PORSCHE964 パネル色違い修正

 
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修理依頼内容

今回の作業依頼は通常の板金補修とは違い、車輌購入時から存在する“パネル毎の色違い”を修復して、新車時のように再現します。

このような淡いイエローの塗装はかなり難しく、1パネルのみ塗装しても良い結果にはなりません。側面全て同じ様に見せるには、やはり側面3パネルにベースコートを通した塗装が必要になります。

 

 

色違いパネル現状確認

左フロントフェンダー

左ドアパネル

左クォーターパネル

青味彩度が強いイエロー。室内では余り目立たないが、太陽光線下で確認するとトランクフードとフロントバンパーとの色違いが大きい。

鮮やかなイエロー。「彩度」が強過ぎて新車原色特有の「白い濁り」が無い。

比較的新車時の色に近いが、白味が入り過ぎて「明度」が強く明るい。それによって「彩度」が殺されている。

 

 

パネル付属部品取り外し

 

アウターハンドルを取り外す為に内張りを外します。

 

 

塗装するパネルに付いている付属部品は全て取り外します。

 

@     ヘッドライト&リム

A     フロントバンパー

B     フェンダーウィンカー(交換・部品代¥850)

C     フェンダー水切りゴム(交換・部品代¥1,150)

D     サイドシェルカバー

E     フェンダーライナー

F     ドアミラー

G     ドアウエストモール

H     ドアトリム一式(内張り)

I     ドアアウターハンドル

J     クォーターガラス(ガラス専門業者外注依頼)

K     クォーターステップ

L     リヤバンパー

M     左テールランプ

 

 ウィンカーは既にクリップが割れて両面テープで付いていたので、今回ついでに交換する事にしました。

 ヘッドライトリムとミラーも色違いが残る事を防止する為に今回一緒に塗る事にします。

 アウターハンドルはセキュリティの配線が通っているので取り回しに気を付けます。

 

これによって特に壊れる部品はありません。

トリムだけの脱着なら意外と簡単です。

 

 

 

 

各部板金(パテ&サフェーサー塗装)

既に塗装暦ありで、
今回が新車塗膜を含めて3回目の塗装になるドアパネル

サフェーサー部に黒く塗ってあるには“ガイドコート”

これによって研ぎ残しを防止出来ます。

 特に板金依頼は無かったですが、アウタハンドル下部に不自然な歪みがあったので今回ついでに直して起きます。

 削った下からまた黄色が出てきたので既に一回塗られている事が解りました。削ってみた下地の状態は良好でした。それなのに何故?こんなにも色が違う仕上がりなのは・・・。

 

 

 

調色

調色専用ライト使用

 

 今回一番気を使った調色作業。

 淡いイエローの場合は光源の違いによる色変化が激しいので、“太陽自然光” 調色専用ライト“ ”室内蛍光灯下“全て念入りなチェックをします。テストピースの作成は約50から70回にも及ぶ一日掛かりの作業になりました。

 淡いイエローに限らず、2コート塗装の場合はクリアーを塗る事で光の屈折率が変わる為、クリアーを塗る前と塗った後ではかなり違う色味になる為、テストピースにも毎回クリアーを塗っての作業になります。

 “フロントフェンダー” “ドア” “クォーターパネル”3枚は通してベース色を塗るので、比色するパネルは“エンジンフード”と“トランクパネル”になります。この2パネルも厳密には色が違うので、目立つフロント部よりに色を近付け、さらにはリヤ部でも色違いを感じさせないように体裁良くまとめます。

 

 

 

サフェーサー研ぎ 足付け下地処理

足付け作業は地味な作業ですがとても大切な下地処理です。

 

きっちりと足付けされた塗膜は
ムラの無い綺麗な艶消しの状態になります。

サフェーサーが塗られた箇所を#320〜#600〜#800の耐水ペーパーで水研ぎしてラインを形成します。

 その後#1200のペーパーを全体的に掛けて、“肌落とし” “タールピッチ除去” “小傷除去” “足付け”を行います。

 最後に“3Mスコッチブライト”なる不繊維研磨材に専用の脱脂足付け材を付けて全体を研磨し、ペーパーの入らない隙間の部分も念入りに足付けします。

 

 

 

マスキング

 

 

 

 マスキングもただ紙を貼れば良いのではなく、

⒈ マスキング跡を残さない貼り方。

2.塗装時にゴミが付かない工夫。

3.塗料ミストが飛んでも関係ないパネルに付かないように隅々まで丁寧に覆う。

4.塗装しないパネルに塗料が浸透しないようにする。

5.何よりも美しく!

 などの配慮が必要となります。

 

 

 

脱脂・エアーブロー

 

 

 シリコンオフ(脱脂用溶剤)で塗装するパネルを十分に脱脂します。被塗面に油分が付いていると塗料のハジキが起きてしまいます。またこの時点でも小傷などを最終チェックします。

 

 脱脂作業が終わって塗装準備が出来たらブースのファンを回してクリーンなエアーを吸気します。そして被塗物全体に付いている埃(ほこり)を排気フィルターに向けてエアーブローして吹き飛ばします。その際に“タッククロス”なる弱い粘着材が付いた不繊維ウエスで被塗面を拭きながらエアーブローして被塗面を完全に綺麗な状態にします。

 塗装時には被塗物にゴミを付けないように、“静電防止スーツ(DUPONT社製「タイベック」・“静電気防止安全靴”・“キャップ”などの装備をして塗装作業者から発生する埃を極限まで減らします。

 

 

 

ベースコート塗装

 

 ここからがついにトップコート作業になります。

 今回使用した塗料はドイツ製高級塗料“スタンドックス”です。

 ソリッドカラーの場合は吹きムラなどの心配はありませんが、艶引けなどの問題を起こさないようにウェットコートで丁寧に塗ります。
 ベースコートに使用するスプレーガンは主に低圧スプレーガンを使用します。低圧ガンは塗着効率に優れ、塗料飛散を極力抑えた、環境にも優しいスプレーガンで、旧塗膜への密着性も向上し高品質の塗膜を形成します。

 

 

 

クリアー塗装

   

クリアーの肌は“磨き”で作るのでは無く、新車時と同じ“塗り肌”で作る事が大切です。

 

 ベースコートが塗り終わって各部を再確認して問題なければクリアーを塗装します。
 新車時の塗り肌を再現する為には、細心の注意を払う必要があります。
例えば
・気温によるシンナー・硬化剤の選択。
・シンナー希釈率・エアー圧
・スプレーガンの選択
・ガン距離・ガンスピード・パターン幅
などをその状況毎に合わせる事が必要になります。これらの条件が全て当てはまると理想の仕上がりにより近づける事が出来るのです。

 

 

 

乾燥

 

 赤外線ヒーターを使用して、約70℃の熱を加えて塗料を硬化させます。

 

 

 

ポリッシュ

 

 クリアーの肌は塗装時に出来ているので、基本的にはゴミが付いた箇所だけ磨きます。

 ゴミが付いた部分を#2000〜#3000のペーパーで水研ぎして平らにして、“細目” “極細” “超微粒子” の順番でコンパウンドを使ってポリッシャーで磨きます。

 

 

 

組み付け

ポルシェにはヘキサゴン(六角)ネジが多用されています。

 

 各部品を元通りに組み付けます。

 各パネル毎に外した部品やネジは小分けしておくので、組み付け時に付いていたネジが解らなくなるような事はありません。

 最後にライトやスイッチなどの電装系をチェックして完成です。

 

 

完成

補修した事が解らないような仕上がりにする事が当店のモットーです。

もう色違いは感じられません。

 

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