バイク用ブレンボレーシングキャリパー塗装承ってます

 先日到着しておりました二輪車用のBremboレーシングキャリパー (GP4-RR) 一式です。

こちらのオーナー様は少し前にカーボンフォークの塗装をご依頼頂いた方で、それよりも昔、およそ3年前にこちらのキャリパーについてご相談を頂いておりまして、この度も当店をご利用頂ける事になりました。ご贔屓有難うございます!

尚、現状は黒アルマイトが施された状態で、一番最初の状態(3年前にお問合せを頂いた時)の画像がありましたのでそちらも紹介をさせていただきます。

元々もアルマイト処理が施されていて、凹み文字部に赤の塗料が流し込まれたような仕上がりとなっていました。

ただアルマイト被膜に直接塗られた上塗りは密着しず、以前施工した隼のキャリパーのようにいずれ剥がれてしまいますから、そういう事もあって3年も掛かったという所があるのだと思います。

と言う訳で新たに黒アルマイト処理が程されたキャリパーですが、今回のご依頼はこの「凹んだロゴ部のみ」の塗装となります。

そのまま塗っても純正の塗装と同様いずれ剥がれてしまいますから、周りをマスキングして被塗面のみサンドブラスト、プライマーの塗装を行って白(VW社キャンディホワイト:LB9A)の塗装で承っております。

塗るのはロゴの部分だけですが実はこの方が面倒で、また今回はロゴの部分にプレスラインが掛かっているので通常の方法(マスキングシート)では対応出来そうもありません。

作戦としてはコシの柔らかい和紙タイプのマスキングテープでマスク型を作成し、それを何重かにして貼り付け、さらにサンドブラストのメディア(砂)も細かいタイプを取り寄せてピンポイントに当てようと思っています。ワンミスで取り返しが付かなくなるので相当慎重に行う必要がありそうです。

その他の部分には傷が付かないようマスキングテープで保護し、準備が出来るまでは保管しておきます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

SUZUKI GSX1300R Hayabusa brembo calipers

 brembo27以前ご依頼頂いた案件で、作業内容と画像を纏めて再編集して紹介しています。内容はちょっと薄いですが一連の流れで紹介しますので、文章を読まずともどんな事をしているかは理解出来ると思います。「既に知ってる!」と言う方はどうかご容赦下さい・・・。

ブレーキキャリパーの塗装は主に四輪車用が多いのですが、稀にバイク用キャリパーの塗装もご依頼頂きます。ただそういった場合は大抵内容が普通では無いと言うケースが多いようです。まあこれはいつもの事ですか・・・(苦)。

brembo28現状としてはキャリパーに彫られたbremboのロゴの塗膜が浮いていて、ご依頼内容はキャリパー本体の塗装と、このbremboロゴにも色を入れたいとの御希望です。しかもこんな風に文字部分の塗装が剥がれないようにですね。そもそも「後から塗料を流し込む」なんてやり方で剥がれない方が不思議なので、今回はこういった問題が起こらないような塗装にします。

brembo29まずはコピー用紙をキャリパーに当ててクレヨンを擦り凹み文字部を転写します。所謂「石刷り」ですね。

brembo26 ただそのままではどうにもならないので、一旦スキャナーでパソコンに読み込み、Illustratorなどのベクトルデータを作れるソフトで修整して新たにデータを作成します。

brembo28 旧塗膜は全て剝がし、アルマイト素地にもサンドブラストを掛けて下地からやり直します。一番最初の洗浄~旧塗膜剥離作業はブレーキ専門でやっている方に御願いしています。

brembo32 データからマスキングシートを作製し、実物に合わせてさらに微調整を行います。

brembo38 下準備が終わったらいよいよ本塗り開始です。

brembo39 まずはプライマーです。これを塗らないと折角の塗装も剥がれてしまいますし、金属は腐食してしまいます。

brembo40 御指定頂いた色はSUZUKIのDAYTONA YELLOW」(デイトナイエロー。カラーコード: YMF)で、ただ非常に隠ぺい力が弱い色なので最初に下色を塗ります。

