レンジローバー樹脂素地バンパー ボディ同色塗装
 (ヴォーグ仕様)

 
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レンジローバーは一番グレードの高い“Vogue”以外は“フロントバンパー” “リヤバンパー” “ドアミラー”がプラスチック樹脂素材剥き出しの未塗装状態です。

PP(ポリプロピレン)樹脂はそのまま塗装しても簡単に塗膜が剥がれてしまうので、専用のプライマーと作業工程が必要になります。

各部品を塗装してレンジローバーを高いグレードへのカスタマイズを行います。

 

 

損傷部確認

 

 

 フロントバンパーは既に擦り傷が多数ありました。

 樹脂素材のままのバンパーは、擦り傷が出来ても再塗装する必要が無い?から塗ってないのでしょうか?

輸入外国車に良くありがちな未塗装ミラー。

1000万円近くするクルマなのにこんな所でコスト削減なのでしょうか? 不思議です。擦り傷多数あり。

リヤバンパーの特徴としては、擦り傷は少ないが凹みがある場合が多いですね。艶が無いと解り難いですが、塗装すると凄く目立つのできちんとチェックします。

 

 

部品取り外し

レンジのバンパーは特殊なネジで止まっています。

 

塗装する部品、“フロントバンパー” “リヤバンパー” “左右ドアミラー”を取り外します。

 バンパーは特殊なネジで止まっているので専用の工具を使って外します。

 

 

研磨・足付け

塗装は下地が全てです。

 

 樹脂素材表面は細かい凸凹の模様がある為、そのまま塗ってはトップコートまで影響されて艶々の塗膜にはなりません。

 通常のパネルのように艶々に仕上がる為にはきちんとした下地処理が必要になります。

 

ダブルアクションサンダーと#240のペーパー(研磨紙)を使って表面が平滑になるまで削り落とします。

 サフェーサーでもこの凸凹を埋める事は可能ですが、そうすると後々艶引けが起きたり、模様が浮き出たりして醜くなってしまいます。そうならないようにするには面倒でも下地から一つ一つ確実に作業を行う必要があります。さらにはこの研磨により高い密着性も確保出来ます。

 今回は費用を抑える為に上面のみを完全な下地処理を行い、下半分は通常の塗装で行います。

 

 

プラスチック樹脂専用プライマー塗布

 

 

 サフェーサー塗装の前に、樹脂専用のプライマーを塗装します。

 PP(ポリプロピレン)素材はこれを塗らないと間違いなく塗膜が剥がれます。

専用プライマーを必要とする樹脂はSMCBMCUP-GFKPP/EPDMPP/EPM ABS PRO PA HP-ALLOY Pocan PUR PC等があります。

ちなみにPOREPは塗装自体不可能とされていますが、当店では独自の工法と仕様材料により確かな密着性を確保する事に成功しました。

 

 

プライマーサフェーサー塗布

今回のサフェーサーはシール(密着)性の良い“DUPONT 1040”を使用しました。

 

樹脂の下地は既に平滑になっているので、特にプライマーサフェーサーを厚塗りする必要はありません。それよりも通常よりも密着性の悪いPP樹脂にはより密着性の高いプライマーサフェーサーの塗布が必要になります。

今回はデュポンの2液性ウレタンプライマーサフェーサーを使用しました。ウレタンサフェーサーでも各商品によってかなり違う性質があります。厚塗りが必要な場合は体質顔料が多く含まれたサフェーサーを使い、時にはエポキシ系のサフェーサーを使うなど、作業内容によってそれぞれ一番良い方法で使い分けるようにしています。

当店ではプライマー・サフェーサーだけでも9種類を使い分けています。

 

 

プライマーサフェーサー研磨 足付け作業

  

当店では殆んどが手作業です。 艶々の塗膜を作るには、下地の段階で完全な平滑にする必要があります。

 

サフェーサーが完全に硬化したら、#600→#800の耐水ペーパーで研磨します。 その後“3Mスコッチブライト”なる不繊維研磨材に専用の脱脂足付け剤を付けて全体を研磨し、ペーパーの入らない隙間の部分も念入りに足付けします。

