レンジローバーホイール塗装 完成

range 大変お待たせしました!レンジローバーのアルミホイール一式 無事完成となります。ちょっと重過ぎるのでいつもの撮影場所では無くブース内で撮っています。

range1 このホイールはレンジローバー2ndの限定車、「holland&holland」に履いてあるホイールとの事で、今回の塗装では元々あったデザインをそのまま元に戻しています。

range2 新車の当時からすると結構年数が経っていますから各所に腐食も出ていましたのでサンドブラストにて一旦旧塗膜を全部削り落とし、今後の腐食を防止する為にも重防錆仕様として下地をやり直しています。

range3納品はご依頼時と同じく「発送」となるのですが、ちょっと有り得ない重量ですので今回は運搬時のストレスも相当なものになりそうですから一応もう少し時間を置いてからの発送にしたいと思います。週明けの来週早々であれば大丈夫ですかね。とりあえずは後ほど完成の旨メールにてお知らせしたいと思います。

この度もご贔屓頂き有難う御座いました!

 

レンジローバーホイール マスキング~本塗り

range25 ベースコートが乾くと(この時点では「硬化」ではありません)マスキングテープが貼れる状態、所謂「テープフリー」になるのでここから2トーンカラーのマスキングとなります。被塗面には直接手を触れてしまう事もあるので作業前には良く手を洗い、その後の作業途中でも何度も手を洗いながらの作業となります。

まず最初の一本ですが、これ一本の為に30分以上時間が掛かりました。まあこれからの基準となるので当然と言うかむしろ早い方だと思います。

range26 そしてこんな感じで一本目が完了です。作業時間は二時間くらいだったと思います。

「塗装」と言っても実は色々な塗装屋さんが居て、エアーブラシでグラッフィックを描くようなカスタムペインターの方や、ギターの塗装専門でやっていらっしゃる方、私の場合は元々「自動車補修」の塗装でしたから「現状復帰」といった「修理した事が判らないような塗装」が専門になります。なので「独創性」と言う点ではかなり乏しいとは思いますが、今回のような元の状態に戻す作業と、下地から生じるような錆や腐食の再発を抑える事は比較的得意な方だと思います。と言うか今日までそれしかやって来ませんでしたので・・・。

range27 ラインさえ決まれば後はマスキングテープで覆っていくだけです。ただし変な貼り方をすればこの後の塗装時にフチが浮き上がってしまったりもするのでテンションを掛けずに丁寧に貼っていきます。

ちなみに最初に貼ったPP製のラインテープは「引っ張りながら貼る」が基本的な貼り方で、それを覆う和紙タイプのマスキングテープは「置くように貼る」が基本となります。

range29 そしてこの時点で翌日です。徹夜した訳では無く一日置いて体力をリセットしたような感じですかね。以前であれば何時になろうが最後まで通して作業していましたが体を壊してからは余裕を持って作業するようになりました。お陰で四つん這いにならないと現場の移動出来なかったり、車でバックする時に体全体を曲げないと後ろが見えなかったり、新幹線の座席では正座しか座れないなんて事は無くなりました。今が一番健康な状態かも知れません(笑)。

ちなみに無理なマスキングをしているとこの時点で浮き上がっている箇所があります。全体を良くチェックしたらいよいよ2色目のシルバーを塗ります。

range30 シルバーも単に塗るだけでは無く、マスキングテープを貼った側から一方向に塗るようにして塗り分けの段差を小さくするようにします。塗装の世界ではマスキングテープの厚みでさえ凄い段差になるので逆にそれを利用するのです。「そんな事で本当に仕上がりが変わるのか」といった感じですがこれはかなり効果は大きい方です。ただホイールを何周も回らないといけませんけどね・・・。

range31 そしてマスキングを剥がした状態です。各部をチェックして問題なければクリアーの準備です。

range32 いつもであれば「裏」「側面」「表面」を一度に塗りますが、今回は表面のみ単体で塗れるようにしたのでクリアーの塗装自体はかなり楽でした。

range33このホイールデザインはレンジローバー2ndの限定車?「holland&holland」に履いてあるものらしいです。正規に日本に入って来てはいないモデルらしく、オーナー様的にかなり思い入れがあったんでしょうね(掛けた費用も相当になりましたので・・・)。

それでは完成しましたらまた紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!

