先日艶あり黒で下塗りを行っておいたスバルGRFインプレッサの左右フェンダーサイドオーナメントです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させておきました。
今回の御依頼ではこちらのSTIの凹んだ文字部分をスズキ「ミディアムグレー」(カラーコード:ZVL)で承っていて、普通の方からすると「ここに塗料を流し込めば良いのでは?」と思うかも知れませんが、それで純正状態のように綺麗な仕上がりにはなりませんし、そもそも艶々の状態の上に塗装を行っても密着せず剥がれてしまいますから、
ナイロンブラシとウォッシュコンパウンド(液状研磨剤)を使って、一旦全体に細かい傷をつけます(足付け処理)。
グレーに塗るのはSTIの部分だけですが、クリアーは全体に塗るので足付け処理が必要という訳です。勿論STIの部分だけを塗って綺麗に仕上がるのであれば(そして経年で剥がれなければ)こういった事をする必要はありません。
マスキングを剥がして余分を除去する方法でやったのですが、凹み文字のエッジが緩いせいか輪郭が綺麗に仕上がらなかったので、
改めて違う方法=マスキングで行う事にしました。以前作っておいたデータがあって、こういう事もあるのではと一応は想定していました。
続けて最初に下塗りで使った黒=STANDOX原色MIX571を塗布します。
マスキングを剥がすと、今度はシャープな輪郭の塗り分けが出来ました。
塗装の技術は年数に比例して上がるとは言えない所があって、それは体力面だったり動体視力だったり色々な理由がありますが、少なくとも車体の塗装においては今より30代の頃の方が上手く塗れていたと思います(そのまま続けていたとしても)。
ただ作業方法(手段)においては色々な引き出しが多くなったと思うので、今回のように作業途中での方向転換も比較的冷静に対処が出来るようにはなったと思います。昔だったらパニックになって発狂していたかも知れません(実際仕事中に上手くいかなくて泣いた事は何度もあります)。
平面で塗り分けるのであればマスキングシートを貼ってロゴを塗るだけで済みますが、今回のように元々ある形状に合わせて塗り分けるというのはやはり大変ですね。
この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。
残るはスバルエンブレムで、そちらの塗り分けはエッジがシャープですから、今回想定していた通りでいけると思います。
それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!