先日お預かりしておりましたマセラティのグラントゥーリズモ純正リモコンキーです。
まずはエンブレムの下にあるネジを外します。
エンブレムを傷つけないよう注意しながら、カッターの刃先や精密ドライバー等を使って取り外します。今回は両面テープがかなりしっかり着いていて外し難く、本体側にかなり深い傷が入りましたが、こちらは修正可能ですので全く問題ありません。むしろエンブレムに傷が付いたら取り返しがつかないので、点数で言うと今回は(今回も)100点です。
こちらのリモコンキーはネジ以外にも3箇所の爪で固定されていて、電池を外した奥にある箇所は自作の工具で生きたまま取り外しが可能です。ちなみに一番最初のご依頼では構造が全く分からなかったのでこの爪3箇所と、ネジで固定された部分も破壊して分解しました。
今回は3箇所の内1一か所のみの破損で済みました(通常は大体2箇所割れます)。ちなみにこれらの箇所はアクセス不可能な場所なので無理やり引っ張るしか方法はありません(出来る事としては素材を温めて割れにくくするくらいで勿論そちらも実行しています)。
割れた破片は元の通りに接着します。まずは周りの部分を#240で研磨して足付け処理を行います。接着剤がしっかり密着するようにですね。
それぞれの破片にも足付け処理を行い、脱脂清掃をしたら綿棒でプラスチックプライマーを塗布します。ちなみにこちらの樹脂素材は不明ですが、プライマー無しではエポキシ接着剤も密着しません(ですのPA=ポリアミドではないかと思っています)。
それが固まったら本体にくっつけて完了です。この後一日以上寝かします。
こちらのリモコンキーカバーは塗装が施されている訳ではないのですが(着色樹脂素地)、成型時のヒケで表面が凸凹しているので、
まずは#120でライン出しを行い、その後#180→#240で均したら、
最後にナイロンブラシとウォッシュコンパウンド(液状研磨剤)を使って細部の足付け処理を行います。
よく乾かして脱脂清掃をしたら芯棒に固定してサフェを塗る準備を行います。
ちなみにボタンが着いているカバー側はフチに溝があるフランジ状になっているので、
そこがサフェで埋まらないようマスキングをします。ここに傷がある場合は削り落としてしまう事もあるのですが、残せるのであれば極力オリジナル通りにするようにしています。
サフェは少しシンナーで希釈した物を4~5コート程塗っています。
最後のサフェを塗り終わったら直ぐにフランジ部分のマスキングテープを剥がしておきます。ここはシャープさを残しておきたいのでサフェは塗らないようにしています。
この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。
それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!