レンジローバーホイール 下準備

range19 ちょっと紹介が遅れていましたが無事本塗り完了しておりますので御安心下さい。実はこちらのホイールは数日に渡って作業していたのですが、ちょっと順番が複雑だったので作業を優先させて頂きました。順を追って紹介させて頂きますね。

上の画像はリムのガリ傷を修整しているところです。今回は「ホイール旧塗膜の総剥離」と言う事があったので、サンドブラスト専門店から戻ってきた無垢のアルミは極力早めにプライマーを塗りたかったのです。酸素に触れていればその分酸化(腐食)が進行してしまいますので。

と言う事でガリ傷は残したまま全体の防錆処理~裏吹きまでの作業を進めていまして、最後の方になってホイール表面の作業に戻ります。ガリ傷の箇所は研磨~パテ処理~研磨で平滑にしたら再度サフェーサーを塗ります。

range20 で、後日そのサフェーサーが完全硬化したら空研ぎ#320~水研ぎ#800まで仕上げます。全体を清掃したらマスキングをしていよいよ本塗り開始です。と言ってもこれも実は数日に分けました。今回はマスキングが大変過ぎるのです。

range21 そしていよいよ本塗りです。が、実際にはこの時点では比較的リラックスした作業で、この時点ではアーデングリーンの部分を塗る作業のみです。いつものように4本並べてセットしている訳では無く、一本一本仕上げていきます。ちなみにまず最初には研ぎ過ぎてアルミ素地が露出した箇所を一つ一つプライマーで拾っていきます。

range22 注意する事は肌を荒らさない事で、ベースコートの肌が荒れればそのまま最後まで影響されますし(艶が引けます)、ボカした部分がミストっぽくなればやはりその後に塗るシルバーの肌も荒れるので取り返しが付かなくなります。特にこの色であれば吹きムラ(メタル粒子が不揃いになって現れるムラ)は起きないので、エアー圧を落としてガン距離を近くして極力ウェットコートになるようにします。

range23 そしていよいよ今回の肝である2トーンカラーのマスキングです。この時まで何度も頭の中で作業イメージを繰り返して来まして、大変なのは覚悟していますがようやく呪縛から解き放たれ事にもなりますので(何度も夢に出てきました・・・)気合が入ります。

range24 今回の為にiPadの購入を決めたのですが残念ながら間に合いませんでした・・・。まあ今回は長期戦ですからむしろノートパソコンの方が画面が大きくてよかったかも知れませんけどね。

range28パソコンモニターをブース内に持ち込んで確認したかったのはこの2トーンカラーのラインです。今回の塗り分けの仕方はちょっと異常というか普通ではあり得無いようなライン位置で色分けが成されていて、通常であれば「プレスライン」に沿って色分けをするのが2トーンカラーの基本中の基本な筈なのですが今回は全く違います。純正の塗装でこんな事は通常有り得無いのですが・・・。

ただ今回のご依頼は「極力元の通りに」と言うなので、古い塗膜を剥離する前には色々な角度から撮影し、さらにメモ書き、そして実際にラインをトレースしてマスキングをして感覚を覚えておきました(上の画像がまさにその作業風景です)。

 

と言う事で次はマスキング作業に続きます。ちょっと画像が多くて重くなるので分けて紹介していきますね。後日になったらすいません(紹介しきれるかどうか・・・)。

レンジローバーホイール 下準備

range14 先日エポキシプライマー+ウレタンサフェーサーを塗布しておいたレンジローバーholland&hollandのホイールです。黒い点々はこれからサフェーサーを研ぐ際の目安となる「ガイドコート」です。また所々に茶色くなっている箇所は腐食で侵食された箇所にポリパテを塗ってあります。

range15 今回は#320→#400での空研ぎまでで辞めておき、先に裏側と側面を塗る事にします。表面は後日#600→#800で水研ぎをして仕上げます。今そこまでやっておいても裏吹きした時の塗料が付いてしまうので意味が無いですからね。かと言ってこの時点で表面をマスキングするのは時間の無駄でしかありませんので・・・。

と言うことで、この時点で綺麗にクリーニングしておいたら一旦仕舞って保管しておきます。

ガリ傷の箇所についてはまた後日サフェーサーで処理します。今回のホイールは旧塗膜全てを剥離して素地からやり直しているので作業工程はいつもより相当多くなっています。

range16 そしてタイミングが来ましたので裏吹きを行います。表面の色は「2トーンカラー」になるので一度に全部を塗るのは難しいですから本塗りも刻んで行く事にしています。ほふく前進みたいな感じですかね。少しずつですが確実に前に進んで行きたいのです。

range17 そして裏吹き完了です。

range18途中どうも窮屈に感じたので2本は吊るして塗るようにと変更しました。

普段ホイールはこうやって吊るした状態で全体を一度に塗るのが普通なのですが、今回は先に裏側と側面を仕上げておき、後日表側の下地処理をした後に2色の塗り分けとします。