brembo43 その後ベースコートのデイトナイエローを塗り終わったら、作っておいたマスキングシートを使って凹んだ部分を黒く塗装します。

brembo44 クリアーを塗って本塗り完了です。

brembo45 塗膜の構成は「ベースコートイエロー→ベースコートブラック→クリアー」と基本通りに行っているので経年で塗膜がパリパリと剥がれるような事はありません。

brembo46 そして完成です。

brembo47万遍なく艶のある仕上がりに出来ました。

brembo48 バイクの場合は裏側も見えるので・・・と言う訳では無く、いつもこんな感じで裏側も表同様綺麗に仕上げています。

brembo49最初の塗装とは根本的にやり方が違うのでもうロゴ部分の塗装が剥がれるといった心配はありません(ただブレーキフルードが付いたらよく水で洗い流しておきましょう)。

hayabusa3後日オーナー様から頂いた画像です。なるほど、今回のキャリパーカラーはボディーのカラーリングとお揃いにする為だったのですね。凄くお洒落で目立つと思います。

ちなみに色は幸いにしてSTANDOXの配合データがありましたからそのままで同じ色が作れました。二輪車の場合はで配合データが存在していない場合が多々あるので、お問い合わせの際には色名と色番号(これが重要です)を用意しておいて頂ければ事前に調べます。どうぞご利用下さいませ。

次はエッティンガー用のホイールセンターキャップの作製~塗装を紹介したいのですが、あれは相当内容が濃いのでちょっと時間が掛かるかも知れません。マスター型の作製~シリコン型による複製については仕事外の作業として社外記で紹介していましたが、そちらも纏めて紹介したいと思います。

バイク用ブレンボキャリパーが装着されたようです

hayabusa3 先日お納めしましたバイク用のブレンボキャリパーが無事車体に装着されたようで画像送って頂きました。ストライカーなるマフラーメーカーのデモカーでもあるらしく、これからの露出度も高いそうです。超格好良いじゃ無いですか・・・。

brembo49色はSUZUKIのDAYTONA YELLOW」(デイトナイエロー。カラーコード: YMF)で、凹文字部分は黒で塗ってありますが、ここは塗料を流し込んで塗る墨入れでは無く、通常通りマスキングをしてスプレーで塗装し、最後に全体にクリアーでコートしてあります。何が違うかと言うと耐久性が違います。

brembo28これはアルマイトの上にそのまま色(上塗り塗料)を塗っているので剥がれて当然ですが、これはやり方が悪いとかそう言う事では無く、これが製品のスタンダードという事なので特に問題はありません。むしろこういう風になって貰わないとうちのような場末の塗装屋の出番が無くなってしまいますので・・・(苦)。

塗装はその製品の性能自体を上げる訳では無くても「あると嬉しい」といったところがあって、今回のキャリパーもそうですが、古くなった物でも新たな価値をプラスして誰もが羨むような形に生まれ変わらせる事が出来る凄い力を持っていると思っています。
ただそれだけに一旦何かトラブルが起きればとてつもないガッカリ感を生じてしまう為、私的にはそこに重点を置いて作業をするようには心掛けています。折角お金を掛けて塗った物が上の画像のようになったら悲し過ぎますので・・・。

そう言えば塗装の業界に入って初めの頃、上司のアメリカ人から言われた言葉で、「お前がやっているのは新車の塗装では無く補修の塗装なんだから新車以上のクオリティじゃないと意味が無いんだよ!」見たいな事を言われましたが、後になればなるほど確かにその通りだと思います。ただ実際はこんな感動的な言葉では無く、もっとひどく汚い言葉で罵られた訳でして(酷)、当時は相当反発はしましたが今思えばその反骨精神のお陰で色々考えられるようになったのだと思います。ただ仕事の場で言葉の端々に「ファッキン!」とか入れるのは辞めて欲しかったですけどね(苦笑)。テキサスだとそれが普通なのでしょうか・・・?。

