ランエボブレンボキャリパー 本塗り

先日業者様からご依頼頂いていた三菱ランサーエボリューション用のブレンボキャリパーを完成してお納めした所、塗装したそれを見られた別のオーナー様が気に入ったらしく、新たにこちらのブレンボキャリパー一式の塗装をご依頼頂きました。

こちらは業者さんからの下請け的な作業になるので、当店としてはオーナー様とのやり取りは無く、フロント的な業務を省けますから費用も若干低めとなっています。OHも先方で行っているのでピストンも外れた状態となります。

状態としてはいつものように赤い塗膜の上に塗られたクリアーが剥がれてしまっている層間剥離が起きています。

フロントキャリパーはそれが見られず、褪色も少ないように見受けられたのですが、

近くで見るとbremboのロゴ部分をマスキング(!)して再塗装が行われているようです。凄い男前というか中々の力技です。

洗浄とサンドブラスト・マスキングまでの作業はいつものブレーキ屋さんにお願いしています。

このままでも塗れる状態なのですが、

目立つ正面をメインにサンダーで研磨作業を行ない、打痕や梨地を削り落としておきます。

その後シリコンオフをスプレーして汚れや油分を上から下に洗い流すようにして脱脂処理を行います。

エアーブローをしては再びシリコンオフをスプレーしてを繰り返し、隙間の汚れもしっかり除去しておきます。

クリーンなウエスでふき取ったらしっかりと乾燥させ、

まずはプライマーを塗布します。

プライマーを塗らないとこれから塗る上塗りの塗料が密着しない為、金属素地の箇所を残さないようしっかり奥まで塗り込みます。

パッド固定用のシャフトを通す穴の内側やガスケット当たり面、ボディ取り付け部に塗装をすると弊害が起きてしまいますから、

そこはプライマーとベースコートの黒を薄膜のみに留めておきます。

この後よく乾燥させ、

マスキングを行ないます。ピッタリのサイズだとマスキング際がガタガタになって汚くなる為、少し大きめのサイズで食み出るようにしています。庇のような感じですね。

よくエアーブローをして埃を飛ばしたら、

下塗り(隠蔽力の高い適当な赤)→ランエボブレンボレッド近似色(どす黒い赤)→ロゴ入れ(VWキャンディホワイト)を行います。

元の通りフロントが横幅80mm、リヤが54mmとなります。

ここまでがベースコートで、

規定時間内にトップコート=クリアーを塗って本塗り完了です。

ロゴ入れを行った箇所は段差が出来ているので、完全硬化後に研磨して磨き処理を行います。

マスキングは2コート目のクリアーを塗ったら直ぐに剥がしておきます。なので一個ずつ仕上げていくような感じですね。

ボディショップ=自動車板金塗装屋さんからするとキャリパー塗装は面倒な作業なので進んで行わないのが一般的ですが(私もそうでした)、今回のようにサンドブラストやオーバーホールを行ってくれる方が居るお陰で対応可能となっています。あと安全で敏速に輸送が可能になったインフラの恩恵も大きいですね。

現在はこちらのキャリパーも含め16個が進行中で、半分以上が業者さんからのご依頼となっています。メインは個人向けの小物塗装店なのですが、最近は大手企業(メーカー直)からのご依頼も多くなっています。円安や中国など海外でのビジネスリスクが高くなった為か国内回帰しているのかもですね。

それでは完成次第そちらの画像も紹介しようと思います(念のためですがこちらの業者様は作業内容の掲載承諾を頂いているので紹介しています)。どうぞもう少々お待ちくださいませ!