注>こちらは「以前のプロフィット」のページとなります。
   現在のプロフィットは「小物の塗装専門店」になります。
   現在、車体の鈑金塗装のお受付はしておりません。

   新しいプロフィットのウェブサイトはこちらになります。

 

 洗車・損傷箇所確認・鈑金個所のパネル全体の洗浄・脱脂  部品脱着

MAZDA RX−7

新横浜工場にて

小さな凹みや傷などは、パネルが汚れていると発見しにくいので損傷箇所周辺を綺麗にする必要がありますが、当店では損傷箇所周辺のみならず、最初の段階で車輌全体を綺麗にする事を心掛けております。お客様の御都合で、大切な愛車が汚れたまま入庫された場合でも、当店にて作業前の段階で洗車を行います。

入庫された車輌は、作業が完了してオーナー様へお渡しするまでの間にも出来るだけ綺麗な状態でお預かりすることを心掛けております。

作業に携わる上で車輌に触れる機会も多々あり(基本的には塗膜への接触は厳禁としております)、さらには塗装工程のマスキング作業では車輌全体にビニールシート(新品)を被せる必要がある為、砂などが塗膜に積もったままビニールなどと接触・摩擦が起きれば無用な傷が増えてしまいます。車輌外観を重視した業務に従事している以上、必要以上に気を使う必要があると考えております。


 部品脱着

RANGE ROVER 左側面損傷

フロントドア付属品分解


当店の基本的な作業では、塗装するパネルに付属する部品は全て取り外します。取り外す際に曲がってしまうモールや、壊れてしまうクリップ類は交換が前提となります。勿論これは御客様のご予算に応じて再利用や、マスキングにて対応する事も可能ですが、仕上がりの品質を損なう恐れのある付属品は極力外す方向で作業します。

万が一、付属部品の再利用や、マスキングでの対応の場合は、事前にお客様に説明させて頂きます。また、それに伴うデメリットやメリットについても詳しく説明させて頂きますし、修理費用面でも的確なアドバイスが出来るように心掛けております。


ガラス脱着について

2003年作業  VW LUPO GTI 

信頼するガラス専門作業者によるクォーターガラス外し

 鈑金塗装に関係する作業では殆んどの事を自社工場内にて行いますが、ガラス脱着に関してだけは専門業者に委託します。これは「餅は餅屋」の言い伝え通り、その道のプロにお願いした方が問題が起きない為です。

現在では多くの車輌のガラスは「接着」によるシーラー貼り付けが採用されています。各車輌車種においてその接着方法は多種多様で、取り付けるだけで無く、取り外す際にも非常に高度な技術が必要であると認識しております。技術はもとより「情報」に関しても専門業者は得意とする所です。最新の技術も、新車ラインに配属された同僚の方よりの情報によりいつでも対応可能となっております。当店としても安心して任せられます。また当店では、ガラス脱着・交換の際には、各ガラス会社の中でも、特に優秀な方を指名しております。現在は2社2名の信頼出来る方を指名させて頂いております。
しかしガラス脱着に関しては、メリットもあればデメリットもあります。不用意に新車塗膜を塗り潰したくは無い塗装屋の考えと同じく、新車の状態で付いているシーラー(接着剤)を不用意に切り離したくはありません。人間の行う作業について「絶対」はあり得ないと考えておりますので、不用意な脱着により経年数による「雨漏れ」や「風切り音」が発生する可能性も100%無いとは言い切れないからです。

また費用面でもデメリットは発生します。ガラス脱着作業には多くの費用が必要となる為、どうしても見積もり金額は高くなりがちです。クォーターパネル(リヤフェンダー)の塗装に関しては、多くの場合「クォーターガラス」や「リヤガラス」が隣接する為、この2枚の脱着だけで5万円以上の費用が必要となる場合もあります。


 

 ガラスモール際マスキング方法

2002年作業  ALFAROMEO 156

モールアップ処理

 当店では、ガラス脱着のメリット・デメリットについて、出来るだけデメリットを少なくする方法を選びます。勿論ガラス脱着だけに限らず、作業全般において車の為に良いと思われる事を優先しております。

左図はアルファロメオで、クォーターパネルの塗装の際にはやはりリヤガラスが邪魔になりますが、前記のデメリットの事項からしてリヤガラスは脱着しません。しかし今回の塗装でリヤガラスのモール縁がマスキングにより醜い仕上がりになる事はありません。ガラスモール部分を5ミリ程持ち上げてマスキングを行い塗装をする事が可能です。

