現在仕事でご依頼頂いておりますカシオG-SHOCKのベルトとベゼル一式です。
実は先日、いつもこちらの社外記(と日記)を見て下さっている方からメールでご連絡を頂きまして、どうやらその方は今までもG-SHOCKの塗装を多く手掛けているとの事で、実際に塗装に使っている材料や耐久テストの結果までかなりご丁寧にアドヴァイスを頂きました。
今回はそれを踏まえてこちらでも色々テストを行いましたので紹介致します。
ちなみに今回と別件で、真空成型についてのアドヴァイスや使用工具のご支援(笑)を頂いた方などもいらっしゃいまして、色々とお気遣い頂き恐縮です。この場を借りてお礼申し上げます。
と言う訳で、今回は内装塗装の際にも応用出来るよう、テスト素材は人工皮革を使ってみました。素材的には塩化ビニル樹脂でしょうか。椅子のクッション部分やカバン、自動車内装などに使われている材料ですね。
適当なサイズにカットし、それぞれの仕様を裏に記しておきます。
プライマーは3種類、ベースカラーは通常の黒、クリアーの仕様は2種類としました。クリアーを塗らないVer.も作っています。
頂いたアドヴァイスとしては、ベースコートのみよりも、軟化性を持たせたトップコート(クリアー)を塗った方が恐らくは耐久性が高いという事でした。
と言う訳で10種類の仕様が完成です。太いのはカットしてさらに数を増やします。
最初は折り曲げるテストです。それぞれの結果も書き記しておきます。
こちらは強めに曲げた状態です。実際はもっと指を使ってグニグニとストレスを与えています。
こちらはプライマーを使わなかった物で、結果が悪いとこのように塗膜が割れると言う寸法です。
ここまでの結果は非常に良好で、今度は引っ張るテストを行いたかったのですが、どうせならこれは数値として比較してみたい!と言う事でバネはかりを買う事にしました。
イメージとしては昔ながらの筒状の物だったのですが、デジタル式が想像以上に安かったのでこちらの入手しました。amazonで¥1,000くらいです。
作業台に固定されているバイスの反対側にシャコマンを固定し、間にターンバックルとバネはかりを入れて固定します。
被験体となる人工皮革はC型バイスで固定します。隙間は24ミリとしました。
ターンバックルを回すと人工皮革が引っ張られ、その際の力量が数字として表れると言う算段です。これをメモして各々比較すれば良い訳ですね。
ちなみにこういった引っ張り強度試験を紹介したJISの本があったのですが(いつものマニアックなオートサプライヤーさんから頂いた物です)、何度かの引っ越しの際に紛失してしまった模様です。すいません…。
ただ他に「塗膜の付着」(佐藤弘三著)などの本もありまして、そこにはヤング率がどうとか書いてありました。多分今回はこの辺に該当すると思うのですが、まあその辺は良く判らないので割愛致します。
データは沢山あった方が良いので、空いた部分でも行ったりして大体20個くらいのデータを取得しました。
結果としては非常に良好で、素材の人口皮革の方はヘロヘロになってしまいましたが塗膜は十分実用に耐えられる事が判明しました。一番良い結果の物では22キロ(!)で引っ張っても大丈夫です(それ以上は固定部分が滑って計測不能となりました)。
テストに随分と時間を費やしてしまいましたが、これでようやく本番に挑めます。頂いたアドヴァイスは非常に役に立ちました。本当に有難うございました!
依頼者のKobaです。
今回の件、色々と耐久テスト拝見させて頂き流石改めてお願いして
良かったと思いました。
御社の努力とプロ意識の姿勢大変感動致しました。
完成楽しみに急がないでお待ちしておりますので宜しくです。
お世話になっております。プロ・フィット高畑です。わざわざご連絡頂き恐縮です。
お待たせして申し訳ございませんが、どうにか事前にテストが出来てこちらも安心出来ました。
硬化にはいつもより時間を掛けたいと思いますので、どうぞもうしばらくお待ち頂ければと思います。
こちらこそ引き続きよろしくお願い致します!