TREK MTBアルミフレーム塗装 完成

trek24 大変お待たせしました!トレックMTBのアルミフレーム塗装、本日完成となります。

最初の画像も紹介しますね。

trek1元々はこんな感じの艶消しグレーメタリックカラーで、全体にはそれなりに傷もありました。

trek26 色はトヨタ純正色のシルバーメタリック(カラーコード:1F7)で、アルファードやランクルなどに採用されている色です。正面が明るく透かしが黒いシルバーの原色(MIX812)をメインに構成された色なので、コントラストが強く金属感のあるシルバーになっています。

trek25 既存の塗膜は一旦全て剥離し、「研磨→プライマー塗布→サフェーサー塗布→完全硬化→研磨」といった下地処理の工程を経ています。一部深い傷があった箇所のみパテを使いました。

trek28派手な装飾などはありませんが、塗装の基本的な事を重視しているのでパッと見た時の印象が良いと思います。自転車フレームの新車塗装の場合は何度か塗り重ねる工程で恐らく「研ぎ」を行っていないので、一見艶があっても雰囲気の悪い塗膜になってしまっているのだと思います。特にカーボンフレームは殆どがそんな感じですよね(ただしコスト上で仕方ないとは思いますが)。

trek29ちなみに車(四輪自動車)の事故修理のような「元に戻す」塗装の場合、内容がシンプルなだけに気にする点は結構細かく、例えば色を一つ作るのにしても調色作業に丸一日掛けてしまうような事もありますし(と言うか1日で出ないなんて事もありますので・・・)、ちょっとした傷の取り残しやゴミの混入、メタリックムラなど、普通に見ても判らないようなことでも塗り直しをするケースはよくあります。塗装は気にするとキリが無く精神的に疲れるので、5年目くらいで半分以上の方が辞めてしまうような職業だったりしまして・・・(私ももう無理だと思って小物にしました)。

trek30 ちなみにさすがにここまで塗りこむと垂らす箇所もあって、そういった所は硬化した後に磨いて処理してあります。中には致命的なタレになってしまう場合もあるので、そういった場合は塗り直す事もあります。

trek31今回は垂らした箇所以外は磨き処理をしていませんが、例えば肌を荒らしてしまった場合でも磨き処理である程度はカバー出来るのですが、自転車のような形が複雑な場合はペーパーが入れ難かったり、ポリッシャーが使えなかったりと綺麗に磨き難いので、私的には肌を荒らしてしまうよりは垂らしてでも艶々に仕上げる方がマシと考えています(車の場合はまた別ですが)。

trek32その点小物の塗装は新車肌が云々といった縛りが無いので、もう親の仇みたいに塗り込んでいるところはあると思います。こういった物は単純に美しく見える方が良いと思いますし、塗っている本人も艶々の方が楽しいですので(笑)。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

TREK MTBアルミフレーム 本塗り

trek16 先日プライマー&サフェーサーを塗布していたトレックのアルミフレームです。全体にガイドコートとして黒をパラパラと吹き付け、サフェーサーを研ぎます。

trek17これが中々面倒な作業で、平面ならエアーツールを使ってサフェーサーも研げるのですが、形がこんな感じですからサフェ研ぎも全て手作業です。まあそれでも昔みたいに水研ぎしか選択肢が無かった時に比べれば全然楽ですけどね。研ぎは#320から始めて最後は#800で均します。

trek18 よく清掃したらマスキングをして最後に新品のウエス(と言っても布では無くて専用の物です)を使って脱脂をしたら本塗り開始です。

trek23ポップナットなどのような突起した箇所はサフェーサーを研いだ際に素地が露出してしまっているので、上塗りを始める前に部分的にプライマーを塗布しておきます。肌を荒らしたくは無いので口径は0.5mmの小さなガンを使っています。

trek19 ベースコートは極力ウェットに塗るようにして肌を荒らさないようにすると、こんな感じで平滑な仕上がりになります。と言ってもこれは塗料(メーカー)の種類によって違っていて、私が以前使っていたDUPONT(センタリ6000)はこの時に肌が荒れ易くてムラにならないように塗るのが大変でしたが、今使っているSTANDOXはこれが非常に塗り易いのです。

ただSTANDOXは全体的に隠蔽性が悪く、DUPONTの時は3コートで済んでいた色も6コート必要だったりなんて事が普通です。今回の塗色はMIX812のシルバーがメインになっていますが、最初の1コートなんてクリアー塗っているのかと思うくらいなんですよ・・・(ちなみにDUPONTだとAM17に該当する原色です)。

trek20 ベースコートを塗り終わったらクリアーを塗って本塗り完了です。

trek21色はトヨタの純正色「シルバーメタリック」(カラーコード:1F7)で、画像だとちょっとパッとしませんが明るくて綺麗なシルバーです。ランクルやアルファードなどに採用されている塗色みたいですね。

trek22今日は祭日だったのですがうっかりそれを忘れて今週の予定を組んでしまいまして、ただお陰で予定通り作業は進行しております。時間が余ればNBロードスターの凸文字鋳造をリベンジなんて事も考えていましたがさすがにそれは難しく・・・(すいません)。

それでは完成次第改めて紹介させて頂きますね。来週末くらいを予定しております。どうぞもう少々お待ち下さい!