当店ではこのような方法がとれる専用の工具や材料を多数揃えております。モールを引っ張り上げる「トリムテープ」や、モールの隙間に挟み込む「リフティングテープ」など、各メーカーサイズ幅の違う物や厚みの違う物など、ガラスモールの形状や固さ・厚みによって、当店では7種類を使い別けています。

 


 パネル交換の場合

1997年作業  ROVER R400

リヤ周り大損傷

3M社 パネルボンド専用工具

 3M社DP460

ドアなどはボルト等の取り外しでの交換になりますが、クォーターパネル(リヤフェンダー)やルーフ等はパネル全体を切り取って、新しいパネルを溶接により貼り付けます。スポット溶接や半自動溶接など熱が大量に使われる溶接作業では鉄の酸化を促進し、錆びの一つの原因にもなります。当店では特に防錆に気を使っているのでこのような作業には特に気を付けます。

例えば当店では、トランクルーム内などでの溶接作業箇所には、シーリングの前にプライマー処理を行います。補修作業で良く見られる光景では多くの場合、鉄板に直接シーリングしてしまうケースがありますが、シーラー自体の防錆力は乏しいのが現実です。「防錆」の方法として「酸素の遮断」としては間違い無いのですが、正しくは鋼板面へのプライマー塗布により「化学的な防錆効果」を行い、その上でシーラーによる「物理的な防水効果」を行う事が理想となります。作業工程としては少々面倒になりますが、経年数による差は歴然です。

また、袋状になったピラー内部やクォーターパネル内部などは、中々一般の方には目に付かない箇所ですが、その事からこれらの部位の処理はどうしてもおざなりにされがちです。作業もし難い箇所ですが、だからこそ問題が起きる前に適切な処理が必要となります。

この様な箇所での当店の基本的な作業では、焼けてしまって剥れ掛かった塗膜を研磨・除去し、酸化した鋼板表面を活性化させ、防錆効果の高いウォッシュプライマーを塗布します。構造的に強度を高く構成している車種は特にスプレーがし難い箇所になりますが、その場合はフレキシブルノズルを利用して小さな穴からでも奥まで効果的に塗装(防錆処理)を行います。

 

また当店では、無用に溶接などの高負荷な作業を推奨しておりません。高温度によって金属の分子構成が破壊され、素材本来の強度や性質が変化してしまう事を極力避けて作業を進めます。溶接と同等の引張り強度を持ったエポキシ樹脂系の接着剤を用い“パネルボンディング工法やウェルドボンディング工法”によって、車に極力ダメージを少なく、錆を最小限に抑える努力を行っております。

当店の修理方法はどれをとっても“車”の為に最善の方法を選んで作業させて頂き、その先にオーナー様の喜ぶ顔や安心があると考えております。

 


 鈑金

2006年 フィアットヴァルケッタ

フロント部追突損傷

板金修正 プライマー塗布前



デントリペアー用工具の鈑金作業への応用も

鈑金を始める前には、損傷個所とその損傷状況(入力方向等)の認識をし、修理範囲を出来るだけ大きくしないように考えます。しかし凹みは見た目よりもかなり大きな面積でダメージを受けている場合が殆どです。無理に小さく済まそうとすると、修理をした形跡を残してしまうような違和感ある歪みを残してしまう事になるので、各損傷の修理に最も適切な作業方法を繰り返しイメージします。

また、お預かりしている車輌に対して、事故等により受けたダメージをそれ以上大きくしないようにし、「修理する事によるデメリットを超えるメリット」を目指した修理を目標とします。


 
板金工程としては以下のような作業を行います。

構造部(ピラーや内板骨格)の修正

ハンマリング

スタッド引出し・ワッシャー溶植スライディングハンマー引出し

溶接

絞り(ハンマリング・スタッド絞り)
部品取り外し・取り付け
立て付け調整

パテ付け・研磨

凹んだ所は必ず鉄板が伸びています。その結果、凹みの周りは全体的に膨らんでいます。その理由は、伸びて逃げ場の無くなった鉄板が凹みとは逆に高く飛び出てくるからです。

凹んだ箇所をハンマリングにて修正する場合は大きく別けて以下のような作業を行います。それぞれ損傷にあった修理方法や、修理個所に適切な工具を選択、組み合わせて行います。

