、再び細部まで足付け処理

・傷の部分をタッチアップ

・大きい「TIME」のロゴ7カ所をマスキングして新たに白で塗り直し

・再び全体にクリアーを塗装

となります。

time38 全体に小傷があるので、そういった個所はスプレーでは無くタッチアップで拾います。勿論スプレーでも出来ますが、その場合は各ロゴをマスキングしたりして避けなければならなく、また小傷はフレーム(とフォーク)全体に散らばっていますので結果フルマスキングでの対応となりますからコスト面で現実的ではありません。また色の作成もこんな簡易的の方法では無く、毎回色板にスプレーして確認する必要があります。

time40と言う訳でとりあえずはタッチアップ用の色を作っておきました。「TIME」のロゴに塗る白は色見本帳から選んでいますので、そちらは後日計量器を使って配合データから作成します。

time39そう言えばと言う事で、下塗りクリアーを塗った後のフレームを計量しておく事にしました。現状は1087.4グラムとなります。

下塗りを行う前は1071.5グラムで、現在は1087.4グラムです。尚ボトルゲージなどのナット穴にはマスキングの為にイモネジを6本入れていて、それが一個当たり約0.4グラムなので合計2.4グラムを差し引き、

下塗りクリアー分=13.5グラムとなります。かなり軽く思うかも知れませんが以前cannondaleのフレームで計測した時もこんな感じでした。そう言えば先日読んだレクサスの製造工程を紹介する本では確か通常の溶剤ベースコートで固形分(樹脂+顔料)が3~4割程と書いてあったので、比重に重い顔料分が入っていないクリアーでは1~2割くらいしか無いのだと思います。

またここで紹介している本塗り後の画像では随分とタップリクリアーを塗っているように見えますが、実際は低圧ガンを使ってガン距離を異様に近くして肌目を作らないようにしているので(被塗面とガンとの距離は5cm以下くらいです)、パッと見は塗膜の厚みが付いているように見えても実際はかなり薄くなっています。今行っている塗装は以前行っていた車体補修塗装の「新車肌の再現」とは違うのでSATAガンとかを使う必要は無いのです。SATA=外資系の高粘度なクリアーを使って新車肌を作るのにはとても素晴らしいガンなのですが、適正エアー圧が非常に高く、使用するクリアーの量も半端無いので今は使っていません(そもそも今のうちの排気浄化装置では容量が足りません)。

それではまた作業進行しましたら紹介させて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!