バイク用ブレンボキャリパー塗装 完成

brembo46 こちらもお待たせしました!バイク用のブレンボキャリパー3点、本日完成となります。

色はSUZUKIの純正色「DAYTONA YELLOW」(デイトナイエロー)」(カラーコード: YMF)なる色で、凹んだ箇所の文字とロゴは黒で塗装しました。

brembo47 この程度なら筆で塗料を流し込んで拭き取ると言う方法も可能ですが(所謂「墨入れ」です)、今回は一応塗装屋らしく正攻法で行いました。随分と手間は掛かってしまいましたが・・・(苦笑)。でも耐久性云々考えるとこれが一番確実かと思います。塗装屋さんなら判りますよね。

brembo48 ブレーキパッド等の付属品は一応元に戻しておきました。ステンレスメッシュホースのみ外した状態で梱包しておきますね。

brembo49凹んだ箇所への墨入れは、よくやるやり方としては一旦クリアーまで完成させ、このクリアーを侵さない低溶解な塗料を流し込みます。例えばラッカー系やフタル酸(ワンショットなどのペンキ系)、あとは水性などですかね。食み出た分はウェスで拭き取れば良いのでそんなに面倒ではありません。ただし後々剥がれなければですが・・・。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。明日以降で発送可能です。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

バイク用ブレンボキャリパー×3 本塗り

brembo38 こちらもお待たせしました!バイ用のブレンボキャリパー3個も本塗り完了しております。本日は土曜日でしたがいつも通りの通常営業で、ただお陰で結構仕事は進行しました。5月はGWがあったので売上げは微妙な気がしますので何とか6月に期待しましょう(仕事は常に詰まっているのですがどうも働きが悪いようでして・・・)。

brembo39 サイズとしてはこれと一緒に塗っているF50用のキャリパーの3分の1程度ですが、行う事は殆ど変わらないので金額もいきなり安くなる訳ではありません。今回の場合は2割安い程度です。ただし個数が3個なので複数割引が20%→30%と結構お得になっています。

brembo40 今回ご依頼頂いている色はSUZUKIの「DAYTONA YELLOW」(デイトナイエロー カラーコード: YMF)で、「隼」のボディカラーに採用されている塗色です。塗料の配合データからすると激しく隠蔽が悪い色のようで、データによっては3コート塗装(低隠蔽の為「アンダーカラー」使用)になっています。今回は白に少しその黄色を入れた色を下色として塗っておきます。

brembo41 そしてベースカラーを塗装し終えたらロゴ入れ塗装を行います。ただこちらは平面では無く凹んだ箇所に黒を塗装するので通常のロゴ入れに比べると結構面倒です。まあ大変なのはデータとマスキングシートを作るまでで、この時点ではそんなに時間は掛かりませんけどね(そのために事前準備に時間を掛けていますので)。

brembo42この場合のマスキングは 凹み箇所に少し食み出るような貼り方にします。

brembo43 こんな感じです。ただ凹み箇所は平面では無く、また素地の凸凹もあるので多少輪郭がボケてしまう箇所もあり、そういったところは綿棒にシリコンオフを浸して拭き取ります。ベースのイエローは充分に乾燥しているのでシリコンオフでは溶けず(シンナーでは無く低溶解性のノルマルヘキサンです)、ただ塗ったばかりのベースカラーであればシリコンオフでも拭き取れます。STANDOXの技術講習を受けた事のある方ならご存知ですよね。マニュアルには書いていないような事でも特徴を知っておけば色々な場面で助かるケースはあるのです(経験で得られる殆どはこう言う事でしょう)。

brembo44 そしてクリアーを塗って本塗り完了です。

ちなみにプラモデルの塗装を行う方なら「クリアーを塗って後から黒を墨入れすれば」なんて思うかも知れませんが(プラモはそれが基本です)、私が学んできた「Automotive Refinish」(自動車補修塗装)は「耐久性」がありきの塗装なのでそれでは充分では無いのです。塗装の前には必ず足付け処理が必要となり、ただそうなると凹みの内側だけで処理するのは難しいですから、結局キャリパーは全体を足付け処理をし、クリアーは再度全体を覆うような塗り方になります。確か以前行ったAPレーシングのキャリパーはその方法で行いましたがそれではコストが掛かり過ぎますので今回は一回の塗装で出来るようにと対応しています。データ作成の方に重きを置いたようなやり方に変えた感じですかね。

brembo45こちらの「brembo」の凹み文字も同様のやり方で、ただやはりサイズが小さい為か事前に練習で行った時よりも実際にはシビアに感じ、結局文字一つ一つを切って貼り合わせるやり方に変えました。ちょっと時間は掛かりましたがそれくらいならやっておいた方が確実ですので。

それではこちらも完成しましたらまた紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!