・ 凹んだ箇所を裏から「当て板」(ドリー)で叩き出し(押し出し)、反対側(表)から膨らんだ箇所を板金ハンマーで叩き平滑にする「ハンマー・オフ・ドリー」。これにより伸びた鉄板を絞りながら平滑に近づけます。そして鋼板をより平滑にする為の「ハンマー・オン・ドリー」を組み合わせて仕上げます。ドリーは様々な形状のものがあり、通常は鉄製のドリーを使いますが、場合によっては木片やデントリペアー用の長い鉄製の棒なども使います。ポルシェ963のルーフ損傷の時には、ルーフライニング(フール内張り)を外す為には前後ガラスの脱着が必要となる為、それを回避すべく、ルーフライニングサイドの隙間数センチより鉄製の棒を奥まで指し込み、それによってハンマリングを行ったりもします。鈑金ハンマーも鉄製の物意外にも、アルミ製や木製、プラスチック、ゴム製なども使い分けます。

 凹んだ箇所にワッシャーを溶植して、スライディングハンマーを引っ掛けて表に出しながらハンマリングを行う「引き出し鈑金」

またはスライディングハンマーの先を直接溶着して引き出す効率的な工具もあります。

広範囲の場合はワッシャーを連続して溶植し、棒を通して一度に引き出したり、専用のプレト板を溶着させて引き出す場合もあります。

・ プラスチックなどの樹脂(熱可塑性)の場合はドライヤーで高温に暖め、樹脂が軟化した状態で形を整えます。


 鋼板素地調整

2002年作業 ALFAROMEO156

酸化箇所のスポットサンドブラスト処理


DUPONT 5717S

アルミヘッドカバーエッチング処理

ワッシャー溶接やカーボン絞りなどを行った箇所の鋼板は、鋼板面に0.1〜1ミリ程度の微小の凹み(エグレ)が出来ます。溶接を伴う鈑金作業で最もやっかいなものです。

 この部分こそ、高熱により鋼板表面が酸化し、もっとも「錆」が発生し易い箇所になります。パテの下から発生する錆やブリスターの多くの原因は、この酸化した鋼板を残したまま上から塗り重ねて蓋をしてしまう事により起こります。そして数年の時間が経ってから塗膜表面に問題が浮き彫りになってきます。

 通常この箇所の処理には、ディスクサンダーやベルトサンダーを使いますが、深いエグレを除去する為に鋼板を深く掘り込む事は、鋼板パネルを薄くしてしまうデメリットが発生します。また研磨する際に発生する「摩擦熱」により、鋼板が伸びる可能性も高くなり、再度「絞り」の作業を行わなければならなくもなります。これらを恐れて、深いエグレを残したままパテを塗ってしまう場合がよく見かけられますが、そのデメリットを発生させないでの処理は可能です。

 当店では、この「エグレ」の処理には「化学的」「物理的」な除去・作業方法を採用しております。

 化学的な方法としては「リン酸」の使用になります。当店で使用するリン酸「DUPONT 5717Sメタルコンディショナー」により、酸化した鋼板素地を効果的にエッチングします。

 物理的方法では、左図にある「スポットサンドブラスター」により、エグレの奥深くまで研磨粒子(アルミナ)をエアー圧力により高速にぶつける事で、鋼板に極力ダメージを少なく効率的に酸化した鋼板素地を除去します。

 さらに良い事は、これらの方法により、鋼板表面に微小な凸凹を形成します。塗装工程での「足付け処理」と同じ原理で、この凸凹により表面積を数倍に増やす事で、パテやプライマーの接着面積を増やし、さらに「投錨効果」にて最良の密着が得られる下地が形成されます。


 重防錆仕様(重防食仕様

2005年 ランチアデルタ鈑金

左ドア〜クォーターパネル
パテ前の重防錆処理
スタンドックスレッドブラウン塗布

通常、鈑金が終了した鋼板面には直接パテを塗ります。当店でも以前はこれが当たり前の作業だと思っていました。

 しかし色々と勉強していく内に、「防錆」に対して考えると、当店では最終的には「鋼板に直接塗れるパテは無い」との見解をしました。パテによる化学的な「防錆効果」はありません。

 しかしパテの下に塗れる塗料には限りがあります。当店では、パテの下に塗膜があることはタブーとしています。既に一般化されている、「旧塗膜にパテを被せる」工法も、当店では通常行いません(下記「パテ塗り」参照)。

 パテの下に塗れる塗料としては、当店で使用している材料はエポキシ系3種、特に防錆で優れている塗料としてはウレタン系のス「ダンドックス レッドブラウン」になります。

 全ての作業でこの「重防錆処理」を行うには至りませんが、この作業が必要と判断した場合や、直接御来店頂いた方々の修理には既に「プロフィットスタンダード」として作業工程に含んでおります。


