マイク塗装用轆轤台作成

 マイクを塗る為の回転台(轆轤)を作成しました。

こちらは10年前くらいにご依頼を頂いたスターバックスのタンブラーで、左側の縞々模様はピンクと白の2トーンカラーにしています。

ぱっと見は簡単そうな塗り分けに見えるのですが、これを「塗装屋的感覚」でラインを引こうとすると、ちょっとした歪みやズレすら許されない!みたいな地獄の作業となり、

  なのでこの時は玩具の轆轤(ろくろ)を購入し、その上にタンブラーを置いてラインをマーキング、それに沿ってマスキングテープを貼るいった手法を取りました。これの逆Ver.がBMWのパニアケースの塗装ですかね。

今回はそれの完全機械化!といった感じで、被塗物をガッチリ固定し、そのまま塗装出来るようにしよう!と言う作戦です。轆轤と言うよりは旋盤に近いですかね。

駆動は市販のモーターで、同じく市販のベアリングにMDFで自作したプーリーを取り付け、ベルトの代わりに輪ゴム(笑)を使って回しています。ただMDF板や輪ゴムだと見た目がアレなので、ちゃんと使えるようになったらもう少しマシな素材で作り直そうと思います。アルミプーラーとか溝付きベルトとか格好良さそうですね(おっとヨダレが・・・)。

  マイクはスライド固定具で挟むようにしていて、ベアリングでストレス無く回転出来るようになっています。

回転数は付属のコントローラーで電圧を変える事で返られますし、またプーリーの径を変える事でも変更可能です。現時点では比較的遅めで、今後使い易いよう調整していこうと思います。

  今回使っている材料は機械制御の仕事をしている友人から頂いた物で、その後2年以上が経ってしまっていましたが、少し仕事が落ち着いたのでようやくこの度手を付けられました。

これらは規格化された部品を組み合わせて簡単にアルミフレームが組めるキットで、特別な工具が無くても組み立てが出来、また部品同士の接続や位置の調整が簡単に出来るのが特徴です。

例えば・・・、

ナットとなるアクセサリーパーツをアルミレールの中に通し、

アングルのアクセサリーをネジで固定するだけで、

簡単にしっかりした垂直の柱を設置する事が出来ます。

なんて素晴らしい・・・!(惚)。

コストは高いのですが、いずれこれでマイPCデスクを作ろうと思っています。

土台となるスライドレール同士はステンレス製のプレートで固定していて、これもアクセサリーの一つおtなります。最初から穴が開いているので超絶簡単に確実な接続が出来ます。なんて素晴らしい・・・!

マイクを固定する為のアタッチメントは自作品で、レーザー加工機でカットしたMDF板に市販のベアリングを埋め込んでいます。ベアリングから飛び出た黒い部品(5ミリ厚のアクリル板)がマイク下側の穴に入って固定するようになっています。

マイクの脱着はこの部分のネジを緩めてスライドさせるだけです。

動力部分は比較的大きい径のベアリングで、SHURE58マイクのグリルボールが丁度入るサイズになっています。モノタロウでこれも2年以上前に買った物で、他に使い道がありませんから危なくお蔵入りになるところでした。ちなみにグリルはお客様の物(ご依頼品)では無く、当店に在庫する物を固定用として使います(なのでSHURE57シリーズも対応出来ると思います)。

と言う訳で、色見本用のマイク(注型樹脂製)を使い、トースカンに鉛筆を固定してのブレのテストを行ってみました。

結果としては問題無く、良い具合に線が描けています。まるで地震計のよう(笑)。

尚、本番では鉛筆では無く、直接塗料を筆に着けて塗ってみようと思います。ちなみにベースコートを筆塗りだと大問題ですから(見た目は大丈夫そうに見えても不良塗膜になります)、その場合は2Kエナメルを使って行う予定です。これで夢だったマルチカラーストライプのマイクが出来る!と言う訳です(円柱ならマスキングでも出来ますが円錐で正確なラインを引くのはとても難しいのです)。

