先日サーフェサーを塗っておいたメルセデスベンツW124のワイパーアームです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、ガイドコートとしてベースコートの黒をパラパラと塗っています。
研ぎ作業は空研ぎで(水を使わない研ぎで)、最初はコシのあるタイプ=トレカット#800で肌目を落とし、その後アシレックス#800→#1300でペーパー目を均します。空研ぎのメリットは今の寒い時期でも水を使わなくて済む(手荒れし難い)事ですが、粉塵が舞うので建物屋内で行うとそこら中粉だらけになってしまいますから、今の工場では水研ぎをメインにしています。昔みたいに外に向かって勢いよくエアーブロー!なんて事が許される時代ではないですからね。
よく脱脂清掃をしたら台にセットして本塗り準備完了です。
フロントグリルは重曹によるウェットブラストである程度の脱脂も出来ていますが(重曹は弱アルカリ性なので油分を除去出来ます)、スプレーガンにシリコンオフを入れて上から下に洗い流すようにして最終脱脂処理も行っています。
フロントグリルも手で持って回して塗れるよう、バランスの良い場所で芯棒に固定しています。
とても塗り難いフロントグリルは裏側からのアクセスが必須なので、スプレーがし易いよう広いスペースを設け、且つ安定・安全なように固定しています。
エアーブローをして埃を飛ばしたら、プラスチックプライマーを四方八方から満遍なく塗っておきます。
ボンネットオープナーはPA=ポリアミド性なので、
こちらもプラスチックプライマーを塗布しておきます。
ワイパーアームカバーは半艶黒に塗られていますが、フチはプラスチック素地が露出しているのでこちらもプラスチックプライマーを塗っておきます。こちらは恐らくABS樹脂製だと思います。
ワイパーアームは金属素地が露出している箇所があるので、スポット的にプライマーを塗っておきます。
特にウェットブラストで剥がれてしまった裏側にはしっかり塗っておきます。
そしてベースコートを塗布します。
色はメルセデス純正色の「アズライトブルー」(カラーコード:366)となります。
裏側のワイパーアームと干渉する部分には塗料が着かないようマスキングをしています。
ベースコートは3.5コート程塗っています。1コート毎に15分程の乾燥時間=フラッシュオフを設け、2コートで完全隠蔽させ、一旦そこで表面を軽くサンディング(付着したゴミの除去)、最後の3コート目を塗ったら追いかけてミッドコート(0.5コート)を行います。メタリックのムラ取りのような感じですね。
ベースコート完了です。
クリアーは塗り始めたら一気に行う感じなので比較的あっという間で(オールペンでも一時間掛かりません)、本塗りで時間が掛かるのはむしろここまでですね。台にセットされて塗装の準備が出来た状態からでも4時間くらいを要しています。
フロントグリルの升目は表側からだけではなく、むしろ裏側から積極的に塗っているような感じで行っています。
そしてクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!
クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。
スプレー塗装の基本は「被塗面に対して垂直」ですが、
こういった形状でそれを行うのは物理的に不可能なので、
縦横斜め8方向からスプレーするようにし、
さらにそれを裏表=16方向から塗る事で升目の内側の隅々までしっかり肌を作れるようにしています。
勿論この辺は技術云々だけで出来る事では無く、レベリング性能の高いクリアー等の良い材料のお陰で成り立っています。
この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。
それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!