Mercedes CLK 修内容詳細

 注>こちらは「以前のプロフィット」のページとなります。
   現在のプロフィットは「小物の塗装専門店」になります。
   現在、車体の鈑金塗装のお受付はしておりません。

   新しいプロフィットのウェブサイトはこちらになります。

入庫時損傷状態

左ドア損傷

ドアの2箇所に横長の凹みあり。凹み自体は深く無いが、広い範囲に渡って擦れた為結構鉄板が伸びている。

左クォーターパネル

補修暦あり。ホイールアーチ上部のなだらかなラインが明らかに不自然でペーパー目も多々発生している。アーチ前方部に凹みあり。

ボンネット

タッチペン修理跡と無数の飛び石あり。

 

 

損傷部確認

 

 

左ドアハンドル下部に深さ1cmくらいで長さは30cmくらいの直線型凹み。凹んだ周りは鉄板が伸びて盛り上がっている。これくらいなら何とか鈑金可能だが・・・。

同じ左ドアのモール下になだらかだが大きな範囲での凹みがある。同一パネルに大きな損傷がある場合は叩いての鈑金修理よりもパネル交換が正解と判断。

同じく左側のクォーターパネルのホイールアーチ部前方に擦り傷&凹み。ドア交換なのでどのみちクォーターパネルにもボカシの塗装が必要だった為、こちらの修理は安価に済むことになりました。

 

 

新品ドアパネル

部品屋さんに手配して2日後ドアパネル到着

 

 

まずは箱から取り出して凹みや傷が無いか入念にチェック。

 この時点で新品ドアに損傷が見られれば返品&交換して貰います。

 チェック方法は揮発性の遅い脱脂用溶剤の“シリコンオフ“を使って艶を出し、パネルに写り込んだ背景を色々な角度で見ながら微妙な凹みを発見します。

 今回はパネル前方に若干のエクボを発見しました。しかしこれくらいならパテを必要としないので、その部分だけサフェーサーを厚塗りすることにします。勿論サフェーサーはパネル一枚表裏しっかり塗ります。

 

 純正のパネルには既にプライマーが塗ってありますが、当店の基本作業では新品パネルは全てプライマーサフェーサーを塗り直します。その理由は、

1.上塗りの密着性向上。

2.より高い防錆効果(膜厚確保による重防錆処理)。

3.耐紫外線・耐候性の向上

 

 などがあります。

 

新品パネルに塗られているED(電着プライマー)は熱硬化型エポキシ系の防錆塗料になります。これは優れた防錆力と密着性を併せもっていますが、エポキシ特有の弱点として「耐候性」がありません。紫外線によりボロボロと塗膜が崩壊してしまいます。この上に耐候性の高いアクリル系塗料により紫外線からの保護を行いますが、上塗りのみで耐候性能を上げる事は難しくなります。濃色系であればまだましですが、淡色系や彩度の高い塗色では紫外線がトップコートを透過して下地まで達します。経年数によりルーフやボンネットが白っぽくガサガサになる現象はこれが原因です。

 プライマーサフェーサーにはこの「耐候性」を上げる役割も担っています。その強い隠蔽力からも、紫外線による下地へのダメージを止める事が可能となります。

 

 

新品ドアパネル塗装(下地&裏吹き)

 

ドアパネルは裏表一度に塗れる専用スタンドを使用。

 

 

裏だからといって適当には塗りません。

きっちりとサフェーサーとベースコートを塗り、クリアーも綺麗な肌を作ります。

 

 パネル表面はダブルアクションサンダーを使い#240のペーパーで空研ぎ研磨します。

 サンダーの入らない入り組んだ箇所は“3Mスコッチブライト”なる不繊維研磨材で足付けします。

 一箇所鉄板が露出している箇所が小さなエクボがあった箇所です。

 裏も“スコッチブライト”を使用して隅々まで足付けします。

 裏側もベースコートを塗る前に薄くプライマーサフェーサーを塗ります。特に水の溜まりやすい下部は防錆効果を高める為に入り組んだ箇所もしっかりと塗っておきます。

 サフェーサー → ベースコート → クリアー と、立て続けに塗る工程を“ウェット・オン・ウェット”と言い、塗料メーカーが認める作業工程です。 

 

 

新品ドアパネル取り外し&取り付け

 

 エアバックの取り外しは必ずバッテリーを外してから5分程放電します。

もし作業中にエアバックが作動すると大怪我するので注意しましょう。

 

 

 損傷ドアパネルを外します。

 ドアパネルの交換は一見簡単に見えますが、ざっと以下の作業が必要になります。

@     ドアガラス取り外し&取り付け(以下“移植”)

A     ドアミラー移植

B     レギュレーター移植

C     サイドエアバック移植

D     ドアトリム(ドア内張り)移植

E     アウターハンドル移植

F     配線類移植

G     チリ合わせ

H     防錆グリース塗布

 などなど他にも色々やる事があり、結構時間が掛かります。

 

このままでも良かったら塗装代は必要無いです(笑)

 

 

先ほど裏吹きした新品ドアパネルを取り付けた状態。

 ドアパネルとボディを別々に上塗りする方法もありますが、当店では基本的に前もって取り付けた状態で一度に塗ります。その理由は、

@     隣接パネル同士の色違い防止

2コート塗装の場合は塗り方や作業条件・環境が変わるだけで色が変わってしまします。

A     クリアーの肌の均一化。

隣接パネル同士を同じ面で塗ることによって、すべてのパネルが同じ肌の繋がりになり、より自然な塗膜になります。新車時と同じ工法です。

 

 

クォーターパネル鈑金 ライン修正

 

 パテもきっちり熱を掛けて硬化させます。 

 