土台となるレールはちょっと長すぎるのですが、アタッチメントを変えれば(作れば)何にでも応用が出来るので、まあこのままでも良いかなぁと思ってます。

上手くいったらゼンハイザー用のアタッチメントも作っておかないとですね。サーモスとかも出来るようになったらワークショップでも使えそうです。

自作塗装ブース+クーラー

当工場の塗装ブースは自作ですが、一応本ブースと同じく給気は1次フィルター→2次フィルター(天井フィルター)を通る構造となっていて、排気は奥の浄化装置(マストクリーナー)を通って外に排出されるプッシュプル型となっています。

浄化装置については以下の記事で紹介していますので宜しければご参照くださいませ。一般的な塗装工場に見られる屋根上までの煙突(排気ダクト)を設置せず、住宅地のこの場所で塗装が出来るのはこれのお陰かと思います。

排気浄化装置レビュー

自作の塗装ブースについては以下の記事が判り易いかと思います。

自作塗装ブース① 躯体編

これに先日エアコンを取り付けまして、改めて自作塗装ブースを設置した工場一階の仕組みを紹介しようと思います。

工場一階は約20坪で、それを3つの区画に別けています。真ん中が塗装ブース、左が浄化装置のユニットやら塗料置き場、右がコンプレッサーや工具置き場&作業スペースとなっています。

左側の奥の部屋は塗料を保管したり色(クリアー)を作ったりする場所で、そこにある窓から外気を取り込んでフィルターを通し、塗装ブース内にクリーンなエアーを送ります。そして今回この部屋にクーラーを取り付ける事で、ブース内に送り込むエアーが冷やされて雰囲気温度を下げてくれる!と言う構造となります。

 

こんな感じで左奥の部屋にクーラーを取り付けた事で、塗装ブース内に送り込む空気が冷やされ、ブース内の雰囲気温度が下がります。

また画像右側の作業スペースに置いたコンプレッサー付近にも、1次フィルターから引っ張った空気が強制的に排出されるようになっているので、ここから冷えた空気をコンプレッサーに取り込み、スプレーガンから出るエアーと、また私がマスクから吸っている空気も冷えてと、良い事だらけとなります。夏場のマスクはそこから汗が下に垂れたりしますが、冷凍式エアードライヤーで冷やされ乾いた空気がマスクの中に送り込まれる事でそれも防げます。もう普通の防毒マスクには戻れません!

基本的に仕事は好きなので毎日出勤するのが楽しくて仕方が無いのですが、近年の真夏の猛暑はさすがに辛くて気持ちが凹みますから、これでようやく通年を通して仕事が楽しくなります。ヤバイですね~(笑)。

エアコン設置

 今の工場に引っ越してからおよそ8年、遂にうちにもクーラーが!

長い間耐え忍んでいましたが、ネットで比較的安い製品を見つけたので清水の舞台から飛び降りる勢いでクリックしてしまいました。持続給付金では無く、自腹での購入です(と言うか当店はこれが一円も貰えていなく、同業者からは「なんで100万円貰わないの?」と言われいます)。

ここまで本当に長かったです。涙で画面が滲んで見えません・・・(嬉)。

 冷房出力は7.1kwで、カタログによると30畳用との事です。エアコンなので勿論クーラーだけじゃなく暖房も使えます。

ちなみに安く買えたのには理由があって、恐らくは去年発売された製品で(型遅れ品)余り評判は良くないみたく、また取り付けは自分で手配するスタイルだからです。店舗を持たず新製品は取り扱わない、ネット販売専門のショップさんですね。

取り付けは自分でやろうかとか一瞬考えましたが、その間に働いていた方がトータルではコストを落とせる筈なので、普通にプロの方にお願いする事にしました。

 ただエアコンを取り付ける場所はスプレーガンが引っかけてある壁の上側なので、工事の邪魔にならないようその辺にあった計量器やら塗料などを全部を出さなければならないのが大変でした・・・。

 無事設置が完了し、ついでなので換気扇なども掃除しておきました。

ちなみに何故ここに取り付けたのかと言うと、主に冷やしたいのは人間(私)では無く被塗物の方でして、ここ数年の夏はちょっとあり得ないくらいの猛暑ですから、本塗りを行う時のブース内雰囲気温度をどうにか下げたかったのです。