まだまだ先は長いですかね・・・。

 

レンジローバーアルミホイール 下地作業

range8 先日いつものサンドブラスト屋さんに送っておいたレンジローバーholland&hollandのアルミホイールです。私的に予定していたよりも随分と早く仕上がって来ました。

range9 元の状態からは考えられない状態です。旧塗膜は勿論、所々に出ていた腐食も根こそぎ除去されて来ました。さすがプロの仕事です。

range10 勿論裏側も綺麗さっぱり何もなくなりました。ただ当初は「塗るのは表側だけで」といった予定でして、ただどうせやるならばとこんな状態にまでなりました。まあここまでやると気持ちは良いですよね。

ただこの状態では放置出来ないので(腐食が進行します)早速防錆処理の作業を開始するとします。まずはホイール全体を上から下に綺麗なシンナーで洗い流して洗浄&脱脂作業を行います。シリコンオフを使わないのはコストが高いからで、今回のように洗い流して使う場合はかなりの量を使うので、だったらと言うことでいつもの浸け置き用剥離槽の上にホイールを置いて上から洗い流すようにスプレーし、下に落ちたシンナーは廃液になりますが実はそのまま剥離用の溶剤としてリサイクルされます。無理なく無駄なく、といった所ですかね。

range11 そして最初に防錆効果が非常に高い浸透型エポキシプライマーを塗ります。万が一最初のサンドブラスト処理で腐食が除去しきれていなかったとしてもこれでさらに防止出来ます。勿論防錆・防水効果も抜群です(ただし作業はちょっと面倒なので日常的には使いません)。

ちなみに表と裏を一緒にやるのはちょっと大変なので先に裏側を塗装し、少し熱を掛けたらひっくり返して表側を塗ります。

range12 裏側に続いて表側を塗った状態です。この状態で表裏を一緒に塗る事も勿論可能ですが、これだと裏側はどうしても塗り難いので別に塗った方が楽で確実なのです。

また表側はこのプライマーだけでは無く続けてサフェーサーも塗る事になります。所謂「ウェットオンウェット」ですね。順番とタイミングを誤るとチヂレや密着不良になりますが、上手く使いこなせば効率よく密着性がすこぶる良い組み合わせとなります。

range13上面だけ色が違うのが判ると思います。エポキシ+ウレタンの組み合わせです。

エポキシプライマーもサフェーサー同様に厚塗りは出来ますが、その特性からして切削性が非常に悪く(その分強いと言う事ですが)、それを削って下地を造るというのは現実的ではありませんので、比較的ラインの造りやすい2液ウレタンサフェーサーを組み合わせて作業し易い下地にするのです。

塗装の面白い所は、こういった作業を自分の好きなように組み立てて出来る事で、最終的には結果が全てですが(見た目も耐久性も)、ただそれに至るまでの過程は自分で責任さえ取れば比較的自由だということです。今回のホイールも最終的に同じ仕上がりだとしても数通りの作業方法がありますから、その中で一番早く良い結果になる物を選べば良いのです。

今回は「とにかくアルミ素地剥きだしの時間を減らしたい」という事でいきなりプライマーとなりましたが、本来であれば先にパテでガリ傷を修理するのがセオリーだと思います。今回ガリ傷はそのままでプライマー~サフェまで塗装となっています(パテは後にやります)。 なので作業時間は余計に長くなってしまっている訳ですが、その分をウェットオンウェットでの作業で短縮させていたりする訳です。

と言う以前に、実はエポキシプライマーなんて普通は使いません(使わせて貰えません)けどね。この辺は好きでやっている事なので別に良いのです。この後50年くらい持ってくれれば・・・と言う希望はありますので。

ちなみに表面は2トーンカラーでの色分けになるので、やはり本塗りでも裏側と側面を先に仕上げる予定です。やろうと思えば全部一気に出来無い事も無いですが流石に疲れてしまいますからね・・・。体力が落ちた分ネチネトと小刻みでいきたいと思います。