 

 

 

塗装開始 (プライマー塗布)

 

塗装前準備として、綺麗な脱脂専用ウエスとシリコンオフ(脱脂用溶剤)を使い油分を取り除きます。塗装に埃は大敵なので、脱脂には不繊維性の埃の発生しないウエスを使用します。

サフェーサー研ぎの時点でもウォッシュコンパウンドの使用により油分は取り除いてありますが、作業者の手から出る油や、風に乗って飛んできた油分をここで最終的に除去します。シリコン・油分は上塗り塗料のハジキや密着不良の原因になりますから、神経質なくらいの脱脂が必要です。

 

 塗装準備が整ったら、いよいよ上塗り塗装開始です。

 バンパー下半分はサフェーサーが塗布されていないので、ここで再度プラスチック樹脂専用プライマーを塗装します。

 

 

 

 

ベースコート塗装

使用スプレーガンはスタンドックス推奨のドイツ製スプレーガン“SATA NR2000”を使用します。

 

バンパー類は全てボディ色のホワイトゴールドと同色にする為、ボディに合わせて調色をしておきます。

 

 ベースコートの塗装はドライコートで肌を荒らさないように多少ウェットで塗ります。塗り過ぎも塗膜不良や艶引けの原因になるので出来るだけ膜厚を付けない様に3コート以内で終わるようにします。

ベースコートで使用するシンナーは通常4種類あり、気温により揮発速度が変わりますから季節(気温)によってそれぞれを使い分けます。塗料の乾燥が速い方が作業性に優れるからと言って、夏場の気温が高い時期に揮発の早いシンナーを使うと塗膜の密着性が非常に悪くなり、塗装ムラの発生やベースの肌も悪くなります。

 

 

トップコート(クリアー)塗装

クリアーの肌は“磨き”で作るのでは無く、新車時と同じ“塗り肌”で作る事が大切です。

 

ベースコートを塗ったら規定時間以内にクリアーを塗布します。通常ベースコートの艶が無くなるくらい(約15分)待ちます。この間規定時間を過ぎたり(約24時間)、赤外線ヒーターなどで強制乾燥をするとクリアーとの密着反応が悪くなり後々ベースコートとクリアーの間で層間剥離を起こしてしまうので絶対にしてはいけません。数年経ってクリアーだけが剥がれてしまう現象はこの事が原因の一つです。またコストを下げるため、他メーカーの安いクリアーを使ったりする事も良く見られます、それも層間剥離の原因の一つです。

クリアーを適当に塗って、乾燥後に耐水ペーパーで全体的に研磨し、コンパウンドの磨きで作った肌は、いわゆる死んだ肌と言われています。解る人が見ればすぐに偽物の肌、磨きで作った肌と判断されてしまいます。当店で使用するクリアーは指触乾燥性が遅く作業性は悪いですが、その分レベリング性能が良いので塗り肌で映り込むような肌が作れます。わざわざ磨いて肌を作る必要はありません。

勿論新車時のクリアーの肌は磨きで作った肌では無く、綺麗な塗り肌です。自動車補修修理では、いかに新車時の塗装肌に合わせるかが重要な事の一つです

 さらにはシルバーのような淡色系は“塗りムラ”になり易いため、揮発速度の遅いシンナーを使う事が必須で、その為に塗装時間はどうしても時間が掛かります。しかしそのお陰で今回のシルバーもメタルの並びが良く、かなり綺麗な仕上がりに出来ました。

 この後、赤外線ヒーターを使用して約70℃で乾燥させ、一日置いた後にポリッシュします。 

 

 

組み付け

レンジはフォグランプもヘッドライト並にデカイです。     ミラーもきちんと稼動するか確認します。

 

 各部部品を組み付けます。

 ミラーやフォグランプなど電気配線を外した物は全て稼動するかチェックします。外したカプラーを元に戻した場合でも、接触不良で通電していない事も良くあります。

 

 

完成

   チョーカッコイイです!“四駆のロールスロイス”と言われるだけありますね。

 

 

 


 
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