取り付けた場所が判り易いよう、以前ブースを作っている時の画像で紹介しますね。

塗装ブース奥にある部屋には強制送気用のファンが左右に一基ずつ設置されていて、窓から吸い込んだ外気をここから一次フィルターを通ってブース天井に送るようになっています。

なのでその通り道にクーラーを設置すれば、冷えた空気がブース全体に行き渡るという算段でして、「これ以上硬化剤もシンナーも遅く出来ない・・・!」と言う問題にも対処出来るようになりました。今の小物塗装の場合、肌を残さないような塗り方にしているので(特にテールランプ)、一番乾燥硬化が遅い仕様(MSハードナー25-40+リターダーシンナー35-40)ではもはや不十分だったんですよね。しかも油断するとナイアガラ(取り返しがつかないようは激しいタレ)になったりでコントロールが難しく、真冬の方が余程塗り易いです。

画像は以前の物で、今は床がもっと汚いです。あの扉の奥の部屋がキンキンに冷やされ、天井からクリーンでクールなエアーが舞い降りる!と言う寸法です(しかしそれも排出されてしまうという・・・)。

とにかくこれで仕事効率と私のモティベーションも上がるのは間違いが無く、これからの地獄の夏も少し楽しみです。

0.01g電子天秤導入

塗料の重さを量る場合はこういった専用のスケールを使っていて、自動車塗装用だと0.1g~6Kgくらいまで量れるのが一般的ですが、

ただ現在の「小物」になってからは必要な量が極少量で良くなってきたので、もっと精密に量れる秤が欲しかったんですよね。

また少し前からSTANDOXから配布される配合データが小数点第二位まで案内してくれるようになったので(昔は第一位まででした)、もしかして他のペイントショップでは既にそういった精密秤を導入しているのでは?!と思い、担当してくれているオートサプライヤーさんに相談したところ、「そんなの使ってるところありませんよ(笑)」という事で、どうするか悩んでいたんですよね。

例えばこちらは以前塗装したWRX STIのフロントグリルメッキモールに塗ったWRCブルー(カラーコードK7X)ですが、使う塗料の量は極少量で、ただ必要量(20gくらい)を作ろうとすると各原色の数値はかなりシビアになり、今の秤では正確な色が作れません。なので実際には50gくらいの量を作っていて、ただこうなると使う分よりも余る方が多く、それでもそういった塗料は捨てずに下色として使っていますが、それにしたって無駄過ぎています。

 と言う訳でジャジャーンと!

 新しく0.01gから測れる秤を買いました。時期的にはクリスマスプレゼントといった感じでしょうか(もしくは現物支給のボーナス・・・)。

 ちなみに0.01gから測れる秤でも数千円で買える物もありますが、さすがに仕事で使うにはその辺では不安がありますし、何より使っていて誤差が出て来るのが怖いです。

例えば1円玉は1グラムですが、実際に量ってみると0.99gだったりしますので、

キャリブレーション機能を使って校正を行います。ディーラーに勤めていた時は一年に一回メーカーの人がやってきてこれをやってくれていましたが、多分一回で3万円くらいは掛かるので(出張なのでもしかしたらもっとかも・・・)、普通の町工場でそんな事をやっているところはありません。少なくとも私を含め、見たことも聞いた事もありませんので・・・。

 と言う訳で、まずは水平を出して、

 分銅を使って調整を行います。

 20グラムで校正を行い、その後各分銅で±0.01gの誤差も無い事を確認しました。なんて気持ちが良い・・・。

その後汚れないようマスキングをして、工場一階の調色室に設置しました。

水平を出して改めて量ったところ問題無かったので、これでようやく少量での色作成が出来るようになりました!。無駄が無くなったのもそうですが、何より四捨五入しないでピッタリ作れるのは気分が良いです。

ただ塗装屋あるあるで、目検討で入れたクリヤーや硬化剤が奇跡的にピッタリ!(これは超気持ちが良いです)と言うのは、相当難しくなってしまいました(笑)。