 

TREK MTBアルミフレーム 下準備

trek9  先週に旧塗膜の剥離が完了していたTREK MADONEのアルミフレームです。全体をシンナーで洗浄し、深い傷があった箇所はポリパテで修正したので、早速プライマー&サフェーサーを塗布しました。

trek10スプレー塗装ではこういった袋状の裏側には塗料がちゃんと入らないので予め筆で塗っておきます。

またワイヤーガイドとチューブ(フレーム本体)とは完全に溶接されている訳では無いので若干隙間が空いていて、ああいった箇所に水(実際はホコリなどと一緒に)が溜まって常に湿度100%みたいな状態になって腐食がし易くなりますから、こういった箇所にもプライマーをよく詰めておきます。

trek11 こんな感じで溢れるくらいプライマーを塗り込み、塗料が乾かないうちにエアーブローしてプライマーを継ぎ目の奥深くまで到達させ、且つ余分な塗膜を取り除きます。

trek12 プライマーは厚く塗り過ぎると逆に悪影響が出るので余分はシンナーとウェスで拭き取っておきます。エアーブローはその為の作業でもある訳ですね。

本来であれば自動車の新車製造ラインみたいに防錆剤(プライマー)を溜めたプールに浸けてしまうのが一番理想的なのですが(所謂カチオン塗装です)、実際の補修の現場ではそうもいきませんので私的にそれをイメージしてこんな風にしています。こういう事は普通習いませんが、塗装屋さんなら皆さん気になりますよね。変性シリコンシーラーを詰め込むと言うのもアリですが、あれ自体に防錆効果はありませんので念のため。

ちなみに実際の新車時のプライマーは以下のような感じになります。宜しければ参考までにどうぞ(とにかく短くて判り易いのを選びました)

車体を回しているのは空気溜まりを作らないよう、ボディの隅々まで満遍なくプライマーを行き渡らせる為です。プライマーは水みたいにシャブシャブなので肌は荒れず、また電気的に膜厚を調整しているので均一で綺麗な下地になります。
自転車のフレームも新車時にこんな風にやってくれていれば内側から錆が出るというのも防げると思うんですけどね(クロモリは結露で内側がやられているのをよく見かけますので・・・)。

trek13 と言う感じでセッティング完了です。

trek14 先ほど筆で塗ったプライマーを、今度はスプレーで塗ります。薄く2コートですかね。

trek15その後は通常の2液ウレタンサフェーサーで、ただこちらも余り肌を荒らしたくは無いので、通常は希釈しないサフェーサー(STANDOXシステムフィラー)に5%程度シンナーを入れ、5コートくらい塗り重ねています。

自動車のような平面パネルであれば機械研ぎ(ダブルアクションサンダー)が使えるのでサフェーサーの肌はそこまで気にしなくても良いのですが、こういった自転車フレームは全て手研ぎになるのでとにかく肌を荒らさないように気をつけています。ヒーターも使わないので1回塗ったサフェは全然乾きませんから(途中で温度を上げると結局肌が荒れるので)、コート間のフラッシュオフタイム(乾燥時間)15分おきと長めにとって最初から最後までは1時間以上掛けてます。

ちょっとマニアックな独り言ですが、もしかしてサフェに2Kエナメルを入れてカラードサフェ仕様にしてしまった方がレベリングが良く肌が綺麗に仕上がるのかも知れませんね。原色何パーセントまで入れて良いのか忘れてしまったのでちょっと調べてみようかと思います。丁度VOC 2Kになる前の廃盤になった2Kエナメル原色が残っているので良い使い方かも知れませんし。

それではまた作業進行しましたら紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

TREK MTBアルミフレーム 下準備

trek6 先日まで溶剤槽に浸け置きしておいたトレックマドンのアルミフレームです。概ね既存の塗膜は剥がれてくれたので、最後にワイヤーガイドの内側などに残った塗膜をサンドブラストで除去します。

trek7 入り組んだ箇所はワイヤーブラシが入らないのでどうしても塗膜が残ってしまいますが、サンドブラストだとこんな感じで綺麗になります。

trek8ただサンドブラストだと傷などはそのまま残ってしまいますから、再度ダブルアクションサンダーで全体を削りながら傷をチェックして、必要な箇所にパテを塗ったりします。

来週中にはプライマー&サフェーサーを塗布し、再来週に本塗り、2月中には完成出来ると思います。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

TREK MTBアルミフレーム 旧塗膜剥離

trek4先日ある程度の部分をダブルアクションサンダーで削っておいて、その後溶剤槽に浸け置きしておいたトレックマドンのフレームです。

trek5余り代わり映えしない感じがしますが、ペーパー作業では出来ない細かい部分の塗装を剥がす事が出来ています。かなり地道ですが、溶剤で柔らかくなった塗膜をワイヤーブラシやスクレーパー、マイナスドライバーなどで削り落としています。

ちなみに溶剤槽はフレーム全体が入らないので作業は半分ずつで、次はフロント側になります。
その後さらにペーパーとサンドブラストで旧塗膜を完全に除去したらいよいよ塗装の段階になります。

直圧サンドブラストや剥離剤の仕様に比べるとかなり面倒な事をしている感じがしますが、この方法だとゴミが出ないのと、常に手を掛けていなくても作業自体は進んでくれているので、現状のように一人で業務を行っているスタイルには合っていると思います。
サンドブラストは機械のメンテナンスが大変ですし、剥離剤は使った後の処理も考えなければいけませんからね。時間は有効に使いたいのです。

それではまた作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。まだ剥離作業は続きますがどうぞもう暫くお待ち下さいませ!