 パテ塗り

2004年 マセラッティ ザガート

レッドブラウン塗布&軽量エポキシパテ塗布


2006年 AUDI A4 張高力鋼板鈑金
当店の基本作業ではポリエステル系パテを旧塗膜に被せません。

塗料メーカーも推奨する、正しい作業方法です。
パテによって旧塗膜を侵す「パテ痩せ」に似た現象を起こしません。

パテ塗りの前には金属面の脱脂から行います。脱脂をしなくともパテは簡単に剥れたりはしませんが、10年、20年先を見ると大きな違いが起こります。油分や不純物が錆びや密着不良の原因になれば後々ブリスターの発生や、最悪の場合パテが剥がれる等の大変な問題が起こります。

また、重防錆処理の場合には左図のように専用のプライマーの上にパテを塗布します。

 

 厚塗りする場合は「エポキシパテ」など、ポリエステル系パテよりも密着性に優れたものを選択します。場所や素材によって軽量エポキシパテや、アルミパテ、ファイバーパテ、軟化性に優れたバンパーパテなど素材に適した材料を選択して使用します。

 しかしパテの厚付けはやはり色々な問題を起こす可能性が高いので、出来るだけ膜厚を薄く済ます修理が理想です。そのためにはしっかりとした鋼板の鈑金修正が必要になります。

 パテ塗りの際には出来るだけ気泡を入れないように、しっかり“しごき”ながら塗ります。単にパテを塗るだけでは密着性が低下し、後に「パテ剥れ」の原因にもなりますし、パテ内部や表面に巣穴(気泡)が多いと“パテ痩せ”や“ブリスター”などの原因にもなります。

 修復した箇所が長い年月大きな問題が無いように維持するためには、パテ塗り一つとっても気を使った作業が必要とされます。

 

 パテを厚塗りしなくても済む場合はポリエステルパテからの使用になります。当店が使用するポリエステル系パテは主にスタンドックス社やグラスリッド社の「中間パテ」的なタイプのものになります。鉄以外にも、アルミ・亜鉛鋼板に対応するものです。

 各パテは、材料の長所短所を上手く使い分けて使用する事が大切で、「長い期間変わらぬ美しい塗膜」を形成する為には見えない部分とされている箇所こそが重要になります。さらに大切な事は、各使用材料の特性や良い点悪い点を十分に把握し、各マニュアルに沿った基本的な作業を心掛ける事です。例えば当店ではパテを混ぜる際、主剤と硬化剤の配合率は目分量などで行ったりはしません。専用の計量機を使い、正しい配合比を守る事が必要です。硬化剤を入れすぎると「にじみ」や「硬化不良」を起こし、少な過ぎれば正しい結合を起こさずに、上から塗られる塗料溶剤によって侵されてしまいます。

 パテの下での問題はすぐに起きる事ではありません。だからこそ適当な作業をされがちです。1年以上が経ってからの問題発生でのクレームを受け付けてくれる店は多くはありません。当店にはそのようなご相談が非常に多いです。問題が起きる前に、ユーザーの方々がしっかりとした知識を持ち合わせる事も必要な事だと思います。


 パテ研ぎ


BMW ALPINA
ドア損傷&他店修理跡修正
パテによるパネルラインの再現

 パテは#80から#240のペーパー(研磨紙)を使って削り、正確なラインを出します。鉄板に直接塗っているわけですから絶対に水を使ってはいけません。パテを空研ぎするとパテ粉の埃が出るからといって、耐水ペーパーを使って水研ぎを推奨する工場や作業者の方も良く見かけますが、絶対にやってはいけない事です。

 左図のようにプレスラインにまでさしかかるパテ作業では、特にプレスラインの歪みに気を付けます。パテを付けては研ぎ、正確なラインが出せるまでこの工程が10回以上に及ぶ事もあります。

 パテの研磨の最終仕上げは#240以上のペーパーで行います。荒いペーパー目を残すと、数日から数年立って必ず現れます。粗いペーパー目をサフェーサーで隠しても経年数により、納車後に出てくる問題の一つとなります。

 板金塗装の問題は数日〜数年経ってから発生する事が殆どです。当店のスタッフはディーラー在籍時に外資系高級塗料DUPONT社の塗装塗膜永久保証の技術を習得していますので、納車後から数年経っても変わらない塗膜品質を提供しております。


 プライマー

ROVER R400

鋼板露出箇所ウォッシュプライマー塗布重防錆処理

 近年の板金塗装業界では、プライマーとサフェーサー両者の特徴が一緒になったプライマーサフェーサー(プラサフ)が主流です。

 しかし当店ではあえて単体でのプライマーを使用します。DUPONT社の“820R”なるニ液性防錆専用塗料で、優れた防錆力を持つウォッシュプライマーです。主に錆びが発生しやすい沿岸部での使用を目的とし、亜鉛メッキと同等の効果が得られ、鉄やアルミなどの金属面との密着性も最高レベルになります。

