先日お預かりしておりましたたFinalmouse Starlight Pro – TenZ ワイヤレスマウスです。
マグネシウム合金は素地を露出させると厄介なので(とても腐食し易いので)、ペーパー掛けは最低限に留め、ナイロンブラシとウォッシュコンパウンド(液状研磨剤)を使っての足付け処理とします。
よく乾かし、
それぞれバラバラの状態で塗れるよう、クリップで固定出来る取っ手を作ったら一旦それらから外し、
一つの状態に仮組みをします。グラデーションやキャンディカラー等を行う場合、それぞれ別々に塗ると色が違ってしまうからですね。
ソール部分のパーツはプラスチック製で、裏は塗装されていなく素地の箇所があったので、念のためプラスチックプライマーを塗っておきます。
ただ今回の場合まずは下色として「黒」を塗る必要があったので、仮組みしたパーツは再び分解し、それぞれ単品で塗る事にしました。
全てのパーツをベースコートの黒に塗り、
よく乾燥させた後、マウスのトップ部分のパーツ3点を仮組みします。
使う色はそれぞれ見る角度で色(色相)が変わるクロマフレア系(所謂マジョーラと呼ばれる系)の顔料で、
塗り分け指定の画像を参考に、グラデーション塗装を行います。
ちなみにそのままいきなり塗るのは怖いのと、また後々の為にデータを残しておきたいという事もあり、見本用の素材も一緒に塗っています。
まずそれぞれの塗り分けと塗り方を、色見本となるこちらで試し吹きを行います。
曲面だけでは無く平面的な見本も欲しいので、それぞれ同じ仕様で塗装します。
こちらは青~紫に変化する色=当店規定のNo.19ですね。元々はパウダータイプの顔料を、ベースコート用の樹脂(MIX599)に10%程混ぜて使っています。
マウス先端は紫系の色で、グリーン・オレンジにも変化します。こちらも同じくパウダータイプの顔料で、当店規定ではH150としています。塗装屋さんなら判ると思いますが、色に対して自分勝手な名前を付けるのは嫌なので、こういった場合は番号=カラーコードにしています。
尚、グラデ―ションもその境界線が曖昧になるのが嫌なので(パールのミストが目立つのが嫌なので)、
最後に再び黒を、今度は口径の小さいエアーブラシで吹いています。ちなみに黒の塗装範囲は敢えて広めにしています(オーナー様のご要望です)。前後の色の比率は同じくらいですね。
ベースコートが完了したらそれぞれを再び分解します。
注意点としては、被塗面には素手で触れないようにですね。
クリアーも口径の小さく微粒子化し易いエアーブラシタイプのスプレーガン(口径0.5mm)を使います。
クリアーは半艶仕様で、ただシンナーを入れると(希釈率を上げると)艶具合が変わってしまいますから、それは通常通りの値にしています。
塗り方自体は艶ありと同様ウェットで、合計2コート行います。
私的に重きを置いているのは「再現性」で、例えば自動車補修塗装(事故修理)であれば、より元の姿=新車の状態に近づける事が最も重要になりますから、今回の場合でも、後日同じような内容で塗装を行う際に極力誤差なく仕上げたいのです。その時々の気分で仕上がりが変わるような事はしたくないんですよね。
その後数時間経つと艶が消えます。
同じ塗り方、同じ材料でも、形状によって艶具合は違って見えて、こちらの平面であればむしろ艶消しに見えますが、
曲面で見ると艶がある=半艶仕上げなのが判ると思います。いくら長く続けていても時と共に記憶は薄れてしまいますから(さらに勘違いをしてしまいますから)、後で見ても判断がつくよう見本を残すようにしています。
マウス先端は紫系で承っているのに「金色じゃん!」と思うかも知れませんが、
見る角度でしっかり紫に見えますのでご安心くださいませ。今回採用したH150は色相の変化が比較的強い顔料なのが特徴ですね。
それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!