先ほど紹介したサージタンクと一緒に本塗りを終えているBMW E30 M3 EVO2のMカラーヘッドカバーです。
こちらは元々あった塗膜にクラックが入っていたので全部剥がして素地からやり直しています。この形状でサフェーサーをタップリ塗っていますから、一度の研ぎでは不足なので一旦1コートソリッドで下塗りも行なっています。なので白いのはサフェでは無く普通の白です(余っていたベンツの白です)。
そして全体にベースカラーのアルピンホワイトⅢを塗った状態です。
こちらはプラグホールの穴に打ち込まれたパイプが邪魔なので型紙が使えず、数値から割り出してマスキング位置を決めています。
驚異的なのが凸文字部分の塗り分けで、それぞれ違う面(側面と底面)にラインを通さなければならないと言う特性上、単に一本のマスキングテープを貼れば良いと言う訳にいきません。
イメージとしてはガイド用の水糸を張り、それを目安に底面のマスキング位置を決め、違和感の無いように側面を立ち上げるといった感じです。
本当は見切りが綺麗に仕上がるPP製のラインテープでマスキングしたかったのですが、コシが強過ぎるので通常の和紙タイプを多用しています。
全ての塗装が終わり、マスキングを剥がしてみると大抵一箇所はこんな感じで塗料が食み出た箇所があります。まあ言われないと気付かないレベルですけどね。
直線であればそんなに手間では無く、こんな感じで補正完了です。
塗料をスプレーガンに入れるのはこの場で行なっている訳では無いのですが、一応判り易いように缶も並べてみました。
尚、今回のご依頼は海外からなので、日本語の説明も判らないと思い画像は多めになっています。
続けて凸部を研磨してアルミ地を露出させ光らせます。既に下地で#120~#240までは済ませてあるので、ここからは#240~#800で行ないます。
その後マスキングを剥がし、アルミの研ぎ粉で黒くなってしまった箇所をスポット的に白で塗装し、再度凸文字を削って光らせます。
Mカラーの塗装の為に外したプラグホール周りのマスキングを元に戻し、よくエアーブローをしたらアルミ素地が露出した箇所に密着剤を塗布します。
続けてクリアーをぬ手t本塗り完了です。画像では周りのネジ部分のマスキングを剥がしていますが塗装面はまだヌルヌルの状態です。
熱で黄ばんでしまっていた白も、新車時の美しい白に戻ったと思います。
まだ終わっていませんが、塗り終わった時には色々大変だった思いがまるで走馬灯のように込み上げて来ました(笑)。何と言ってもあのザラザラだった梨地を平滑にする作業がもうまさに地獄です(ですので次に入ってくるS20のヘッドカバーを最後に、現在はヘッドカバーの艶々仕様を制限させて頂いております)。
アルミ素地に塗ってあるクリアーはいずれ剥がれてしまうと思うのですが(プライマーを塗っていない以上これは仕方ありません)、最初にあった腐食は綺麗に払拭出来ていると思います。
今回はデータが取れたので、また同じ様なご依頼が来た時にはそれが役立つと思います。でも当分は大丈夫かもですね(苦笑)。
それでは完成次第改めて紹介させて頂きます。どうぞもう少々お待ち下さいませ!