左図は新品パネル研磨の際に鉄板が剥き出しになった個所にウォッシュプライマー塗布をしている所です。その後プライマーサフェーサーをパネル全体に塗布します。

当店基本作業では鋼板面に直接「プライマーサフェーサー」を塗布する事はありません。プライマーサフェーサーの前には「ウォッシュプライマー」の塗布を必須工程としております


 プライマーサフェーサー


2004年 BMW 318i

雹害修理




2005年 BMW530i

左側面 ドア交換修理

パネル表にプライマーサフェーサー塗布

プライマーサフェーサーは鈑金部分より大きめに塗布して、#240のペーパーで研磨した所は全て塗布します。#240より荒いペーパー目に塗布してしまうと、サフェーサーの溶剤分により傷を広げてしまい、それにより侵された塗膜によって後にペーパー目を発生させてしまいます。

サフェーサーの役割は膜厚を確保する事で、パテで研磨したラインよりも更に精密なラインを出す為と、ラインを形成する為に研磨した際に絶対に下地(金属地肌)を出さないためです。

良く補修した個所のクリアー層の下にペーパー目が出ているような現象を見ますが、それらは全てこの工程での下地が問題です。これは磨きで取れる傷ではありませんので、再修理には塗膜剥離と、その荒いペーパー目の修正までもが必要となってしまいます。

また、当店では新品パネルへのプライマーサフェーサー塗布も必須作業としております。

 純正のパネルには既にプライマーが塗ってありますが、当店の基本作業では新品パネルは全てプライマーサフェーサーを塗り直します。その理由は、

1.上塗りの密着性向上。

2.より高い防錆効果(膜厚確保による重防錆仕様)。

3.耐紫外線・耐候性の向上

 などがあります。

新品パネルに塗られているED(電着プライマー)は熱硬化型エポキシ系の防錆塗料になります。これは優れた防錆力と密着性を併せもっていますが、エポキシ特有の弱点として「耐候性」がありません。紫外線によりボロボロと塗膜が崩壊してしまいます。この上に耐候性能の高いアクリル系塗料により紫外線からの保護を行いますが、上塗りのみで耐候性能を上げる事は難しくなります。濃色系であればまだましですが、淡色系や彩度の高い塗色では紫外線がトップコートを透過して下地まで達します。経年数によりルーフやボンネットが白っぽくガサガサになる現象はこれが原因です。

 プライマーサフェーサーにはこの「耐候性」を上げる役割も担っています。その強い隠蔽力からも、紫外線による下地へのダメージを止める事が可能となります。

 


 調色

当店STANDOX DUPONT両システム 調色室内


データ配合・計量調色・カラーチップ



TOYOTA ARIST
テストピースを使用しての微調色の繰り返し

調色をする時点で、使用する材料をデュポン・スタンドックスから選択します。現在はスタンドックスを主流としていますが、時には「もっと良くならないか」などの時には、顔料成分の違う塗料メーカーから調色をすると色味がより近く出来る場合があります。またメーカー指定の塗料では、それぞれ配給されるカラーデータがより実車に近い場合があります。

 調色の全体的な流れとしては下記のようになります。

  カラーデータ検索(メーカー供給CD-ROM メーカーウェブサイトから)

  同色で複数データがあればカラー見本帳より選択

  量調色

  テストピース塗布

  実車目調色(各条件による比色)

 調色で特に気を使うのが「条件」による比色です。屋外の太陽光線下による場合でも直射日光の照射や、日陰での反射光による照射、波長に特徴がある蛍光灯や水銀灯下での場合など、それぞれの条件で色味の合った「条件等色」が必要となります。

 そして各条件でも見る角度によって変わる色味の「フリップフロップ性」の特徴までも同じ様にしなければなりません。

 しかし実際には、どんなに時間を掛けても「同じ色」になる事はありません。これについては不安に思われるかも知れませんが、塗料材料・塗装条件の違いも考慮すると、全く同じ色を再現する事は不可能と考えております。これは塗色を見る人間の感覚にもよりますので、色について従事する人間

であればこの意味は解って頂けると思います。逆に「ばっちり色が合った」と言われる方こそ、色味についての感覚が鈍い場合があります。これは人間の視覚感覚には個人差があり、聞いた話では「色相については、男性900色・女性1500色。色について従事する人間は2500色」との事です。

当店の調色作業では、いきなり必要量の塗料を作成する事はありません。500cc必要な場合も、その半分以下から作成します。配合した塗料の中に、必要としない顔料(原色・パール・メタリック)が入ってしまった場合、それらを取り除く事は不可能な為です。例えば、実車よりも粒子の粗いメタリックが混入されてしまっては、それを細かくする事は不可能です。そうすると、その塗料を捨てる事を惜しんで、無理やり色を合わせようとして正確な色の再現は出来なくなってしまいます。