 

 クォーターパネル損傷部はそんなに大きな凹みでは無かったのですが、以前リヤタイヤ上部を鈑金したらしく、とても不自然なラインになっていました。その為今回の修理では再度当店で新車時と同じラインに形成し直しました。

 パテの付いている箇所のラインは緩やかな逆アールの形状でかなり難しいラインでした。また以前の補修での下地が密着不良を起こしているなど、色々やっかいな作業になりましたが今回の修理でかなり良い状態に出来たと思います。

 

 

プライマーサフェーサー塗布

 

 タイヤに“研ぎ汁”が付くと大変やっかいなのでタイヤカバーは必需品です。

実は飛び石処理も結構大変です。

 

 クォーターパネルは鈑金した箇所をさらに正確なラインに形成するために、

“サフェーサー塗布 → 乾燥 → 研磨”の作業を2度行いました。

 

 ボンネットは先端部に無数の飛び石傷があった為こちらもついでに直しておきます。ついでと言うほど簡単では無いのですが・・・。

 

 メルセデスベンツの塗装補修で注意する事は、新車時の塗膜が“水性ベースコート”と“粉体クリアー”の使用によるものです。この新車塗膜は耐溶剤性が弱く、補修で使う塗料により“ちぢれ”や“サフェーサー際の吸い込み”現象が起きる事です。これを回避する為にはエポキシ系などのシール性の良いサフェーサーの使用や、サフェーサーの2度塗り等、通常とは異なる下地処理が必要となります。

 

 

調色

 

 “199”シルバーは結構色々と大変です。

 

 今回のCLKのカラー番号は“744”なる2コートシルバーメタリックです。

 専用のカラーデーターソフトを使って元となるデータ色を作ります。

 しかし出来上がった色と実車ではかなりの違いがあるので、専用の調色ライトを使い、目調色による微調整を行います。これが速い時は10分くらいで終わるのですが、色が出ない場合は半日時間を費やす場合もあります。しかしそれでも100%の調色は無理です。その為に隣接パネルのぼかし塗装をして、パネル毎の色違いを解からなくする必要があるのです。

 

 

マスキング

 

マスキングも美しく貼るのが当店のモットーです。 

 

 

 サフェーサー研磨と足付けの下地処理が終わったら車体のマスキングをします。サフェーサー研磨と足付けの作業工程は省きましたが、実は凄く大変で重要な作業です。余りに重要な作業の為仕事に没頭し過ぎて実は写真取り忘れていました!(オーナーの“かず”さん、ゴメンナサイ!)

 

 マスキングもただ紙を貼れば良いのではなく、

⒈ マスキング跡を残さない貼り方。

2.塗装時にゴミが付かない工夫。

3.塗料ミストが飛んでも関係ないパネルに付かないように隅々まで丁寧に覆う。

4.塗装しないパネルに塗料が浸透しないようにする。

5.何よりも美しく!

 などの配慮が必要となります。

 昔、私が教わっていた親方様はかなり厳しい方で、私がマスキングした所が少しでも弛んだ仕上げをすると怒鳴るように怒っていました。そのトラウマが残っているため、今でもマスキングで手を抜くと元親方の顔が脳裏に現れます。しかしそれがあったからこそ今の自分がある訳で、とっても感謝しております。

 

 

上塗り塗装

 

クリアーの肌は“磨き”で作るのでは無く、新車時と同じ“塗り肌”で作る事が大切です。

 

 

 ついに上塗り塗装です。

 この画像は塗り上がった直後の状態ですが、塗装開始から終了まで3時間くらい掛かりました。

 シルバーのような淡色系は“塗りムラ”になり易いため、揮発速度の遅いシンナーを使う事が必須で、その為に塗装時間はどうしても時間が掛かります。しかしそのお陰で今回のシルバーもメタルの並びが良く、かなり綺麗な仕上がりに出来ました。

 使用した塗料はDUPONTで、ベースコートは低溶剤型塗装の”センタリ6000システム“。クリアーは”耐溶剤性“ ”耐擦り傷性“ ”耐候性“に優れた”S690”を使用しました。現在では“S690”は”S696”へと進化し、さらにはデュポンだけで無く、ベースからクリアーまでダイムラークライスラー社指定塗料の“STANDOX”での塗装システムも提供出来るようになりました。

 

 この後、赤外線ヒーターを使用して約70℃で乾燥させ、一日置いた後にポリッシュします。

 

 

組み付け 防錆処理

 

防錆グリースには塗装時に悪影響を及ぼす“シリコン”が含まれているので、この作業は塗装終了後に行います。

 

 

 各部部品を組み付けて完成です。

 ここで忘れてはならないのが、新品パネルへの“防錆処理”です。

 古い車でよく見られる光景で、“ドア下側の錆による腐食”があります。これはドア内部に溜まった水によりパネルが錆びて腐食してしまう現象です。塗装による防錆処理が行われていても水が溜まり易い箇所はどうしても錆が出やすいので、その部分にたっぷりと防錆グリースを塗布しておきます。勿論新車も同じ事が行われています。逆にこれをしないと裏側からすぐに錆が発生してきます。

 

せっかくお金を掛けて綺麗にするなら、出来るだけ長い年月良い状態が維持出来る様にするのが“車”とそのオーナーの“財布の中身”の為ではないでしょうか?(真面目)

 
注>こちらは「以前のプロフィット」のページとなります。
   現在のプロフィットは「小物の塗装専門店」になります。
   現在、車体の鈑金塗装のお受付はしておりません。

   新しいプロフィットのウェブサイトはこちらになります。

 

当店基本作業詳細案内トップへ
Copyright (C)  ProFit . All rights reserved.