Body Polish&Coating ポリッシュ&コーティング

 

細かい無数の傷が付いて曇った塗膜はワックスやポリマーで艶を出して目立たなくする事は出来ても、傷自体を取る事は出来ません。目立たなくなった傷を埋めているコーティング皮膜が無くなれば、傷はまた目立つようになり艶が無くなります。

適正なコーティングは塗膜を一皮むいてから行う事をお勧めします。

塗膜が薄くなる事を気にする方もいらっしゃいますが、下地が悪ければいくらポリマーやワックスを行っても意味がありません。綺麗な塗膜でも、目に見えない傷が無数にあると考えてください。その傷によって塗膜の反射率が悪くなり艶が感じられなくなります。またその傷に汚れが入り込んで水垢などの汚れのシミが付く事にもなります。

当店ではその様な細かい傷をポリッシングにより取り除き、コーティング皮膜が無くても十分過ぎるほどの艶がある状態にしてからコーティングをする事によって、長期に渡って良い状態の塗膜を維持する事が出来るようにします。

一般に売られている水垢落としなどの研磨剤は、艶出しにしては粗すぎる中間的なコンパウンドを使用しているのが殆どだと思います(手作業でも短時間で水垢を落とす様に作業性を良くする為)。その為水垢を落とす時に、また無数の傷を塗膜に付けてしまう事が考えられます。その結果、ワックス分が落ちればまた艶が無くなり、水垢等の汚れも付き易い状態になってしまいます。

さらには水垢落としに付属しているスポンジなどを使う事にも問題が有ります。軽く擦って汚れや傷が取れる様に作業性を良くするには、それだけ目の粗い堅いスポンジが付属されていると思われます。目の粗いスポンジ(堅いスポンジ)を使えばそれだけ傷も深く、無用な傷が多数入ります。目の細かい柔らかいスポンジを使って軽く擦る程度に使用すれば理想なのですが、手作業では相当な時間も掛かってしまい、時には砂などの不純物が絡んで深い傷も付けてしまう可能性があります。やはり相当の仕上がりにするには専用の電動ポリッシャーと数種類のバフと専用コンパウンドの使用が前提になります。

しかしガソリンスタンドや量販自動車用品店ではシングルポリシャーでは無く、ダブルアクション系のポリッシャーのみで作業している光景をよく見ますが、ダブルアクション系はコンパウンドの絡みが無く取り扱いが容易な反面、傷を取り除くポリッシングとは縁遠いコーティングのみの作業と考えられます。艶を無くしている細かい傷を取り除くには、やはりシングルアクションのポリッシャーの使用が前提となりますが、使い方を誤ると塗膜を削り過ぎて下地が露出してしまう問題も起きます。その点でデリケートなポリッシュ作業を得意とするのは塗装屋の分野になります。

 

私個人的には、塗膜の厚みを感じるには、下地を出してしまう様な削り過ぎの失敗を何度も経験しないと解らないと思います。まだ塗装を始めて未熟な頃はポリッシングで下地を出しては怒られる失敗を何度も経験しました。しかしそれらの経験があるからこそ今のポリッシュの技術があると思っております。

今までも当店で施工されたお客様の御車でかなり艶の無い傷だらけの塗膜をポリッシュさせて頂きましたが、どれも新車のように見違える程になり、お客様には大変喜んで驚いて頂きました。

当店では塗る意味の無いパネル部品を無用に塗る事はお勧めしておりません。ポリッシュで綺麗になる塗膜なら塗らないで済む工程をお勧めしております。お気軽に御相談ください。

 

当店の磨き工程

当店では4種類のコンパウンドと4種類のバフ・2種類のポリッシャーを使っています。

1.      ボディの洗浄・鉄粉落とし

2.      かなり深い傷(ドアハンドル付近に良く見られる傷)や深いウォータースポット等を#3000の細かいフィルム状のペーパー(コバックス社のバフレックス)を使って落とします。物理的にペーパーで研磨しないと取れない傷を消すには必要な事です。

3.      ペーパーを掛けた所には中目・極細のコンパウンドをウールバフで磨きます。

4.      ボディ全体的にウールバフを使い、極細コンパウンドで全体の細かい傷を取り除き艶を出します。この時点で蛍光灯で確認出来る傷は取り除きます。しかし蛍光灯では見えない傷があるので、太陽光と同等以上の500Wから800Wのハロゲンライトで細かい傷を確認しながら細かい傷をさらに消します。

5.      上記で付いた目に見えない傷(バフ目)を、超微粒子コンパウンドを使いスポンジバフで光沢を出します。

6.      ここまでの工程で目に見える傷は無くなっている状態ですが、直射日光に当たった時に見えるオーロラ状のムラが見える極細のバフ目傷を消すためにダブルアクションポリッシャーを使います。コンパウンドは超微粒子を使い、バフはさらに細かく柔らかい専用の物を使います。

7.      ここまでで磨きは終わりです。以下からはコーティング工程に入ります。

8.      一度コンパウンドのカス・油等を綺麗に掃除します。

9.      ポリマー溶液をダブルアクションポリッシャーと細かく柔らかいバフを使い、全体的にコーティングします。

10.ポリッシャーでは入らない細かいところや、ドアの内側などは化学繊維の専用ウエスを使い、手作業によるコーティングをします。

11.全体的に乾燥したところで拭き上げます。ここでも化学繊維のウエスを使います。ワックス等を拭き取る時に普通のウエスを使ってまた傷を付けてしまっては意味がありません。化学繊維の専用ウエスを使えば目に見えない傷も付ける事無く綺麗に拭き上げられます。

 

ポリマーとは、「ポリマー結合」の意味であり、分子間での三次元網の目結合により強固な皮膜を形成します。通常のワックスのカルバナ系やシリコン皮膜よりも耐候性・持続性に優れています。ましてやワックスとコンパウンドが混合したような製品では強固な皮膜は作れません。

特に白系の明るい塗色は傷が目立たない分、磨きに対して敏感になった方が宜しいと思われます。市販の水垢落としにはかなり荒めのコンパウンドが使われているので、いくら水垢を取って綺麗な状態に見えても、そこには目に見えない無数の傷を付けていると思って下さい。白系の反射率の良い色程傷は見難い事になります。よく“ホワイトボディ用”と“濃色用”と別けてある製品を見ますが、前者は粗めのコンパウンドが使われている事が多く、後者は細目の研磨材が使われています。前記のことから白系でも“濃色用”を使う事をお勧めします。

 

当店ではクリアーには特に気を使って、耐久性・耐溶剤・耐候性・耐擦り傷性に優れた、硬く光沢のあるクリアーを使用していますが、長い期間悪環境にさらしっぱなしでは塗膜も劣化していきます。出来るだけ日々のメンテナンスを正しい方法で行う事をお勧め致します。

 

注> クリアー層よりも深い傷は塗装が必要です。ポリッシング・コーティングでは取り除くことは出来ません。