 前記に記した様に、「同じ色にはならない」とは言っても、それに近づける努力は出来る限り行います。テストピースへの塗布が100回に及ぼうとも、データからの作り直しが10回になろうとも、現状よりも良くなる可能性があればこれらに費やす時間は惜しみません。事実、調色作業では6時間以上掛ける事も良くあります。


 サフェ研ぎ


BMW318i

サフェーサー研ぎ時にはビニールシート、タイヤカバー、各部マスキングで車輌を極力汚しません。




多種多少の水研ぎ用当て板

微妙なライン作成の究極には「砥石」の使用も


#320から#800の耐水ペーパー水研ぎで完全なラインを出します。パテの空研ぎだけでは微妙なラインは出せません。仕上がった時にパネルを真横から透かして見ても、パテ修正箇所などの段差が解らない微妙なライン形成する為に#320の荒めのペーパーから研ぎを始めます。その後#600・#800#1200と、段々とペーパー傷を細かく仕上げ、上塗りに影響無いペーパー目へと完成させます。

荒いペーパー目も、ベースコートの厚塗りにより、埋めたり消したりする事は可能です。しかしそれによりベースコートの肌は荒れ、新車特有の平滑なベース肌は作れません。また艶引けや硬化不良の問題も起します。そして無理に消したペーパー目は、何日後か何年後かに発生するものです。これらの問題を無くす為には、良い材料を確かな技術と知識を用いて補修を行う事が必要になります。

 またサフェーサーの研ぎ作業では、多くの「研ぎ汁」を発生します。この研ぎ汁がタイヤや隙間に入り込むと取り除く事が難しくなります。当店では「後で綺麗にすれば良い」的な考えはしておりません。大切な愛車を預ける上で、オーナー様はこの辺りが最も気にされるので無いでしょうか。

 


 足付け

マセラッティ 足付け終了
マスキング前の清掃は入念に


 塗装を行うパネル全てに#1200の耐水ペーパーで研磨します。ここでペーパーを使うのは、取り残したタールピッチや細かい傷を取り除くからです。ドアハンドル付近などは爪によって付いた傷が無数にあります。それらも#1200のペーパーで綺麗に取り除いておきます。これらにより旧塗膜の肌を平滑にする役目と良質の足付け処理の役割をする事になります。

 続けて足付け用不繊維研磨材“3Mスコッチブライト”に足付け下地処理専用脱脂材(ウォッシュコンパウンド)を付けて、パネル全体からペーパーの入らない細かいところまで足付けをします。スコッチブライトとは繊維に研磨材を塗布し付着させたもので、#800・#1500など番手の種類があります。

 繊維質の研磨材を使用すればペーパーの入りきらない細かい所までもきっちりとした足付けが行われ、塗膜剥離の問題を無くします。実際お客様の目では確認出来ない作業ですが、これらはどれをとっても重要な下地処理になります。しかし逆を言えば、これだけの手間を掛けなければ、塗膜は簡単に剥がれたり、長い年月を悪環境下で維持する事は難しくなります。


 養生(マスキング)


塗装するパネル内の付属品は全て取り外すのが基本です。

当社ではマスキングは簡単な作業の一つです。その理由は、基本的に脱着できる物は全て外してしまっているからです。

マスキング作業は人それぞれやり方は違いますが、当店では特に以下の事に注意します。

1.塗装ミストの防止(塗装パネル周辺以外も全て覆います)

2.埃の出ない、溜まらない工夫(ブース内の風の流れにも考慮します)
3.何より美しく(新聞紙等は一切使いません。ビニールも毎回新品を使います)

 

本塗り時には、いかにストレス無く塗装が出来るかが大事です。下地と同じくマスキングを丁寧に綺麗に行い、本塗り時の集中力を高める為にもマスキングは重要です。


 ベースコート塗装

MAZDA RX−8 他店補修後の修正
ベースコートをウェットに塗れば美しい半艶仕上げになります。

塗装もパテ塗りやサフェ塗りと同じく、粒子の間に空間を作らないようにウェットに塗ります。今までの塗装の材料と技術だと、パラパラと旧塗膜に優しく乗せるような“ドライコート”気味に吹かなければムラになってしまう事があります。しかしDUPONT・STANDOXの塗料材料と塗装方法では、ウェットに艶を出して吹かなければいけません。塗料の密着性を良くする為や艶引けを無くす為とメタリック粒子を均一に並べる為です。

