先日足付け処理を行っていたマツダアテンザのフロントグリルとロアグリルです。
全体をシリコンオフで脱脂した後、通常はそのままプラスチックプライマーを塗りますが、足付け処理がやり難かった角の部分や裏側などには専用のガスを使って火炎処理を施し、親和力の大きい有機化合物を樹脂の表面にナノレベルで形成してこの後に塗るプラスチックプライマーの密着性を向上させるようにします。
まあ今のところは補助的な使い方で「念の為」といった感じですかね。
ちなみに下塗りとして使っているのは通常の上塗り塗料で、いつもは「ベースコート+クリアー」の2コート仕上げですが、これを1コートで仕上げる専用の塗料があるのです。
以前の画像ですがちょっと紹介しますね。
自動車のボディーカラーはこういった塗料原色を混ぜて作りますが、大きく分けて2種類の原色があります(DUPONTは少々特殊でこれが1種類で出来るシステムになっています)。
上の画像では「ベースコート」と「1コートソリッド」(商品名はSTANDOX 2Kエナメル)の二種類が写っていますが、現在は1コートソリッドが違う種類になったので自宅には(画像は私の自宅です)この内の「ベースコート」のみが置いてあります。棚は塗料を撹拌する専用の「ミキシングマシーン」です。
工場にはそれのハーフサイズのミキシングマシーンがあって、ここにあるのは1コートソリッド用の塗料「STANDOX VOC 2Kエナメル」と言う原色になります。クリアーの塗装は必要無く、これに直接硬化剤を入れて塗れば見た目は2コートと同じような仕上がりに出来ます(実際は色々違うので私的にはこれを使うケースは殆どありません)。
色がグレーになっているのは白と黒を混ぜているからで、また黒に関しては元々在庫してあった「艶消し黒」を使っています。
今回ご依頼頂いている塗色はマツダ純正色のジェットブラック(カラーコード:41W)で、見た目は殆ど黒ですから今回の下塗りも「黒そのまま」でも良かったのですが(むしろその方が隠蔽性からして都合が良いのです)、この後の研ぎ作業で素地の樹脂(黒)が露出した個所が判り難くなるのが嫌だったので敢えてグレーにしています。
よく見るとゴミが線状に付いているような箇所がありますが、これは足付け処理をした際に樹脂の表面に傷がついて毛羽立っているからです。粗いペーパーや空研ぎを多用するとこれが顕著に現れる為、摩擦熱を抑えられる水研ぎを選んでいると言う事でもあります。サフェーサーなら気にしませんが、上塗り塗料(1コートソリッド)ではそこまで肉厚がつかないので極力これを抑えようとして水研ぎをしているという事でもあります。
この後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を完全硬化させたら再度足付け処理をして本塗り作業となります。どうぞもう少々お待ちくださいませ!