塗料の粒子の間に空間を作ってしまう「ドライコート」だと、乾燥後や納車後に艶が無くなる“艶引け”を起こしてしまいます。ベース表面を荒らしてしまい、凸凹を作ってしまうと美しいメタル感やパール感が無くなり、さらにクリアーコートの吸い込みによる艶引けまでが起こります。

納車後の塗装の艶が無くなるのはこの事が原因となっています。

ベースコートの意味としては「着色」が主な事になりますが、かといって厚塗りをしてはいけません。勿論「隠蔽」する事が大事なのですが、不用意に厚塗りをすると塗膜の硬化不良を起こしてしまいます。隠ぺい力の弱い「有彩色」や、どうしても厚塗りを必要とする「3コートホワイトパール」などの塗装の場合、当店では各塗料メーカーによるオプション的なマニュアルを活用しています。例えばデュポンであれば、「デュポン品質保証塗装システム(ライフタイム(永久)保証)」マニュアル内にある工程で作業を行います。


 クリアーコート塗装


2005年 MERCEDES-BENZ CLK

左フロントフェンダー損傷 交換
塗装直後
 


1996年 RANGEROVER

左側面損傷 各パネル交換
塗装直後



ポルシェ944
「新車肌」の再現は「塗り肌」で作ります

 当社では耐擦り傷性・耐薬品性・耐候性・耐溶剤性に優れたクリアーを主体に使用しております。DUPONTではS696、SATANDOXではラピットクリアー・エクスプレスクリアー等、各メーカー最高レベルのクリアーを使用し、その結果とても硬い塗膜を形成し、納車後の“擦り傷”が付きにくく、いつまでも優れた艶と輝きを提供します。

 塗膜肌は塗り肌で作ります。それが磨き作業を最小限に抑える為にもなり、新車肌の再現が可能となります。ペーパーで削って作った磨き肌(死に肌)と、塗装で作り上げた“塗り肌”では全く違うものです。もちろん新車時の肌も塗り肌になります。

 この「塗り肌」を、いかに新車時の塗膜に近づけられるかが補修塗装では最も重要な事になります。塗り肌の再現には下記のような事項が必要となります。

     レべリング性能・耐タレ性能に優れたクリアーの選択

     気温や塗装条件による硬化剤(4種)・シンナーの選択(4種)

     スプレーガンの選択

     スプレー条件(ブース内雰囲気温度・スプレー圧・シンナー希釈量・ガン距離・ガンパターン等)

各車種毎に新車塗膜肌は違います。おおまかですが、下記に各社新車塗膜肌の特徴を記します。

     ALFAROMEO・・・下地肌の影響を受けてラウンド(肌)の凸凹が荒く大きい。

     BMW・・・スラリークリア(紛体塗装)の為、ラウンドが小さく細かい。特にリヤトランク側面ナンバー取り付け部の肌は汚い。現行型はラウンドが大きくテロテロ感が強い。

     MERCEDES-BENZ・・・ラウンドは均一で美しいが全体的にパサつき感がある。

     AUDI・・・A4やTT系はラウンド凸凹の高低差が小さく、どこの箇所でも均一でいて美しい。

     VW・・・AUDI系とほぼ同じ。ゴルフ系やBORA、トアレグは非常に美しい肌だが、LUPO・PASSATWAGONのラウンドは深く荒い。

     LANDROVER・・・少し前の方までは美しいラウンドで綺麗な肌目だったが、現行はBMWの生産ラインとの合併によるものか、RANGEROVERまでもが細かく浅い。

     PORSCHE・・・上塗りでは現在も作業者による塗装が行われてる為、全体的にテロッとした大き目のラウンド。

     ROVER MINI・・・既に生産ラインは無いが、ポルシェと同じく人による塗装が行われていた為。ポルシェよりラウンドが小さく、ムラっぽさがある。

     JAGUAR・・・以前は塗装後のポリッシュを入念にされていた為、明らかな「磨き肌」でテロテロ感を出していたが、現行型は均一なラウンド。しかしXJの肌はSタイプXタイプと比べてやはりテロテロ感が強い仕上がりとなっている。

基本的には、上面(ボンネット・ルーフ)と側面(ドア等)では肌目が違います。大切なことは隣接するパネルとの肌を合わせる事が重要になります。その為に、ドアなどのパネル交換の際には、パネルをボディに取り付けた状態で塗装する事が重要と考えております。理想は新車時と同じ塗装条件に近づける事にあります。


 乾燥硬化


PORSCHE964

赤外線ヒーター(短波)乾燥硬化


ROVER MG-TZ

本塗り完了〜ブース内強制乾燥硬化

当店の扱っている塗装材料は全て熱硬化型です。サフェーサーは60℃から80℃で約30分間熱を加えます。クリアーは約70℃で40分以上熱を加えます。基本的には各塗料メーカーの指示通りの工程です。

 どの作業でも必ず熱による硬化を行わないと、後々のパテ痩せや艶引け・硬化不良の原因になります。再補修の際には「ヂヂレ」を発生し、取り返しのつかない事態になる事もあります。

強固な塗膜を形成する為には、塗膜の分子結合を強固にする必要がある為、どの工程でも強制的に熱をかけて化学結合の反応をしっかりと促進させる事が必要です。それによって強固な塗膜が形成されます。勿論自然乾燥でも硬化はしますが、熱を加えて反応硬化させた塗膜よりも全ての面で弱い塗膜になってしまいます。

 

当店での強制乾燥方法は、赤外線ヒーターで行う場合と、ブースの温風で行う場合の2通りがありますが、基本的には「芯から焼ける」赤外線ヒーターでの硬化を行っています。ブースで一度焼いて(乾燥硬化させて)からも、再度赤外線ヒーターによる硬化乾燥を行う場合が殆んどです。

どれをとっても鈑金塗装は目で見ても解り難い事ですが、当店では作業効率よりも作業内容と仕上がりを重視した仕事を優先しております。


 磨き(ポリッシング)

ポリッシュ


アルファロメオ156

左リヤ部損傷 塗り肌とポリッシュ微調整による新車肌の再現




違和感の無い「立ち姿」は、オリジナルの「ライン」と「肌」が要になります

 

 塗装工程での最終作業として、「磨き」も重要な作業の一つです。

 塗りあがった塗膜はここまでに出来る限りの労力を要し、作業者の理想に近づけてはいますが、それでも「これ以上出来たのでは無いか」との箇所はあります。経験年数が増えれば理想は高くなり、天井は無くなります。実際に「100%の仕上がり」はあり得ません。技術者の方であればこの気持も解って頂けるかと存じます。

 「ノンポリッシュで仕上がった」事はありませんし、存在しないと思います。これも前記の「調色作業」と同じく、作業者の感覚による基準の判断が大きいです。「当店はノンポリッシュです」と言われている方は、実際の作業者では無いと思われます。

 当店では、塗装最後の仕上げとして、より理想に近づけられる事が「磨き」の工程と考えております。至らなかった箇所や、ゴミの付いた箇所を、出来る限り新車塗膜のような違和感の無い塗膜に仕上げます。基本的には部分的に行うので、塗装したパネル全面をポリッシュする事はありませんが、磨き範囲を小さく抑えると、それにより違和感を伴う雰囲気になってしまうので、無理に小さく納める事は致しません。

 

当店での磨き作業は、使用しているクリアーの硬度が高い為、通常よりも工程は多くなります。

 

【下地】

     #1500ペーパー ブツ(ゴミ)取り

     #2000ペーパー ブツ取り箇所の肌慣らし・ペーパー目消し

     #2000フィルム状ペーパー 肌慣らし・ペーパー目消し

     #3000フィルム状ペーパー 肌慣らし・ペーパー目消し

     #3500相当のペーパー3Mトライザクト(広範囲のみ使用)

【コンパウンド】

     3M ダイナマイトカット ウールバフ使用(主にペーパー目取り)

     3M ハードEX ウールバフ使用(ペーパー目・バフ目取り)

     3M ハードEX スポンジバフ使用(バフ目処理)

     3M ハード1 スポンジバフ使用(バフ目処理)

     3M ウルトラフィニッシュ スポンジバフ使用

     3M ウルトラフィニッシュ ダブルアクション処理・専用バフ使用

 

当店では、バフ目を誤魔化す為に「仕上げワックス」を使用したりはしません。最終工程で、バフ目を消す為にワックス系で皮膜を作れば、ある程度の「バフ目」は見えなくなりますが、その場合、納車されてからワックス分が落ちて「バフ目」を発生する場合が殆んどです。洗車をすればする程、「艶が消えてきた」なんて現象を起こします。

 塗装業界にはそのような「仕上げコーティング剤」が多くありまし、当店も試した事はありますが、基本的に「誤魔化し」的な事はしたくはありません。「納車後に艶が無くなった」「バフ目が発生した」など問題を事前に絶ちます。


注>こちらは「以前のプロフィット」のページとなります。
   現在のプロフィットは「小物の塗装専門店」になります。
   現在、車体の鈑金塗装のお受付はしておりません。

   新しいプロフィットのウェブサイトはこちらになります。

 

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